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#04 『個人もMVVを掲げよう』

6/18(金) Thinking Design Lab(TDL)の第4回の定例会を開催しました。

TDLの定例会とは?
①事前にテーマや問い(※「思考」に関わることや「思考」を通じて見える化できること)を設定する
②「思考設計」(Thinking Design)のポイントである『対話』(Dialogue)と 『整理』(Organize)をしながらその場で『言語化』(Output)する
③その時間で言語化したアウトプットをnoteで発信・共有する
→この3つのプロセスは、「見えないものを見えるようにする」というLabのコンセプトに基づいた「思考実験」をする場であり、発信・共有することを通じて、ニーズやリアクションがあるものはプロジェクト化やプログラム化する。


今回のテーマは、「MVV」(※MVV=Mission/Vision/Valueの頭文字を取ったもの)についてです。前回までの3回の定例会(ポートフォリオ、時間の活用術、お金の活用術)を通じて、ある「共通の問い」が見えてきました。

「自分は何のために生きているのか?何のために仕事をしているのか?」


「ポートフォリオ」=これまでの自身の活動のトリセツを通じて、自分は何のために、何を大切にして活動してきたのか。時間とお金の活用を通じて、自分は何のためにそれらに時間を使うのか、何のためにそれらを買うのか。

このような問いから生まれた共通の問いが「自分は何のために生きているのか?何のために仕事をしているのか?」でした。そして、これを考える上で最適なアプローチがMVVなのではないかと思いました。今回の定例会では、Labメンバーの穂積さんのMVVを設計するワークを実施しました。

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ところで、「ミッション・ビジョン・バリュー」という言葉を聞いたことはありますか?また、今勤めている会社は、MVVを明文化して掲げているでしょうか?

以下は、電通報というメディアの「ミッション・ビジョン・バリュー」についての記事と引用です。

MVVは、企業の背骨のようなもの
MVVは、経営学者のピーター・F・ドラッカー氏が提唱したもの
・ミッション=社会で果たしたい役割や存在意義を具体的にする
・ビジョン=ミッションが実現した時、客観的にどう見られているのか具体的にする
・バリュー=企業と社員が大切にする価値観や行動指針

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上記のように、一般的にMVVは「企業」という単位で捉えられていますが、個人単位でも捉えることができる思考法であると私たちは考えています。

Mission:社会で実現したいこと、自身の存在意義
Vision:ミッションが実現した時の状態、客観的にどう見られているか
Value:大切にする価値観や行動指針


また、MVVはそれ自体が他者に何か影響を与えるものではなく、自身の思考や行動に影響を及ぼすものであると考えています。「自分は何のために生きているのか?何のために仕事をしているのか?」という自身への問いを考えることにつながります。

ワークではまず穂積さんのMissionを言葉にしました。

『生き甲斐を感じて行動する人を応援する』


Missionは以前から穂積さんが大事している考え方だったのですぐに出ました。ただ、次の上記のミッションが実現した時の状態、つまり「未来の姿」であるVisionがなかなか言語化できませんでした。なぜ言語化できないのか?その要因を一つずつ対話を通じて整理してく中で、いくつかの要因が見つかりました。

・未来に対しての想像が不足している
・不確実性
・未来に対する期待がそもそもない
・時間軸で区切ることへの違和感
・リアリスト
・一方で、周りは大きなゴールを描くことは大事だと言っている
・宣言をしてできなかった時の恥ずかしさ


さらに、これらの要因から2つの「思考の偏り(バイアス)」が見えてきました。

①具体的な行動=Doの視点で考えている
②周りの声に影響を受けている

バイアスというものは基本良い悪いというものではありません。自身がどのような思考に偏っているかを理解することで、別の視点や見方があることに気づくことが大切です。自身のことを言語化できないということは、何か障壁やモヤモヤするものがある証拠なので、それらを洗い出してバイアスになっているものを探すことが必要です。

自身の思考のバイアスを定義した上で、どのようなアプローチを取ることで別の視点で物事を捉えることができるか。穂積さんの場合は、

①具体的な行動=Doの視点で考えている→ありたい姿=Beの視点で考える
②周りの声に影響を受けている→自分の原体験から考える

の視点で考えるアプローチが良いと思いました。
ちなみに、DoとBeという言葉を書いていますが、そのポイントとして、

・「〜である」「〜でいる」というBeは状態、意識、姿勢のことで、何かを「つくる」「〜をする」というDoではないということ
・Doから考えると、その行動をできる/できないで考えてしまい、できないが先行すると未来が想像しづらくなるため、Beから発想して、ありたいか/ありたくないかで考え、ありたいものに集中すること

の2つがあります。「やりたいことが見つかりません」という声を聞くことがあるのですが、その要因の多くは、Doの視点で未来の自分を想像するからだと思います。「Doの落とし穴」とも言えるのですが、行動ベースではなく、状態や意識ベースでまずは自分はどうありたいか、どうあると自分らしくいられるのか、から考えることが大切であると思います。どうありたいかに「納得感」がない状態で、やりたいことは浮かんでこないのではないかと思っています。

そして、Visionは未来の姿と定義しましたが、未来は基本的に見えないものです。そもそも見えないものを考えるということは難しいことです。その対象が大きければ大きいほど(世界平和とか)、自分とは関係ないこと(基本的には他人のこと)であればあるほどより難しくなります。一方、自分のこと、特に自分はこうありたいという状態や意識であれば、ハードルは下がるのではないかと思います。穂積さんはこの視点を取り入れて考える視点が変わったとおっしゃっていました。

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バイアスを理解した上で、穂積さんが「生き甲斐を感じて行動する人を応援する」というミッションを通じてどうありたいか?を改めて考えてみることにしました。ミッションにある「生き甲斐」「行動する人」「応援する」の3つを要素分解してアプローチすることにしました。

「生き甲斐」(=目に見えないもの)の定義:「人のためになっている」「ありがとうと言ってもらえている」状態の時に感じれるもの

「行動する人」(目に見えるもの+対象は相手)の定義:(理想は)「ギブアンドギブできる人」→(しかし現状は)「行動したい気持ちはあるができていない人」

「応援する」(目に見えるもの+自身の行動)の定義:行動したいという思いを言語化するために、対話をして一緒に構築していくこと、後押しすること、並走すること

※視覚障害を持った運動選手:能力は保有しているけど、活躍するフィールド(機会)に踏み出すことが一人では難しい

穂積さんが関わっていきたいと思っている人は、行動したいけどできていない人で、その人は何かしら「思い」(現在〜未来)や「原体験」(過去〜現在)を持っているけど、一歩踏み出せない(メンタルの問題)orきっかけがない(機会・環境・仲間の問題)orやり方がわからない(方法・スキルの問題)を抱えている、ということです。

さらに、対話をしていく中で「感動価値」の「複利」を生み出すサイクルを作りたいという考えも出てきました。毎日1%の感動が生み出すことができれば、1年後には37.8倍に感動価値が高まるという複利の考え方。穂積さんが相手に感動価値を与え、その相手がまた別の誰かに感動価値を与えることだったり、お金の観点だと支払った金額以上の価値に感動価値が生まれ、人のためになっていたり、ありがとうと思える、という考え方です。

ここまでの対話と整理のプロセスで、穂積さんの「コアバリュー」といえる、核となるものが見つかりました。

一歩踏み出す→外の世界に踏み出す→Outdoor



穂積さんの原体験は「Outdoor」にあります。1年ちょっと前に「PlayTalk」という番組で穂積さんと対話した時のテーマは「アウトドア」でした。


穂積さんの「原体験」と「いまの活動」のベースにあるものは「アウトドア」であり、その経験のエッセンスを抽出すると、「一歩踏み出すこと」であり、そういう人たちを一人でも多く応援することが穂積さんのMVVなのだと思いました。最終的にワーク内で言語化したものがこちらです。

Mission:生き甲斐を感じて行動する人を応援する
Vision:行動し続ける状態=人に感動をギブし続けている=常にチャレンジ(アウトドア)している
Value:思いを対話を通じて見える化する、思いをカタチにして後押しする、一緒にチャレンジを並走する

素敵なMVVです。
人が行動をやめてしまう要因に、「変化を感じれていないこと」があると穂積さんはおっしゃっていました。だからこそ、一歩踏み出して変化を感じていくことが大切なのだと思います。モルモットのようにぐるぐる回っているだけで、実は何も変化していない状況ではなく、外に出て新しいことにチャレンジして本当に自分がありたいと思えることを見つけていく状況こそ、本質的な変化なのだと思います。

MVVを定義することで、本質的な変化を自身に促し、その行動によって影響を受けた相手も本質的な変化をすることができるのではないか、というのが今回の対話と整理のワークで気づくことができた第4回の定例会でした。

以上、Thinking Design Labの第4回の定例会レポートでした。
次回のテーマは「思考のフレームワーク」です。お楽しみに。


■プロジェクトメンバー募集中

「見えないものを見えるようにする」というコンセプトをもとに活動する私たちのLabは、「対話」(Dialogue)を通じて、言語化や構造化して「整理」(Organize)をし、その体験や思考プロセスを体系化したプログラムを「設計」(Design)していく活動をしています。
 
プログラムは、新たな価値(=思考と行動の両方がアップデートされる仕組み)を提供することができる人の発明を目的に、ビジネス(事業)をつくるというよりは、「ジョブ」(課題解決/機会)をつくる方向を考えています。

思考実験する場をもっと多くの人と共有・共創していきたいと思っています。ぜひ興味関心のある方は、一緒に何か取り組みをしたり、イベントやプロジェクトを企画したりしたいので、お気軽にお声かけください。

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現在、40の仮テーマのブレスト、4つの思考実験、1つのプログラムづくりに着手し始めています。100のプロジェクトテーマはメンバーを増やしていきながら、ブラッシュアップしていきながら、少しでも多くの実験と実践をしていきます。


サムネイル写真:Photo by Hannah Olinger on Unsplash