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#211 『運を無駄遣いする人、味方につける人』

本日は、日本将棋連盟棋士九段の谷川浩司さんの「運を無駄遣いする人、味方につける人」についてのお話です。谷川さんは、十七世名人の資格を獲得した将棋界の実力者の一人で、タイトル通算獲得数は歴代5位の27期を誇っています。トップ棋士としての活躍だけではなく、日本将棋連盟棋士会会長、日本将棋連盟専務理事、日本将棋連盟会長などを務めてきました。

今回のお話は、トップ棋士は運を味方につけることができることが語られています。極限の状態で対局をする棋士は、精神面が非常に重要であることがわかるお話でした。

"私は、一人ひとりが持っている運の量っていうのは平等だと思うんです。そして、運が悪い人というのは、つまらないところで使っているんじゃないかと思うんです。将棋の棋士を見ていると、例えばトップクラスの棋士がやっぱり一番将棋に対する愛情、敬意を持って接していますね。対局前の一礼にしても、羽生善治さんをはじめとするトップの人ほど深々と礼をするんです。その姿勢は相手が先輩でも後輩でも変わらない。そして対局後に「負けました」と言うのは一番辛いですけれども、それもやっぱり強い人ほどハッキリ言うんですね。"
"将棋も囲碁も先を読みましたが、どんなに頑張ってもどこか読みきれない部分があります。そういう最後の最後、一番大事なところで運が残っているかどうかというのが非常に大事だと思うんです。ですからどんな対局であっても、与えられた条件で最善を尽くして運を味方につけることが大事です。対局の持ち時間を残して勝負をあっさり諦めるような人は、やっぱり成績も振るわないし、最後の最後の大事な場面で勝ちを逃すことが多いような気がします。"
"よく天才とか才能とかという言葉を使うんですけれども、それは決して一瞬の閃きではなくて、毎日の積み重ねが自然にできることがやっぱり才能だと思いますね。どんなに酷い負け方をしても、翌朝には盤の前に自然と座れることが大事で、やけ酒を飲んで次の日を無駄にしてしまうような人は、やっぱりだんだん差をつけられていくんでしょうね。"
"「心想事成」という言葉が好きでよく揮毫させていただくんです。心に想うことは成るという意味ですが、そのためには平素からどれだけ本気で勝負に打ち込んできたかということが大切だと思います。真剣に、本気で打ち込んできた時間が長く、思いが強い人ほどよい結果を得ることができるし、そのための運も呼び寄せられるのではないでしょうか。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/30『運を無駄遣いする人、味方につける人』
谷川浩司 日本将棋連盟棋士九段
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※写真AC 作者:クルマ旅写真館さんより