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#153 『運は自分がこしらえるもの』

本日は、作家の宇野千代さんの「運は自分がこしらえるもの」についてのお話です。宇野さんは、生涯に100冊以上の本を書き、ベストセラーも輩出している作家ですが、多才で知られており、編集者、着物デザイナー、実業家としての顔も持った方でした。

明治・大正・昭和・平成と1世紀にも渡る時代を生きてきた作家で、その人生の中で数々の恋愛・結婚(4度したと言われている)をして、その経験や感じたことを世の中に発信しているのも特徴的です。


今回のお話は、宇野さんの物事に対する考え方や捉え方が語られています。ポジティブに、良い方向に、物事を捉える。運がいいか悪いかではなくて、自分は運がいいと思えるかどうかが大切であるというお話です。

"失恋しやしないか、失恋しやしないかと思っていると、失恋するんです。だから、面白いですよ。思い通りになるんですからね。だから、人生、いいように考えることが大事ですね。それがもうコツですね、人生の。人生を渡コツです。私の弟が船乗りでしたが、一回でも舵をとるのをあやまって船を衝突させたことのある人はその船会社では二度と船の舵ををとらせなかったそうです。また衝突しやしないか、しやしないかと思ってると、また衝突するんですって。これは、ほんとに真理ですね。"
"運が悪いとこぼす人は、私、嫌いです。自分が運をこしらえるんだもんねぇ。自分が悪いから運が悪いの。前向きでいつも、自分は運がいい、運がいいと思うんですよ。思うことですね。結局、失恋も運が悪いのも自分がもと。どんなにね、人から見ても運が悪そうだとしても、ああ、私は運がいいなあ、なんて運がいいんだろうと思っているとね、運がよくなる。"
"ニューヨークの大通りを観光バスに乗って見物していたら、私のすぐ近くに腰をおろしていた一人の若い女がきれいに化粧してね、花飾りのいっぱいついた帽子をかぶって、満面の笑みをたたえ、見るからに幸福でたまらないという顔をしている。よく見ると、両手とも肩からすっぽり切り落とされたようになっているんです。それなのに嬉しそうな、世にも幸福そうな顔をして、「私は両手とも肩からすっぽりと落ちています。でも、こんなによいお天気で気持ちがよいのに、両手がないくらいのことで、この私が、幸福になってはいけない、とでもいうことがあるでしょうか。人間は誰にでも幸福になる権利があるんではないでしょうか」とでも言ってるようにほほえんでいる。あれだと、思いましたね。私は、この時の感動をいまも忘れないですね。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/02『運は自分がこしらえるもの』
宇野千代 作家
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※Image by andreas160578 from Pixabay