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#170 『死は前よりしも来らず、かねてうしろに追れり』

本日は、作家の清川妙さんの「死は前よりしも来らず、かねてうしろに追れり」についてのお話です。清川さんは、教職を経て、文筆活動に入るという経歴で、古典評論や映画解説、エッセイなど多岐にわたるテーマの執筆を行った作家さんです。個人的に以下の言葉がとても好きです。

楽しみは
「ある・なし」ではなく、
「感じるか否か」


今回のお話は、清川さんが夫と息子さんを亡くした時に感じたことが語られています。生きてることが当たり前であると思って日々過ごしていますが、死は突然やってくるものであることを改めて感じることができるお話です。

1日1日、家族など身近な人と過ごす時間は本当に貴重なことです。当たり前だと思わず、感謝することやその人のために自分ができることは何か、どんな状況も楽しむ心など、後悔のない生き方をしたいと思います。

"『徒然草』に、「死は前よりしも来らず、かねてうしろに追れり」とありますが、夫の死を知った時に心にひらめいたのがこの言葉です。それまでは古典は教養として受け入れていましたけれど、これはもう、聖書なんだと思いました。骨身に響く言葉なんだと思って。この言葉の後に兼好はこう続けています。"
"「人みな死あることを知りて、待つことしかも急ならざるに、憶えずして来る。沖の干潟はるかなれども、磯より潮の満つるがごとし」
人は誰でも、死の来ることを知っているが、そんなに急にやって来るとは思っていない。だが、死は予期せぬ時、突如として来る。沖のほうまで干潟になって、はるかな向こうまで広々としている時には潮が来るとは思わないが、突然、あっという間に磯のほうから潮が満ちてくるのと同じようなことなのだ、という意味です。"
"本当にこの通りですね。背中をポンと押して突き落とすような殺し方を運命はします。だから自分もいつ死ぬか分からないのだから、どう死のうと、喜び上手に、隅から隅までフルに生きたいとその時思いました。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/19『死は前よりしも来らず、かねてうしろに追れり』
清川妙 作家
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※Photo by Arnaud Mesureur on Unsplash