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#151 『物事を成就させる秘訣』

本日は、理学博士の西堀栄三郎さんの「物事を成就させる秘訣」についてのお話です。西堀さんは、京都帝国大学理学部化学科を卒業し、京大講師・助教授を歴任した後、東京電気(東芝)に移ります。東芝技術本部長時に、海軍の要請を受けて、真空管「ソラ」を開発し、技術院賞を受賞します。戦後の時代は、技術コンサルタントとして統計的品質管理手法を確立し、デミング賞や電電公社総裁賞を受賞。戦後日本の工業発展の礎の一つであると言われています。

その後、京大に助教授・教授として復帰。その他、登山家として第1次南極観測隊の副隊長兼越冬隊長や日本山岳協会会長を、日本原子力研究所理事や日本生産性本部理事も務めました。1973年には勳三等旭日中綬章を受章、1989年に86歳でお亡くになりました。


今回のお話は、「物事を成就させる秘訣」として、目的を持つことや創意工夫をすること、感謝することの大切さが語られています。また、数々の功績やリーダーとして実績を残してきた西堀さんのお話から「人を動かす」ヒントを得ることができると思います。

"大事なことは目的をはっきりさせることですね。なんのために私たちはこういうことをするんだということを、まずはっきりさせる。目標じゃない、目的です。それをはっきり認識させる。それから、みんな、その目的に対して忠誠をお互いに誓うわけです。隊長とか人間に対して誓うんじゃなくて、目的に対して忠誠を誓うわけです。"
"その次はその人たちを常に倦ましめない、退屈させないこと。次から次へと具体的な仕事、共同でやる仕事を与えることです。その時に大切なのは、仕事というものの喜びがどこにあるかということを考えることです。それは結局、その人がどれだけ人間らしく、創意工夫を働かせたかということに尽きる。つまり、きのうよりきょう、きょうよりは明日というふうに、なにがしかの進歩がそこにあるように工夫をさせるということです。創意工夫を少しずつでも働かす、そうして困難なことがあっても、創意工夫によって克服し得ますね、その人はえらい張り切るようになる。"
"同時にね、みんなで感謝することです。「あぁよかったなぁ」「よくやるなぁ」と。さっき言った目的に近づいていることに対して意識し、感謝する。そうすると、みんな、ものすごい張り切ります。一例をいいますと、我われのパンはコックさんが毎朝、焼いてくれる。パンはイーストをあたためて発酵させて作るんです。彼は自分の寝袋の中にイーストを入れたやつを抱いて寝る。それをみんなに食わしてくれる。「あぁ、こんなにうまいパンは東京では食えんな」と言うとですね、彼はますます張り切って焼いてくれる。"
"こういうと、私がなんだか、上手いこと操ったように聞こえるかもしれんが、決して操っていたわけではなくて、そういうふうにやることが正しいと信じて、自分も行動しているということですな。結局、働きたい、考えたい、喜ばれたいという欲求が人間にはあります。これを生かしてやれば、意欲というのはますます強くなっていきますね。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/05/31『物事を成就させる秘訣』
西堀栄三郎 理学博士
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※Photo by Jason Leung on Unsplash