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『働きがい』を考えるときの4つのアプローチ

今週のThinking Design Labの定例会で、「最近の関心事」について話をしていたら、メンバーから「働きがい」というキーワードが出てきました。背景としては、そのメンバーが「100人メンター」プロジェクトを実施しているのですが、現状、最大公約数的に多い課題が『働きがい』についてだそうです。

個人的に『働きがい』について考える機会がなかったのと、メンバーが100人メンターをする際の参考に少しでもなればと思ったので、「働きがいを考えるときの4つのアプローチ」について言語化しました。

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『働きがい』というキーワードを聞くと、

・仕事をする意義
・仕事のモチベーション
・仕事のやりがい
・自分のやりたいこと etc..

このようなことを想像するのではないかと思います。その上で、特にメンターという立場の人に対して『働きがい』というワードを発言するということは、おそらく「仕事に対して何らかの課題、悩み、不安、不満がある」ということなのだと思います。(その逆の「働きがいがある」という話もあるのかもしれませんが...)

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こんな感じの悩みや不安があるのではないかと思います。

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こちらのページにある公益社団法人国際経済労働研究所によると、

働きがいを「ワーク・モティベーション」と定義しています。仕事へのモチベーションは、環境や条件といった要因から外発的に生まれるのではなく、仕事そのものから内発的に生まれることが研究により明らかになっています。


従業員のエンゲージメント状態を可視化・数値化するサービスを提供するモチベーションクラウドによると、

「働きがいがある」状態とは、会社と個人が相互に信頼しており、個人が自らの意思で前向きに仕事をしている状態を表します。「働きがい」は、「働き甲斐」に変換することもでき、この「甲斐」には「○○する値打ち」という意味があります。つまり、働き甲斐の有無は「その会社で働くだけの値打ちがあるかどうか」とも解釈できるのです。この「値打ち」の有無や基準は個人の志向性によるところが大きいため、一概に会社のどの要素が働き甲斐に直結するのかは、明確ではありません。


ONE TEAM Labの記事の中では、働きがいのある職場に共通する4つの特徴について、

特徴1:経営理念がシェアされている
特徴2:カルチャーがあり根付いている
特徴3:コミュニケーションが良好な状態を保つ
特徴4:社員の「やりたい!」をサポートする環境


「働きがい」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work(GPTW)によると、

多くの従業員や経営者への取材や調査を通じて、「働きがい」の土台となる要素を見出しました。

■信用
■尊敬
■公正
■誇り
■連帯感
「働きがいのある会社」とは「働きやすさ」と「やりがい」の両方がかね備わった組織である

※ちなみに、GPTWは「働きがいのある会社ランキング」を発表しています。

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いくつかのサイトから『働きがい』について、『働きがい』のある会社についての定義を引用しましたが、読んでみて感じたことは、

①抽象度が高い、もしくは目に見えにくい
②管理職や経営者視点での働きがいであること
③結局は客観的なものではなく主観的なもの

という3つの視点でした。その上で自分が『働きがい』に対してアプローチするとしたら、

①目に見えにくい → 目に見えるもので考える
②管理職や経営者視点 → 自分視点での働きがい
③主観的なものである → 正解・不正解があるものではない

という3つの視点で『働きがい』を捉え直してからアプローチすることだと思いました。言い換えると、捉えにくい構図で考えてアプローチしていると「働きがいの沼」からは脱却できないということです。数学の因数分解のように、一見捉えにくい数式をわかりやすい数式にすることは、私の仕事である思考設計(Thinking Design)おいては重要なポイントです。

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因数分解した3つの視点「目に見えるもので考える」×「自分視点での働きがい」×「正解・不正解があるものではない」から『働きがい』を思考するときの4つのアプローチを考えました。

先に結論をいうと、この4つのアプローチのどれを選択するかは個人の自由であり、また、この選択肢以外のアプローチもあるということです。今回は、一般的な思考法の一つである2つの軸で4事象に区分するマトリックスで考えてみました。

まずは2つの軸として、縦軸を「自己」と「他者」、横軸を「受動」と「能動」で『働きがい』を思考するアプローチを整理しました。「自己」は自分のこと、「他者」は自分以外の誰かのこと、「受動」は何もアクションを起こさないこと、もしくはその状態を受け入れること、「能動」は自分からアクションを起こすこと、もしくはその状態を変化させること、と定義します。

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『働きがい』を思考する際の4つのアプローチ


①他者に流される
②働きがいを期待しない
③自分の働きがいを向上させる
④働きがいではなく貢献に目を向ける

の4つです。それぞれについて簡単に説明します。

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①他者に流される:「他者」×「受動」

上記でも書きましたが、『働きがい』は見えづらく捉えづらいものです。「働きがいのある会社」や「働きがいのある職場」という視点だと、特に経営者や管理職などある程度自分で会社やチーム全体をコントロールできる立場でないと、働きがいは自分一人では変えられないと思います。

それで良いと思います。自分で変えられないものを無理に変える必要はないし、他者に流されても全然OKということです。ただし、それが受け入れられない、悩みが続くのであれば会社を変える(『働きがい』を感じることができる会社に行くなど)アクションか、②以降のアプローチを取ってみてください。

②働きがいを期待しない「自己」×「受動」

他者に流されるのは嫌だと感じるのであれば、自分の捉え方を変えてしまうのも一つの選択肢です。『働きがい』をそもそも考えない、そんなものはどうでもいいと、『働きがい』を期待しないことです。そもそも『働きがい』について何か悩みや不安がある人の多くは、自分が一所懸命働くことに対して見返りを求めているのではないかと思います。

例えば、自分の仕事に対して相手から「認めてもらう」「褒めてもらう」「感謝してもらう」といった承認欲求があります。何か相手に期待をし過ぎてしまうと、『働きがい』も期待するような思考になります。少し冷静になってみて、そのような承認なんてどうでもいいやと楽観的に物事を捉えてみてください。それでもやっぱり『働きがい』を感じたいということであれば、③以降のアプローチを取ってみてください。

③自分の働きがいを向上させる「自己」×「能動」

他者に流されるのも、『働きがい』を期待しないのも受動的なアプローチで、何かアクションを取ることなく現状維持することが基本です。それを受け入れることができれば何ら問題はないですが、『働きがい』を自分主導で良くしたいと思うのであれば、どうすれば『働きがい』を向上させられるか考えてアクションしてみるアプローチが選択肢としてあります。

その際の要素をさらに分解してみると、

1.マインドセット:自分の価値観や信念を言語化すること
2.習慣の改善:特に日々の無意識に行なっていることの見直し
3.スキルアップ:仕事を遂行するにおいて必要なスキルを学習する(本を読む、セミナーや勉強会に参加するなど)
4.メンターの活用:自分のことを客観的に見ることができる人との対話やその人からのフィードバックなど
5.人間関係の改善:自分が日々付き合っている人を変えてみる、その人とのコミュニケーションや関わり方を変えてみる
6.新しいことへのチャレンジ:趣味を増やしてみる、ボランティアや個人活動をやってみる、社内の新規事業やチャレンジできる制度を利用するなど
7.成果の創出:1~6までの思考や行動を通じて仕事で成果を出すこと


1に近い方が目に見えにくい、他者から評価されにくいですが、すぐにアクションできることであります。一方、7が最も目に見えて他者が評価しやすいものであり、『働きがい』を感じやすい要素の一つであると思いますが、結局は1~6の結果が7であるので、まずは1~6でできることに集中してみてください。(もっと要素を細かく分解することも、他の要素もあるかと思いますので、参考までに取り入れてみて、自分なりの『働きがい』を向上させるアプローチを構築してみてください。)

④働きがいではなく貢献に目を向ける「他者」×「能動」

①〜③までのアプローチは『働きがい』が焦点にあり、それを受け入れるか、向上させるかのアプローチ方法です。④のアプローチは自分視点の『働きがい』ではなく、他者視点の貢献に目を向けることで、結果として『働きがい』を感じること、もしくは『働きがい』という次元を超えた何かを感じることです。『働きがい』に悩みや不安がある人は「自分が一所懸命働くことに対して見返りを求めている」と先ほど言いましたが、見返りは受動的なスタンスです。一方で他者に対する貢献は能動的なスタンスで、自分から相手に対して何かをギブするアクションであると言えます。

「認めてほしい」 → 「認める」
「褒めてほしい」 → 「褒める」
「感謝してほしい」 → 「感謝する」

という見返りではなく、自分を主語にして相手に対して能動な行動を取ることで他者への貢献を意識することです。『働きがい』に正解不正解はない、この4つのアプローチのどれを選択するかは個人の自由であると言いましたが、私個人は、この④の「働きがいではなく貢献に目を向ける」を意識するようにしています。

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4つのアプローチを言語化してみました。とはいえ、日々仕事をしているとうまくいかないことや嫌なこともあって、『働きがい』を感じれていないと思うことは私もあります。そんな時こそ、自分視点に思考を切り替えて、自分主導で行動できることにアプローチすることが大切であると思っています。

Labメンバーが実施している100人メンターもそのことを理解しているからこそ、一人でも多くの人に自分視点で考え、自分主導で行動することの大切さを伝えたいのだと思います。Labメンバーとの対話の時間があったから、私自身も『働きがい』を考える機会となり、思考の時間があったから自分なりの『働きがい』に対するアプローチを言語化することができました。(ありがとうございます!!)

私たちのLabは対話がスタートであり、思考設計するにおいての重要なファクターと捉えています。定例会では主に、対話で生まれたキーワードを一つ一つ深堀りしていくことや、その過程で新しい発想が生まれることを目指しています。このような時間とプロセスをより共有できる仲間を増やしていけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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