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#180 『「まだまだ」と「よし」』

本日は、天台宗の僧侶で三千院門跡門主の堀澤祖門さんの「まだまだとよし」のついてのお話です。堀澤さんは、比叡山の最も過酷な行の一つ、「十二年籠山行」を戦後初めて満行された方です。

今回のお話は、長らく行を行ってきた堀澤さんが、物事に対する姿勢や気持ちについて語られています。終わりはないけれど「まだまだ」と終わってはいけない。「よし」と前に進むことが大切であるということが伝わってくるお話です。

"私がよく師匠に言われたのは「絵を描くな」と。これは実際に絵を描くことじゃなくて、頭で物を考えるなということですな。おまえは私の弟子になったんだから何も考えるな、全部私に任せておけと。「はい」と言ったんだけど、一遍だけ絵を描いたことがある。せっかく比叡山の坊さんになったんだから、「比叡山で一番本格的な修行をしたいと思います。それは何でしょうか」と師匠に尋ねたわけ。そうしたら「実は十二年籠山行というのがある。伝教大師が始められた行だから、これが一番の根本だ。おまえ、やる気あるか」と...私は師匠が選んだものなら何でも受け取ろうと思っていたから、「はい。分かりました」と言った。そこに逡巡はなかった。"
"私は70年近く行を続けてきたわけだけど、行そのものには終わりはない。ただね、終わりはないけれども、いつまでも「まだまだ」じゃダメ。不安感で覆われてしまうからね。それを断ち切るにはどこかで「よし」という気持ちを持たないといけない。「よし」ということは終わりじゃなくて、自分で納得して新たに進んでいくということ。進行形と、ゴールに既に着いているということは同時"
"でも、自分で「よし」と手応えを感じるまでには50~60年かかったな。80くらいになってやっと、人間とか仏教とかいろんなものが分かってきて、人生が楽しくなってきた。やっぱり高いところを求めているから、そう簡単に満足できません"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/29『「まだまだ」と「よし」』
堀澤祖門 三千院門跡門主
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※Photo by Jenny Hill on Unsplash