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#118 『マニュアルの先にあるものを読む』

本日は、四川飯店オーナーシェフの陳建一さんの「マニュアルの先にあるものを読む」についてのお話です。陳さんのお父さんは、四川料理の第一人者である陳建民さんで、お父さんとのエピソードは今回のお話の原点でもあります。

陳さんは父の出張料理について行って、父が一番仕事をやりやすい状態をつくることが僕の仕事だったと語っています。その経験がまさにタイトルにある「マニュアルの先にあるものを読む」ことにつながるのではないかと思います。

「自発性」という言葉がありますが、物事や仕事を自分ごと化して、自分で考え、行動することが大切であるというのが今回のお話から感じることができます。また、その行動の先にはお客様がいて、その人たちが喜び、笑顔になるために自分ができることを全力でやることが大切であるを改めて感じるお話でした。

"伸びていく子はちゃんといて、そういう子は一緒に仕事をしているとすぐに分かっちゃう。例えば、どこかのホテルに仕事に行くとするでしょう。仕事の内容は決まっているけど、僕からは事前の指示は何も出さないの。だいたい長く一緒にやっている子は、何をすべきかが分かるからそれなりに働ける。"
"料理を提供するっていう最終目標があるわけだから、それに向かって準備すればいいわけだから。そういうことをパッパッパッってやれる子はどんどん伸びる。これをやっておいたほうがいいんだろうなって考えられるから、どんどん動くことができるのね。反対に次に何の指示が来るのか待っている子は伸びない。もちろん指示を出せば、間違いなくやるけど、自分からは動けないの。その違いだよね。"
"その場の状況を見て、いまこれが必要だと感じたらスッと動くことができる人。要はどれだけ気が利くかってことだよね。"
"段取りの仕方は簡単に教えられるものじゃない。それに持って生まれたものって人間必ずあると思うの。僕が親に感謝しているのは、初対面の人でも気兼ねすることなく笑顔でペラペラ喋れちゃう性格に産んでくれたことかな。"
"僕の考え方は単純で、料理人=サービスマン。料理人よ、サービスマンたれと。だからうちの店では、ご存知の通り、お客さんがいつでも調理場の見学ができる。そうすると皆が笑顔で迎えるでしょう。見られることで弟子たちも成長する。料理人だからって料理を作っているだけじゃダメ。うちはディズニーランドを目指しているんだから。"
"ただ、職人の中にはそういうのが嫌いなのもいる。すごい技術を持っているけど、黙って集中するとか笑顔が出ないとか。僕はね、そういう職人はそっとしておくの。だってできないものは、できないんだから。しょうがないよね。それはその人間がよい悪いという問題とは違うからね。よく料理人として一流になりたいって言うじゃない。僕はそういう意識は全然なくて、それよりもきょうお店に来てくれたお客さんに喜んで帰ってもらうために全力を尽くすだけ。あとはもう他人が評価してくれることだから、自分でどうこう言うもんじゃない。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/04/28 『マニュアルの先にあるものを読む』
陳建一 四川飯店オーナーシェフ
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※Image by Pexels from Pixabay