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#359 『てんぷらに革命を起こす』

本日は、てんぷら近藤 店主の近藤文夫さんの「てんぷらに革命を起こす」についてのお話です。近藤さんは東京神田の「山の上ホテル」の「てんぷらと和食 山の上」で料理長を21年間務めて、その後独立して、ミシュランにも認定される「てんぷら 近藤」を営んでいます。

"当時は衣が厚くて素材の味をちっとも感じないてんぷらが多かった。それに、山の上ホテルもそうでしたが、いろんなお店を食べ歩いても、野菜のてんぷらを出すところがなかったんですよ。「野菜を揚げるべきじゃないか」と、江戸前てんぷらの主人に聞いたら、「江戸湾で捕った魚を揚げるのが江戸前のてんぷら。野菜を揚げたものはお惣菜屋さんが出すものだ」と相手にされない。"
"それでも、将来、野菜が必要になる時代が絶対に来ると私は考えていました。というのは、フランス料理だって、中国料理だって全部野菜が入るでしょう?てんぷらだけ野菜がないのはおかしい。だから私は生意気にも、野菜を取り入れることで、てんぷらを一つのコースが組めるような料理にしてやろうと思ったんです。"
"和食部門の料理長が続けて退職したことで、23歳の私が料理長をやることになりましてね。就任一年目に、「てんぷらに野菜を入れるべきだ」と吉田社長に直談判しました。そうしたら「俺もそう思う。やってみろ」と言われたので、野菜のてんぷらに積極的に取り組み始めたんです。"
"技術的にはとても難しかったのですが、試行錯誤を続けるうちに、野菜は薄い衣じゃないと香りが立たないことが少しずつ分かっていったんですよ。そのように、これまで誰もやったことのない新しいことにどんどん挑戦していくことで、お客さんも増えていって、いつしか「てんぷらといえば、山の上ホテル」と言われまでになったんです。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/25 『てんぷらに革命を起こす』
近藤文夫 てんぷら近藤 店主
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※Photo by pixabay.com