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#352 『母性のスイッチが入る瞬間』

本日は、助産師の内田美智子さんの「母性のスイッチが入る瞬間」についてのお話です。内田さんはこれまでに3000人以上の赤ちゃんの出産に立ち会ってきた助産師で、その経験から「命」や「生」などをテーマにした講演会活動も行っています。

"自分の目の前に子どもがいるという状況を当たり前だと思わないでほしいんです。自分が子どもを授かったこと、子どもが「ママ、大好き」と言ってまとわりついてくることは、奇跡と奇跡が重なり合ってそこに存在するのだと知ってほしいと思うんですね。"
"普段なら私たち助産師は、陣痛が5時間でも10時間でも、ずっと付き合ってお母さんの腰をさすって「頑張りぃ。元気な赤ちゃんに会えるから頑張りぃ」と励ましますが、死産をするお母さんにはかける言葉がありません。赤ちゃんが元気に生まれてきた時の分娩室は賑やかですが、死産のときは本当に静かです。しーんとした中に、お母さんの泣く声だけが響くんですよ。"
"死産の子であっても、お母さんにとって子どもは宝物なんです。生きている子ならなおさらです。一晩中泣きやまなかったりすると「ああ、うるさいな」と思うかもしれませんが、それこそ母親にとって最高に幸せなことなんですよ。"
"母親学級でこういう話をすると、涙を流すお母さんがたくさんいます。でも、その涙は浄化の涙で、自分に授かった命を慈しもうという気持ちに変わります。「そんな辛い思いをしながら子どもを産む人がいるのなら私も頑張ろう」「お乳を飲ませるのは幸せなことなんだな」と前向きになって、母性のスイッチが入るんですね。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/18 『母性のスイッチが入る瞬間』
内田美智子 助産師
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※Photo by Ignacio Campo on Unsplash