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#162 『現場力の高め方』

本日は、シナ・コーポレーション代表取締役の遠藤功さんの「現場力の高め方」についてのお話です。遠藤さんは、早稲田大学商学部卒業後、三菱電機に入社し、米国ボストンカレッジ経営大学院にてMBAを取得。

その後、ボストン・コンサルティング・グループ、アンダーセン・コンサルティング、ブーズ・アレン・ハミルトンなど米国系コンサルティングファームで務めた後、ローランド・ベルガー日本法人の本格的立ち上げに参画し、2000年に代表取締役社長となります。

2006年からん10年間は、早稲田大学ビジネススクール教授に就任し、経営戦略論、オペレーション戦略論を担当し現場力の実践的研究を行う。現在は、良品計画の社外取締役、ヤマハ発動機の社外監査役、損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社社外取締役、日新製鋼株式会社社外取締役を務めている。

今回のお話のテーマは「現場力」です。遠藤さんの経営のキーワードでもある「現場力」はさまざまな場や本で語れています。


組織開発や能力開発の仕事をしている身として、今回のお話は刺激的なお話でした。特に、「ボトムアップとトップダウンの関係」「質問力と改善力の組織能力」については非常に学びになるお話で、私個人としても今後も意識していきたい考え方でありました。

"現場力を高めるためにはどうすればいいのか。経営者にとって痛切な願いであり、永遠の課題であるに違いない。しかし、それは社長が現場に出ていって「おまえたち、もっとしっかりしろ」と檄を飛ばすことではない。現場力というボトムアップの動きは、実はトップダウンからしか生まれない。"
"重要なのは、経営者が現場に対してことあるごとに「君たちが会社のエンジンなんだぞ」と働きかけ、モチベーションを高めること。現場の仕事をよく見て、「この前のあの改善、よかったな」と褒めること。そして貢献した人物を正しく評価して登用していくことである。経営者がこの努力を怠っては現場力の向上はあり得ない。"
"そもそも現場には慣性の法則が流れている。現状のまま、決められたことを繰り返していることが現場にとって一番楽である。しかし、それでは現場は進化しない。...それには「あなたたち、ダメですよ」と叱っても意味がない。よいお手本、よい事例を実際に見せることが最も効果的である。そのこで私の顧問先で現場力の優れた他企業に連れていき、見学をし、社員の話を聞いてもらう。"
"見学に訪れた一人の社員が、トヨタの社員に「どうしてこれだけの改善ができるのですか?」と質問したことがある。うちの会社はできないのに、なぜできるのか、という素朴な疑問である。それに対し、トヨタの社員は「なぜできないんですか?」と逆に質問していた。これが現場力の決定的な違いだ。"
"トヨタでは自分たちの業務を改善するのが当たり前だという企業風土が根づいている。一方、現場力の低い企業には改善するという風土がない。この事例からも分かるように、現場力は一朝一夕に高まるものではなく、時間をかけてつくっていく組織能力である。1年やそこらの取り組みで、簡単に手に入れるものではなく、5年、10年かけて根づかせていくもの。倦まず弛まず現場力の重要性を説き続け、その仕組みをつくり、根づかせるのが経営者の仕事といえる。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/11『現場力の高め方』
遠藤功 シナ・コーポレーション代表取締役
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※Image by Markus Spiske from Pixabay