その夢、本当にかなえたいことですか。

掲げた夢を額縁に入れて飾っているような人、たまに見ます。
額縁に入れられるほど具体的なのに、額縁に入れて見てるだけの人。

おもしろいなぁと思う。「漫画家になりたい」と言っているのに一向に漫画を描かない人。「小説家になりたい」と言っているのに、一本も小説を完成させたことがない人。
ナチュラルに結構存在すると思うんですけど。笑

夢にもね、持ち方があるんじゃないかと思います。
夢は小説家になることです、っていう言葉の中には何があるのか。
端的に言ってしまえば、「小説を書きたい」人と、「小説家の称号を得たい」人がいる。

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「やりたいことをやって生きる」というような言説がよく聞かれるようになりました。昨今。
だからこそ、「youtuberになりたい」とか「小説家になりたい」とか、そういう言葉も割と普通の言葉になっていて、「うんうん、いいんじゃない？ なれば？」みたいな土壌が出来上がっているような気もします。一昔前よりも、確実に。

そういう土壌を作ってくれたのは、「やりたいことやって生きている人たち」です。間違いなく。彼らがひたむきにその道を走ってきたから、「そういう道もすばらしいんだ」っていうことが認知されてきた。「もしかしたら自分もそうなれるんじゃないか？」と思う。それってすばらしいことだと思う。
でもその、「やりたいこと」って、なんなのかな。笑

「やりたいことをやって生きる」というのが、なんだか称号みたいになっているなって思うんです。自動的に自分がすごい称号を得ていたい、っていう。

ちょっと聞いてほしい。
「やりたいことやって生きる」の「やりたいこと」っていうのは、たいていが、「すでにやってること」だったりするんです。
考えてみれば当たり前で、まだ自分がやってもいないことをこれから始めてそれを生業にしたいなっていうのは、今やりたいことなわけない。のめり込んでもいない。
「なんかこれをやったらプラスになりそうだな」「これやったら生業になるかな」なんて、「好き」の動機としては非常に不純です。笑

小説家になりたいのに小説書いたことない人。
それは、小説を書きたいんじゃない。小説家っていう称号を得たいだけ。なんか「小説家」の称号がかっこいいから、それを自分にペタッと貼り付けたいだけ。

そんな人が小説家になるの、結構地獄ですよ。だって書けないもん。「書きたい」が原動力じゃないから。
やりたいことやって生きるっていうのは、小説家になることじゃなくて、「小説を書いて生きる」っていうことです。

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人間って、なんだかんだ称号がほしい生き物なんですよね。
称号を得て、トロフィーを飾って、安心するんです。肩書ね。肩書に救われている人ってたぶんものすごくたくさんいると思う。

もちろん、小説家や漫画家やyoutuberだけじゃないです。
「会社員」の称号も、「既婚者」の称号も。「彼氏」「彼女」の称号も。

本当に自分がやりたいことは何か。
その会社が大好きだ、仕事の内容が大好きだ、働くのが楽しくて会社員やってる。これは「やりたいことやって生きてる」人。
賃金と労働と社会保障のバランスがよくて、自分には最適だと思って会社員を選択した。これも「やりたいことやって生きてる」人。

相手のことが大好きで、隣で人生を過ごしたくて、結婚した。これは「やりたいことやって生きてる」人。
人生や日常に関わる瑣事をがっつり分業して人生の効率を上げたいもの同士が、合意のうえで結婚する。これだって「やりたいことをやって生きてる」人。

でも「会社員の称号を得て安心したい」「既婚者の称号を得て安心したい」っていうのは、やりたいことやって生きてるわけじゃないから、称号と引き換えに「やりたくないことして生きていく」ことになる。

小説家じゃなくたって、おんなじことなんですね。
「やりたいこと」より「称号」が自分にとってはやっぱり大切だな、って思う人は、別に、称号を追いかければいいと思うけれども。
でもやっぱりつらいんじゃないかな。書きたくもない小説を一生書き続けられないのと一緒で。

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やりたいこと。どうやって生きていきたいのか。
わからなかったら、すでに自分は何をやっているのかを振り返ってみるといいと思う。すでに何にのめりこんでいて、何に魅力を感じているのか。
それでもわからなかったら、無理して見つける必要はない。歩いているうちに、自然と見つかるかもしれないから。あくまでも、自然にね。あんまり考えすぎないように。笑

努力が報われるかどうかは知らないけど、「もし報われないとしてもやりたい努力なのか」っていうのは結構大切な気がしている。

— 友井蒼子 (@aokotomoi) June 24, 2019

努力、報われなくたっていいんだ。称号に直結してなくてもいいんだ。そんなことはどうだっていい。だって「やりたいことやってる」っていうこと自体が、楽しいことなんだから。
というか、「やってること自体が幸せなこと」か「やってること自体が自分の生と直結してる気がすること」をやって生きるのがね、やっぱりおすすめだと思う。
いつの間にか報われてるかもしれない。

まあ、報われないかもしれないけどね。笑

何かを得るために生きなくてもいい。無為に生きたっていい。
ぽやぽや生きましょう。