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#182 『心のじようぎ』

本日は、草木谷を守る会代表の石川紀行さんの「心のじようぎ」についてのお話です。石川さんが代表を務める草木谷を守る会は、

秋田の偉人である、石川理紀之助翁が明治時代に貧農救済のために自ら粗末な小屋を建て貧しい生活をした「草木谷」で、地域住民の参加などにより里山の保全活動や八郎湖の水源地としての機能確保、体験型環境教育の実践、地域の活性化に資することを目的として活動しています。主な活動として、「田んぼの学校」「気軽にTry! 環境活動 酒米づくり体験」の二つを中心に活動に取り組んでいます。

という活動をされています。


今回のお話も、先祖である石川理紀之助さんの言葉を中心に、「心の定規」の考えが語られています。目の前のことや目先のことだけではなく、遠い未来やまだ存在しないものに対して目を向ける姿勢や心構えは非常に大切なことであることが今回のお話で強く伝わってきました。また、自分が進むべき道に対して、自分なりの定規を持つことで、自分が成すべきことを貫く姿勢が持てるのだと感じました。

"先祖の石川理紀之助は生前、多くの言葉を書き残しました。私の手元にある『心のじようぎ(定規)』という古い冊子からは、勉学に勤しみ、自らの周年を貫き通した聖農の気迫が伝わってくるようです。"
"すべての人間には、心のじよう木が必要である。何人もみな、それぞれ心のじよう木をもつべきである。これがなければ、万事について迷うことが多い。たとへば、世の流行に対しても、心のじよう木をもつていれば、之をはかつて、じよう木にあえばとり、あわねば、いかに勢いの強い流行でも、これに従わない。これ即ち、取捨選択のよろしきを得るゆえんである。
しからば、いかにして、じよう木をつくるかと云うにそは(それは)、東西古今の聖賢の教訓によるべきである。聖賢の教訓は尊いものであるから、よく心に入れて、更に日常これを実行して見て、はたして事実実際に適すればこれをより用い。しかしざれば、たとい聖賢の教えといえども、これをとらぬようにせねばならぬ。かくして、たえずこれをねつて行くべきである。
もつとも、じよう木が、できれば守る所が出て来て、容易に、世の風潮に従わぬようになるので、世間からはへんくつ者と云われる。予などは、よくその、ような世評をうけた。けれども予には、予のじよう木があるから、たとえ世評がどうあろうとも、予は予が心のじよう木に従う外はない。"
"理紀之助はこの「心のじようぎ」をかたくななまでに守り続けました。常人では及びもつかない強靭な精神力で事を成し遂げたのも、こういう心の支があったからにほかなりません。"
"山田村の復興に当たっていた頃の興味深い逸話があります。ある大雪の日、理紀之助はいつものように午前3時に板木を打ち鳴らしていました。それを見た妻のスワ子が問い掛けます。
「こういう日に板木を打っても誰にも聞こえないし、起きて作業をする人はいませんよ」
理紀之助の言います。「私は村人のためだけに板木を打つのではない。ここから五百里離れた人、五百年後に生まれる人にも聞こえるように打っているのだ」"
"よ(世)にまだ 生れぬ人の
耳のまで ひびくはこれの
かけ板の音"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/01『心のじようぎ』
石川紀行 草木谷を守る会代表
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※Photo by Markus Spiske on Unsplash