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#117 『1日に最低10回は「日本一」と口にする』

本日は、大阪桐蔭高等学校硬式野球部監督の西谷浩一さんの「1日に最低10回は「日本一」と口にする」についてのお話です。大阪桐蔭高校といえば、野球のイメージが強いですし、その監督といえば西谷さんが浮かびます。

これまでに甲子園に春夏通算18回の出場、その内優勝は7回と歴代最多の優勝経験を持つ監督です。さらに、多くのプロ野球選手を輩出しており、その多くが日本を代表する選手たちです。

勝負に勝つことと人間を成長させること、両方を実現できる数少ない指導者として、西谷さんの姿勢や考え方はどの仕事にも通じるものであると思います。コーチングという考え方に出会い、子供たちの「自発性」や「自律性」を促す指導は、「教育」という大きな枠組みのベースにある考え方であると思います。

そして、今回のタイトルにある通り、「日本一」という言葉を言い続けるからこそ、そういう雰囲気や風土が出来上がり、実現することができることを西谷さんの実績から感じることができます。結果を残さなければいけないプレッシャーがある中で、風土をつくるプロセスに力を注ぐことは多くの企業組織にも当てはまることなのではないかと思いました。

"「教えられる教師はたくさんいるけど、育てられる教師は少ない」
勉強や野球の技術を教えるだけではなく、そのことを通じて子供たちを成長させるためには何が必要か。それはやはり信頼関係です。子供たちから「この人の言うことなら間違いない」と思ってもらえる存在になること。そういう信頼関係を構築するには、一人ひとりといかにコミュニケーションを取るか、つまり話を聴くかが重要だと思います。"
"私自身、かつては子どもの言動を否定し、一方的に自分の意見を伝え、延々と説教をするようなダメ教師でした。転機となったのは、32歳の時です。不祥事があって半年くらいグラウンドに出られなかったことがあるのですが、その時コーチングに関する本を読んでいると、そこにはこう書いてありました。
「あなたはコーチをしている対象の人の話を聴いていますか?」"
"目から鱗でした。自分は面談をして子供たちとコミュニケーションを取っているつもりになっていたけれども、本当の意味で子供たちの話を聴いていなかったと気付かされたわけです。以来、指導者としてのあり方を勉強し直し、子供たちの話を聴くことに徹していきました。そうすることで、少しずつ子供たちが自ら考え、行動できるようになっていったのです。"
"もう一つ、監督として心掛けているのは、「日本一」という言葉を日々の練習の中で使い続けることです。実際、私は1日に最低10回は「日本一」と口にしていると思います。「いまのキャッチボールで日本一になれるんだろうか」「いまのノックで日本一になれるんだろうか」「こんな掃除の仕方で日本一になれるんだろうか」と。"
"日本一と言ったら日本一になれるわけではありませんが、意図的に繰り返すことで、本気で日本一を目指す風土が醸成されていくと感じています。指導者が常日頃どのような態度で子供たちと接し、どのような言葉を発しているか。それによってチームの成長、勝負の分かれ目が決まる。20年近く監督を続けてきたいまの私の実感です。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/04/27 『1日に最低10回は「日本一」と口にする』
西谷浩一 大阪桐蔭高等学校硬式野球部監督
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※Image by kimura2 from Pixabay