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#266 『四耐四不』

本日は、東京電力社長の平岩外四さんの「四耐四不」についてのお話です。中国・清時代の政治家曽国藩の「四耐四不」(「四耐四不訣」)という教えを平岩さんは安岡正篤先生からいただいたことが語れ得ています。

「四耐四不」とは、「耐冷」「耐苦」「耐煩」「耐閑」「不激」「不躁」「不競」「不随」 以成大事ということです。経営者である平岩さんに限らず、多くの人に響く言葉・意味なのではないかと思いました。

"安岡正篤先生の会は、学校の教室でやるような授業ではなく、東洋学を対象とした一種の私塾の趣きがありましたが、私は先生の東洋学を通して経営というものの真髄を教えられたと思っています。例えば、東洋の歴史には、過去数千年のあらゆる人間の動き、軌跡がある。だから、われわれがいまやっていることと近似した事歴が、十八史略のどこかに必ず出てくるのです。先生はそれを折に触れ、東洋学全般の漢籍の中から適切に表現してくれる。そういうことが無数にありました。"
"中でも一番鮮烈に憶えているというか、社長職について3年、事あるごとに眺めあかしたものに、先生からいただいた耐えるの書があります。
「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、激せず、躁がず、競わず、随わず、もって大事をなすべし。」
これは、私が社長になったときに書いてもらったものです。私が社長になった直後に、木川田一隆会長が亡くなり、心のよりどころが失って、非常に困っていたときにこの言葉をいただいたので、これをもっぱら、心の支えとして、経営の場に臨んできたつもりです。"
"冷というのは、まさにその通りだというのが社長になったときの心境です。社長というのは完全に孤立で、周囲は冷です。また、経営というのは苦しみですし、かつやたらに忙しい。煩わしいことの連続です。そういうのに耐えていかなくてはいけない、ということです。...さらにつまらぬことに腹を立てるな、という。躁がずというのは、調子がうまくいったからといって、はしゃいじゃいけない。競わずというのは、例えば社長と副社長が競争しあったり、あるいは変な喧嘩みたいなことをやるなということ。かといって、なんでもいいなりになっていてはいけない。こういう心得でやっていれば大事ができるんだ、ということです。"
"一つ一つが思いあたることばばかりです。この言葉は単なる言葉以上のものを私に与えてくれました。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/09/23『四耐四不』
平岩外四 東京電力社長
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※Image by Free-Photos from Pixabay