見出し画像

#37 『S君の生き方から教わったこと』

"K学院を目指して早くから通塾していた生徒たちの中でS君の成績はビリに近い状態でしたが、この塾で勉強するのが夢だったというだけあって勉強ぶりには目を見張るものがありました。"

本日はアビリティトレーニング社長の木下晴弘さんの「ある生徒から教わったこと」についてのお話です。

木下さんが代表を勤めるアビリティトレーニングのホームページには、このように紹介されています。

"生徒からの支持率95%以上という驚異的な成績を誇り、多数の生徒を灘高校をはじめとする超難関校合格へと誘う。「授業は心」をモットーに、学力だけではなく人間力も伸ばす指導は生徒、保護者から絶大な支持を得た。現在、株式会社アビリティトレーニングの代表取締役として、全国の教育機関で、教員・保護者・生徒向けのセミナーを実施している。そしてそのセミナーは様々な分野の各企業からも注目され、いまやセミナー受講者は350,000人を超えている。"


また、木下さんは本もいくつか出版されており、教育者として、指導者としてたくさんの人たちに影響を与えています。特に、「ココロでわかれば、人は本気で走り出す!」「学校では教わらなかった人生の特別授業」は今度読んでみたいと思います。


これまで様々な学生さんやその親御さんと向き合ってきた木下さんが出会ったS君。今回のお話の主人公であるのですが、ただただ感動的な話でした。父親を早くに亡くし、母親が女手一つで育てているという環境の中で、K学院に進学することが夢だったS君。生活を切り崩しながら、中学3年の途中でやっと塾に入ることができました。しかし、成績はビリに近い状態。

それでも夢に向かって頑張るS君の姿勢をみて、木下さんも心が動かされたのだと思います。

"一冊しかない参考書がボロボロになるまで勉強し、私もまた、他の生徒に気を使いながら、こっそり彼を呼んで夜遅くまで個別指導にあたりました。すると約2ヶ月後で700人中ベストテンに入るまでになったのです。まさに信じがたい伸びでした。"

たった2ヶ月でビリからトップ10に入るにまで成績がアップ。その時のS君はすごい集中力だったと思いますし、木下さんの教える力もすごかったのだと思います。

そして、入試が終わり、迎えた合格発表。木下さんは居ても立ってもいられず、発表時間より早くK学院に向かったという行動には、S君との関係やS君に対しての思いが強く伝わってきました。

結果は、K学院に見事合格。やったー!!



しかし...






"「先生。僕はK学院には行きません。公立のT高校で頑張ります」"

K学院を辞退することなど過去になかったにもかかわらず、S君は先生にそう伝えました。木下さんはすぐに察して理解しました。

"S君は最初から経済的にK学院に行けないと分かっていました。それでも猛勉強をして、見事合格してみせたのです。なんという健気な志だろう。"


K学院に行くことが夢だったS君の気持ちを想像した時にどんな思いがあったんだろうと思いました。特に、合格発表日の時ではなく、入試までずっと勉強を続けてきた時のことです。おそらく行けないことはその段階で分かっていたんだろうと思います。

それでも勉強を頑張り続けることができたS君のモチベーションは、K学院に行くことから、別の動機や理由に変わっていったのではないかと思います。

母親を少しでも楽にしてあげたい気持ちだったり、そのために最終的に目指すべきところはK学院より先にあるのでは?と思ったことだったり、なにより木下先生との関係性の中で、これだけ自分のために時間を使って教えてくれた先生のために、なんとしても合格したい!という思いがあったのではないかと思います。

人は自分のためではなく、誰かのために頑張るという目標を見つけた時に、本当の意味で頑張れるということを木下さんとS君の経験をもって強く感じました。

"3年後、嬉しい出来事がありました。東大・兄弟の合格者名が週刊誌に掲載され、その中にS君の名があったのです。「S君、やったなぁ」。私は思わず心の中で叫んでいました。"

私も思わず心の中で叫んでしまった...。すごく良いお話でした。


============
書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/02/06 『S君の生き方から教わったこと』
木下晴弘 アビリティトレーニング社長
============

※Image by Wokandapix from Pixabay