研修の評価方法ってアンケート以外にありますか?
お客様から研修の企画設計でご相談を受けている時、時々聞かれる質問が
「研修ってどう評価すれば良いんですか?アンケートだと物足りないし…何か他に良い方法ありますか?」
私の考えは研修の評価はアンケートでも良いと思っています。
ただ研修の最後にとったアンケートを見て「みんな満足してる。良かった~」「講師の評判があまり良くないな・・・次回は別の講師をお願いしようかな・・・」は効果検証では無く満足度調査ですよね。
大事なことは、「今回の研修の効果はアンケートで評価する」という事を事前に合意しておく事。
極端なことを言ってしまえば評価方法なんてなんでも良い。アンケートだとしても、重要なのは「いつ、どう測るか?」。この評価方法とタイミングを研修実施前の企画段階できっちり考えておく事がとても重要です。
でも、評価方法を決めるって言うほど簡単では無いですよね。研修=スキル開発・マインドセットであり、定量評価が非常に難しい。
以前、営業研修のご相談を受けた際、お客様に研修成果をどう評価しようと考えているか伺ったところ、「契約件数の増加」との意見がありました。
良く言われる話ですが、これを正確に測ることは非常に難しい。
仮に研修後に契約件数が増加したとしても、研修以前の種まきが実った可能性もあるし、マーケットの変化が影響してる可能性もある。従って研修の成果と契約件数増加の相関関係が100%、とは言えないと思います。
じゃあ、どうするの?となりますが、以前のお客様との会話が参考になると思いますのでご紹介します。
実例「プレゼンテーション研修」
だいぶ前にお客様から一営業部門にプレゼン研修を実施したいと相談を受けました。企画・提案の為に目的や背景をお伺いするためにミーティングを設定し、人事部長の他に営業本部長も兼任してる社長にも同席頂きました。基本的には私から人事部長に企画に至った背景やニーズ、具体的な課題をお伺いする形で進行しテンポよく進んで行きましたが、「研修後の効果検証はどのように測りますか?」と聞いたところ、会話が途切れました。
人事部長も「そうですね~、うーん、アンケートと・・・」回答に困っていた時に、社長から一言
「俺が評価する」
今回の受講対象者は社長と同行する機会が月に1回はあると。今までのプレゼンも見てるし、上達したかどうかは判断できるとの事。
よって今回の評価方法は社長自らが部下(参加者)の行動変容を評価するという事で事前に合意しました。
結果的に今回のケースはこんな風に整理出来ました。
■研修実施の背景■
営業部門の数字が計画通りに成長しない。その要因の一つとしてプレゼン力があると判断。ベテラン営業中心の部署で商品・業界知識も豊富だが魅力的に伝えられていない。
■研修の目的■
営業部員のプレゼンテーション力改善
■研修のゴール(目標)■
魅力的なプレゼンテーションが出来るようになる。
※魅力的とは抑揚がありジェスチャーも使い役者の様に表現する。
■目標達成の評価方法■
社長ご自身が同行時に主観で判断。
■評価のタイミング■
研修実施から約1か月後
評価は社長自ら主観で判断するとのこと。定量的な評価ではありませんが、研修前と研修後の変化がわかる人が主観で判断するの立派な評価方法。そしてタイミングは研修実施の1か月後。研修直後にプレゼンの仕方が変わるのは不可能。意識して練習を重ねたのちに成長できたかどうか判断する。この評価のタイミングも適切だと思いました。
研修評価の方法
研修企画をする時は前述のとおり、目的やゴールを設定されると思いますが、忘れられがちなのが「評価方法」。繰り返しになりますが、とても大事なので目標設定と同時に忘れないよう評価方法を決めておきましょう。
今回のケースでは、社長ご自身が同行して確認するとのこと。主観にはなりますが、これも立派な評価方法です。
※理想を言うなら、研修でスキルアップ図る項目をアセスメントや上司に5段階評価してもらうなど、事前に現状を把握しておくことでより適切な評価をする事が出来ます。ここに触れると長くなるのでまた今度。
ただ評価方法もそんな多くの方法があるわけでははありません。アンケートなどでご自身もしくは上司が判断する、もしくは理解度テストを行うといったところでしょうか。
参考までに、研修の評価方法です。
カートパトリック「研修評価の4段階モデル」
レベル1:Reaction(反応)
受講直後のアンケート調査などによる学習者の満足度の評価。
レベル2:Learning(学習)
筆記試験やレポート等による学習者の学習到達度の評価。「知能テスト」、「技能テスト」など。
レベル3:Behavior(行動)
学習者本人へのインタービューや他社評価による行動変容の評価。受講者の現場での行動がいかに変化したかを測定する。
レベル4:Result(業績)
研修受講による学習者や職場の業績向上度合いの評価。経営にどのようなインパクトがあったか。生産性の向上、品質の向上、離職率、利益、コスト削減、ROI。
参考:研修開発入門 「研修転移」の理論と実践
個人的にはこのレベル3が理想的だと思ってます。レベル4は正直難しい、評価に時間も掛かるし上述の通り、研修以外の要素が絡むので正確性に欠けると思います。
評価のタイミング
もう一つ大事なのが評価のタイミング。アンケートなども受講直後に取りますが、私はベストなタイミングだと思いません。「研修内容について満足したか?」という趣旨の満足度調査としてはOKだと思いますが、本当に評価すべきは「研修で学んだ内容が実務で役立ち、行動が一般化出来たかどうか」。
研修終了直後では学んだ事が「わかる」状態なだけで「出来る」にはなっていない。さらに練習を重ねて「わかる」が段々「出来る」に変わっていく。
なので評価のタイミングも直後で無く「わかる」から「出来る」になるタイミングが良いと思います。学んで実践してみて、使えるスキルなのか?習得できる為の設計になっていたのか?習得できたのか?このようなタイミングで評価することで、本当に従業員の役に立った研修設計が出来ていたかどうかの判断が可能になります。
まとめ
今回は質問の多い、研修の評価方法について書いてみました。
冒頭でも書きましたがアンケートでも良いです。ただ方法とタイミングを考えてみてください。
研修直後のアンケートによる満足度調査から、研修実施から数か月後の研修転移の評価へぜひ変えていきましょう!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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