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#116 『段取り力を鍛える』

本日は、日本料理「賛否両論」店主の笠原将弘さんの「段取り力を鍛える」についてのお話です。笠原さんの実家は、焼き鳥店「とり将」を営んでいて、高校生の時にお母さんが病気で亡くなったことをきっかけに、料理への道に。

今回のお話に出てきますが、日本料理の老舗「正月屋吉兆」で9年間の修行を経て、自身のお店「賛否両論」を開店しています。店名は「100人に1人、自分の料理とやり方を認めてくれればよい」という思いが込められており、2004年の開店以来、予約が取れない店として有名です。

今回のお話は、笠原さんが「正月屋吉兆」での修行時代に大事にしていたことが語られています。個人的には、ものすごく共感するお話で、自分の居場所やポジションをどのように確立するかで、社会人1年目〜3年目くらいの時のことを思い出しながらお話を読んでいました。

また、改めてどの年になっても、どんな経験をしてもこの笠原さんの「初心」を大事にする姿勢や「段取り」という考え方は常日頃意識していたいと思いました。

"いよいよリアルに進路を決める段階になって、たまたまテレビでパティシエのワールドカップみたいなドキュメンタリー番組をやっていたんですね。当時はサッカーも毎度ワールドカップは予選落ち、野球もメジャーリーグでそこまで活躍している人もいなくて、日本人って世界に通用しないんだと思っていました。ところが、強かったんですよ、その日の丸をつけたパティシエの日本代表チームが。"
"自分も手に職をつけて、世界で戦えるような料理人になろうと思って、父に話しましたら、「じゃあ、日本料理の修行をしてこい」と。それで東京の吉兆に入社しましたが、僕以外の同期はみんな調理師学校を出ていて、ズブの素人は自分だけ。だけど1ヶ月くらい仕事をしたら、全然問題ないなと思いました。"
"もちろん、最初は僕だけ何もできませんから、大きな声で返事をすること、掃除や鍋磨きをさせたら笠原が一番綺麗だぞ、と言われることを意識しました。あと、買い物とか得意だったんですよ。小さい頃からおつかいを頼まれてきましたが、うちの親父は無駄や効率が悪いのをすごく嫌って、「商店街をこういう順番で行けば一回で済むだろう」とか、うるさかったんですよ。"
"だから修行時代もそういうことを意識して、買い物に言っても最初に重い物を買うと大変だから、このルートで回ると一番効率がいいなとか、品切れの時はどの店に同じ物が置いてあるかを覚えておく。あとは、帰る前に電話を入れて「これから帰りますが、追加はありますか?」と確認する。そうすると、先輩に「あいつ、気が効くな」と思われるじゃないですか。"
"「これやっておけよ」と言われた仕事を、先輩が思う倍のスピードで終わらせると、「じゃあ、これもやるか?」となりますよね。あるいは、大量の弁当の注文が入っているとか、明らかにいつもとは仕事量が違う日があるじゃないですか。これは先輩たちだけじゃ間に合わないっていう、そのチャンスに気づけるかどうか。"
"そういう準備をしておけば、目が回るくらい忙しい時に「手伝わせてもらえますか」と申し出たら、先輩もやらせてくれますよ。ただ、その時に「笠原だったらやらせてもいいかな」と思われる仕事ぶりを、常日頃から心掛けておくことですね。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/04/26 『段取り力を鍛える』
笠原将弘 日本料理「賛否両論」店主
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※Image by StartupStockPhotos from Pixabay