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#200 『人生は美しいことだけ覚えておけばいい』

本日は、作家の佐藤愛子さんの「人生は美しいことだけ覚えておけばいい」についてのお話です。佐藤さんは、小説家・佐藤紅緑さんの娘で、父と同じ小説の世界で活躍しています。1950年に「文芸首都」同人となり、本格的に創作活動を始め、1969年『戦いすんで日が暮れて』で直木賞、1979年『幸福の絵』で女流文学賞、2000年『血脈』の完成により菊池寛賞、2015年『晩鐘』で紫式部文学賞を受賞します。

今回のお話は、三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎の孫娘で著作家の沢田美喜さんの言葉である「人生は美しいことだけ覚えておけばいい」が紹介されています。

楽しいことよりも美しいことの方が心に残る

“私の場合、言葉によって支えられたということはないですね。言葉が先にあって、その言葉で力づけられ自分の人生が決まったというのではなく、自分の人生が先にあって、人生観なり自分の気質なりにぴったり合う言葉を見つけた時に、嬉しくなってそれが力杖になる、ということだと思うんですよね。”
“そういう意味で気に入った言葉の一つに、「人生は美しいことだけ覚えておけばいい」という沢田美喜さんの言葉があります。”
“沢田美喜さんはエリザベス・サンダース・ホームを創設し、たくさんの戦災混結孤児を育てたです。ホームで育った黒人の混血孤児なんですが、成長して27,28歳の青年になって、アメリカへ自分のお父さんに会いに行く。ところがお父さんは喧嘩か何かして監獄に入っているんですね。胸が潰れるような思いでその青年は、沢田さんが来るのをニューヨークの公園のベンチに座って待っている。沢田さんの姿が見えると青年は掛け寄って、抱きついて、思わず泣くんです。その時に沢田さんが英語でね、「泣いてはいけない、人生は美しいことだけ覚えていればいい」と言って、青年を励ますという場面があるんです。”
“長いこと生きてくると、いろいろな経験をしてきますけど、楽しいことよりも、美しいことのほうが心に残るということが分かります。美しい自然、人の美しい心。そういう美しいことだけ覚えておけば、人生捨てたものじゃない、というふうに思えるわけでしてね。”


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/19『人生は美しいことだけ覚えておけばいい』
佐藤愛子 作家
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※Photo by Sebastien Gabriel on Unsplash