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#355 『剣道家の真価が問われる時』

本日は、剣道教士八段の一川一さんの「剣道家の真価が問われる時」についてのお話です。

"中学時代に剣の道に分け入り、気がつけば早半世紀以上が経ちます。修練を重ねるほどにこの道の奥深さ、険しさを痛感するいま、私の大切な拠り所となっているのが、父の遺してくれた教えです。範士八段、当代一流の剣道家にして野田派二天一流第十七代でもあった父は、終生求道の歩みを止めることなく、その人生を通じて得た様々な学び、悟りを膨大な紙片に書き遺しました。"
"「剣道は、元来、相殺傷する技術を学ぶので、残忍殺伐な道のように思われるむきもあるが、決してそのようなものではなく、あくまで教育的、道徳的な体育であり、精神修養法である」
「剣道で、勝ちさえすればよいという試合や、それを目的とした稽古をしていたのでは、決して本物にはなれない。目先の勝敗にとらわれず、基本に忠実な正しい稽古を地道に積み重ねる。稽古の本旨はここにあり、それが大成への大道である」"
"試合という目標のない剣道家たちが目指すべきものはなんでしょうか。私は剣の五徳、即ち正義、廉恥、勇武、礼節、謙譲だと考えます。もちろん、これは大会に出場する人も目指すべき普遍的な目標です。"
"剣道家としての真価が問われるのはまさに日常の場なのです。
「剣道の技量を伸ばすには、厳しい先生にかからなければならない。職場も一緒だ。厳しい上司に打たれても、打たれても、『お願いします』と真摯に向かい続けなさい」
自分の弱さを隠すことなく、真剣に打たれること。打たれる度に反省し出直すこと。大切なことは、道場で学んだ業を一般社会で実行していくこと。修業から修行へと昇華していくことです。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/21 『剣道家の真価が問われる時』
一川一 剣道教士八段
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※Photo by B Vi on Unsplash