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#49 『老人ホームで死ぬほどモテたい』

ロシア産鮭とアメリカ産イクラでも丼さえあれば親子になれる

上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』



昨日、上坂あゆ美さんの短歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』が届いた。冒頭に引用した歌は、著者である上坂さんのご両親が離婚し、その後の心情を吐露した一首。(のように私は感じた)




この本を知ったきっかけはさとゆみさんの22時のVoicyラジオ。


ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんは、主にあとがきに触れて紹介していたのだけれど、そのあとがきの内容を聴いて「短歌にも触れたい!!」と気づけば1870円を楽天ブックスに支払っていた。

(初耳の著者さんの本は基本的にメルカリで500円前後でゲットする私なのに)

そして読んでみて、大正解!と部屋でひとり小躍りした。

がさつな自分がもっていない感受性と繊細な言葉が絶妙に入り混じっている。

無邪気な子どもを観察して詠んだみたいな歌から、R18のセンシティブな歌まで。

一首一首、味がちがう。そしてどれも味わい深い。

それは三十一音に込められた歌、というより、当時の上坂さんの苦しい状況や胸に秘めたやり場のない思い、ひとときの幸福感などを「とじこめた」歌、という印象だ。

Xの140文字に言葉を凝縮することもままならない、蛇足だらけの自分の文章。
もしかすると短歌で特訓できるかも……と一瞬思ったけれど、それ以前に一句一句で魅せる語彙力をつけることが先だな、と思いとどまった。


「エモい?」「趣深い?」
この著書を表す一言さえ、いまだに見つかっていないのだから。
























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