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#05 『思考法を活用する』

6/25(金) Thinking Design Lab(TDL)の第5回の定例会を開催しました。

TDLの定例会とは?
①事前にテーマや問い(※「思考」に関わることや「思考」を通じて見える化できること)を設定する
②「思考設計」(Thinking Design)のポイントである『対話』(Dialogue)と 『整理』(Organize)をしながらその場で『言語化』(Output)する
③その時間で言語化したアウトプットをnoteで発信・共有する
→この3つのプロセスは、「見えないものを見えるようにする」というLabのコンセプトに基づいた「思考実験」をする場であり、発信・共有することを通じて、ニーズやリアクションがあるものはプロジェクト化やプログラム化する。


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今回のテーマは、「思考法の活用」についてです。翔泳社さんが出している『思考法図鑑 -ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60-』という本を参考に、思考法の活用について考えていきました。

※なお、今回のレポートはLab活動の発信であるとともに、翔泳社ブックアンバサダーの活動として『思考法図鑑』がより多くの人に広まることも意図しております。基本的に本レポートは、本の内容や60のアプローチについては触れず、「思考法をより有効に活用するためには?」という文脈で書かれたレポートになります。

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「Thinking Design = 思考設計する」にあたっては、「思考する方法」を知り、実践的に活用していくことが重要なアプローチであります。「Cooking :料理」で例えると、料理する方法であるレシピを知らなければ、実際にその料理をつくることはできないのと同じです。

一方で、「Method:方法」を理解したから、その方法通りに実践できる、または再現できるかどうかは別問題です。料理以外のことにおいても、学習やインプットをしたから、または思考したからといって、すぐに実践できる、再現できることは稀だと思います。

とはいえ、学習やインプット、思考したことは、実践しなければいつまでもできるようにはならない。そのため、「思考と行動は両輪」であるということが思考法を活用する上でポイントになると思います。

定例会においてそのような対話をする中で、「思考法はどのタイミングで学ぶことが最適なのか?」という問いが生まれてました。この問いを考えるにおいてのポイントとして、「先人たちが体系化してきた思考法やフレームワークが一体、どのように体系化されたのか」ということです。

「にわとり・たまごはどちらが先なのか」という議論がありますが、これらの思考法は先人たちより先に思考法やフレームワークが存在したということは考えにくいことは感覚的にわかります。では、先人たちはどのように体系化したのか?
それは自身の「行動」を振り返り、分析したからであると思います。料理でいうと、初めからレシピ(=思考法)があったのではなく、素材を集めたり、自らつくったりして、その素材を組み合わせて調理することを試行錯誤して繰り返す(=行動する)中で、レシピを発見したのだと思います。

この順序であれば、「思考」より「行動」が先にあるということがわかります。行動することで素材ができ、その素材をどのように組み合わせるかを思考してレシピを開発し、開発したことを実践したり、試したりして失敗を繰り返して、成功という結果を出してきたわけです。その上で、失敗と成功の両方の要因や過程を分析し、体系化したものが思考法やフレームワークになったということです。

これらの流れから、「行動=素材」→「思考=レシピ」→「アウトプット=調理」→「思考=分析」という法則が成り立つのではないかと思います。この法則を押さえた上で、先ほどの「思考法はどのタイミングで学ぶことが最適なのか?」という問いの答えは一つです。

思考法は学ぶこと以上に、行動した結果の後に思考したことで生まれる、または思考した後に活用することで意味があるということです。行動すると良くも悪くも必ず結果が出ます。その結果が出るまでの過程を振り返る時に、または振り返った後に思考法を活用する時に、思考の質が深めることができるのではないかと思います。

思考の質を深める経験をすることで、実践においても思考法を活用しながら行動することができるのだと思います。つまり、「行動=素材」→「思考=レシピ」→「アウトプット=調理」→「思考=分析」行動=素材」→「思考=レシピ」→「アウトプット=調理」→「思考=分析」・・と先ほどの法則はサイクルしていくのです。

そのサイクルを繰り返す=さまざまな経験をする過程で、自分なりの思考法やオリジナリティが生まれてきます。『思考法図鑑』の中に書かれていた表現に「思考のズームインとズームアウト」がありますが、思考と行動の両輪が駆動しているということは、インとアウトの視点を自在にコントロールすることができ、さらに自分の視点だけでなく相手の視点でも物事を考えることができるのだと思います。

「森と木」「マクロとミクロ」「全体と部分」といった物事を見る視点を変えることも、思考法を構築することにつながりますし、思考法を活用することにもつながります。そのため、先人たちが体系化した思考法やフレームワークはどのような視点で捉えられているかを見ることで、思考法の活用場面がより具体化するのではないかと思います。

数学の関数でxyzの3次元の考え方がありますが、どんな物事も3点で捉える習慣をつけると、思考の質が高まり思考法の活用が有効になると私たちは考えています。第1者と第2者と第3者の3点、幅と高さと奥行きの3点、現状と理想と課題の3点、平面だけでなく立体の3面で捉えるなど、違う視点で物事を見ることが思考法をより有効に活用するにおいて重要なアプローチであります。

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思考法やフレームワークをなかなか活用できていない、学習(インプット)したけど実践(アウトプット)できていない、自分には関係ない、と思考法の活用に困っている人は、まずは過去の自身の行動と結果を振り返ることをおすすめします。その時に3つの視点でより捉えて分析してみてください。

そのプロセスを経てから、改めて思考法をインプットすると、思考の質が高まる感覚があると思います。上記で振り返ったことがある思考法で整理することができたり、ある仕事の場面でパッと閃いて、実際に思考法を活用することができたりするかもしれません。

思考法に限らずですが、せっかくインプットして頭でわかっていても、アウトプットできないという状態は、心まで納得感がないからというケースが大半であると思います。

私たちは思考設計していくステップとして、「認識」→「理解」→「解釈」→「納得」の4つのテーマを設定しているのですが、上記の状態は「理解」の後の「解釈」が不足しているから次の「納得」に至らないと考えています。インプットして「理解」した後に、思考を深めて「解釈」する時間が足りていないのです。

思考を深めて解釈をするためには、考えるための素材である「行動」、その行動を振り返って「体験」という素材にしていくアプローチが必要なわけです。そのため「納得してないから行動できない」のではなく、「行動していないから納得できない」という順序でアプローチしていくことです。

体験の量(行動量)×体験の質(振り返り)=素材(自身の経験)
素材(自身の経験)×レシピ(思考法)=調理(アウトプット)


この方程式で、思考と行動は両輪であることが証明できるのではないかと思います。自身の行動や体験を振り返り、言語化したりして素材にすることで初めて思考法の活用や独自の思考法の発想ができます。思考法が体系化された本やプログラムは世の中にたくさんありますが、思考法をより有効に活用するものはまだまだ少ないのではないかと思います。

『思考法図鑑』のように実践的なアプローチがより活用されるために、私たちは思考と行動の両輪が動く仕組みという視点で今後プログラムを開発していきたいと思います。『思考法図鑑』からの『思考法ドリル』を今後考えていきたいと思います。

以上、Thinking Design Labの第5回の定例会レポートでした。
次回のテーマは「思考を深めるキーワード」です。お楽しみに。


■プロジェクトメンバー募集中

「見えないものを見えるようにする」というコンセプトをもとに活動する私たちのLabは、「対話」(Dialogue)を通じて、言語化や構造化して「整理」(Organize)をし、その体験や思考プロセスを体系化したプログラムを「設計」(Design)していく活動をしています。
 
プログラムは、新たな価値(=思考と行動の両方がアップデートされる仕組み)を提供することができる人の発明を目的に、ビジネス(事業)をつくるというよりは、「ジョブ」(課題解決/機会)をつくる方向を考えています。

思考実験する場をもっと多くの人と共有・共創していきたいと思っています。ぜひ興味関心のある方は、一緒に何か取り組みをしたり、イベントやプロジェクトを企画したりしたいので、お気軽にお声かけください。

※サムネイル画像内の本写真:翔泳社より