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#338 『一流の男の背景には必ず母親からの影響がある』

本日は、巣鴨学園理事長・学校長の堀内政三さんの「一流の男の背景には必ず母親からの影響がある」についてのお話です。堀内さんの名言に「人間の可能性は、学習と努力とその継続がなければ何一つ実現しない」というのがあるのですが、教育を受ける理由、教育をする理由はここにあるんだなというのを個人的には感じています。今回のお話は、母親と息子の関係についてのお話です。

"うちの生徒の通学時間を調べると大体が1時間前後。大概関東圏内から通学していますが、中には静岡や長野から新幹線で通ってくる生徒もいる。片道2時間かかる生徒が結構いるんです。それでも寒稽古の出席率は90%以上。6年間精皆勤者は何十人もいるんです。しかし、その裏にはご家族の協力があることを忘れてはいけないと思っています。保護者会で伺ったところ、息子を寒稽古に行かせるために3時起きしているお母さんが、なんと二百何十人もいるんです。"
"私は長く教育界にいますから、いろいろな人物を見てきました。大学時代からの学者との付き合いもありますが、一流の男の背景には必ず母親からの影響があります。これは間違いない。みんな母親のことを言いますよ。親孝行という言葉がありますね。親は父親と母親がいますから、両親に孝行することが親孝行だとみんな教えている。これは間違いではないけれども、本当の親孝行は母親にすることだと私は生徒たちに教えています。ただし父親は無視しない、と。だって子供は父親の背中を見て育ちますが、母親とは正面合体でしょう。敵うはずはないんですよ。"
"私の親友に戦争末期にインド攻撃の隊長を務めた男がいるんです。彼はビルマの密林を通ってインド兵と合戦しようとした時、終戦になったんですが、密林の中だから日本と連絡も取れないし、補給もない。サルの肉まで食べて糊口を凌いだそうですが、200人いた部下は次々と死んで最後に残ったのは5人くらいだったそうです。髭も髪も伸び放題、毛むくじゃらでやせ衰えた兵隊たちがいよいよ事切れる時、「「天皇万歳!」と言った兵隊は1人もいない、「父ちゃん!」なんて言ったのも1人もいない。最後はみんな「母ちゃん‼」って叫んだそうです。私はこれ、真実だと思います。"
"こういう話を踏まえ、私は保護者会の席で、「親孝行とは母親孝行である。しかし、孝行される母親になるには条件がある」と言っています。息子が中高校生時代は「鬼ババア」になることです。...子供を育てる、教育するとはどういうことか。それは、「将来の成長のために少しずつ無理をさせる」ということです。これが巣鴨が掲げる「努力主義精神」の神髄ですよ。"
"子供が頑張ってここまでできた。「ああ、よくやったね。じゃあ次はここまでやってみよう。もっとやってみよう」と少しずつ無理をさせる。「ああ、よくできたからもういいよ」では、そこで成長は止まってしまいます。「お母さん、まだやるの?」と子供が弱音を吐いたり泣き言を言ったら「そうだよ」と言う。それが鬼ババアです。...いずれ母は神だったと気づく時がくるんですから。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/04 『一流の男の背景には必ず母親からの影響がある』
堀内政三 巣鴨学園理事長・学校長
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※Photo by Dakota Corbin on Unsplash