見出し画像

#51 『安田善次郎の遺した教訓』

"人間は「困窮」するところから始まる。困窮すれば、「挫折」するか、「発奮」するかのどちらか。挫折をした者はそこでおしまいだが発奮した者は「勤倹」する。勤倹貯金を実践すれば「富足」、つまりお金ができる。お金ができれば、「豪奢」な遊びをして利を貪るか、「修養」に励んで義を悟かのどちらか。利を貪れば、やがて「煩悶」に陥ってまた元の「困窮」へと戻ってしまう。しかし、修養に励んで義を悟れば、清らかな境地に至り、「安楽」に暮らせる。"

本日は、安田不動産顧問である安田弘さんの「安田善次郎の遺した教訓」についてのお話です。安田弘さんは、安田財閥の創業者である安田善次郎さんの曾孫であり、JPモルガン・アセット・マネジメント取締役相談役、マンダリン・オリエンタル東京取締役上席相談役、セコム監査役なども務めています。

今回のお話は、安田さんの曾祖父である安田善次郎さんが遺した教訓「身家盛衰循環図系」について多く語られていました。

「困窮」から始まり、「挫折」と「発奮」のどちらかに分かれ、発奮すれば「勤倹」(仕事に励み、倹約すること)、「富足」(財を築くこと)ができる。その後、悪い方向としては「豪奢」(ぜいたくで派手なこと)、「喩利」(利益を貪ること)、「煩悶」(うまくいかず苦しむこと)を経て再び困窮する。良い方向としては、「修養」(人格や品性を高めること)、喩義(真理を悟ること)、と進み、「安楽」(心身が安らかな状態のこと)、「清娯」(清らかな境地)に行く着くという内容です。

"曾祖父は非常に意志の力が強い人で、「克己」を自身の座右の銘にしていました。生きていく中で起こってくる様々な誘惑に負けず、己の弱い部分を抑えながら、自らに打ち克っていかなければならない。曾祖父はまさにそうした姿勢で一生を貫いた人でした。"

一代で安田財閥をあれだけ大きくした安田善次郎さんの意志力と人間力を感じることのできる言葉ですね。周りの誘惑や比較などどうしても気持ち的に揺らいでしまう時も、常に己との戦いで気持ちをコントロールして自分のやるべきことを貫き続けた方なんだと思います。

"善次郎は、どんな慈善事業であれ、人から強要されて寄付するのは真っ平御免だという姿勢で、自分のやり方、考え方を徹底的に押し通す人でした。"

周りがこうだから、みんながそうしているから、みんながそう言うから...。こういう状況に流されてしまうことが多いのが現代の特徴であるのかなと思います。しかし、その状態ではいつまでも「困窮」から抜け出せず、抜け出しても自分で貫けるものがないから「挫折」してしまう。

だからこそ、「発奮」することがまず大切なこと。自分が何を成すべきなのか、自分ができることは何なのか。自分と向き合う中で、自分に「言葉」と「狂気」を見つけること。昨日の浅見さんの話でもあった、「全ての発展繁栄は一人から始まる」とあるように、結局は自分が行動することでしか前には進めないということですね!


============
書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/02/20 『安田善次郎の遺した教訓』
安田弘 安田不動産顧問
============

※Image by Scottish Guy from Pixabay