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【サプリは効果ない?】GABAのリラックス効果とサプリの真実

精神を安定させて、リラックス効果が期待できるのがGABAという成分です。
今回は、どうしたら脳内でGABAを作り出せるか、という話です。

GABAと言えば、GABA入りチョコレートや発芽玄米などで知られていますし、GABAサプリも出回っています。

しかし、そういった食品からGABAを入れることには「効果がない」という声が一部にあります。

どうして効果がないのか、本当に効果がないのか、ということに関しても詳しく解説します。
(記事の文末に動画を添付しています)

GABAのさまざまな健康効果

GABAとは、γアミノ酪酸の略語です。
私たちの体に普段から存在しているアミノ酸の一つです。

とくに、脳で精神を安定させる抑制系の神経伝達物質です。

交感神経の働きを抑えて興奮した神経を落ち着かせる、
ストレスを緩和する、
睡眠の質を整える

などがよく知られている効果です。 

それ以外にもGABAは、
腎臓の働きを活発にして血液中の塩分を濾過する作用があります。
それによって、血圧を下げる効果もあります。

GABAは脳内で作られる

GABAは元々、体内(脳と脊髄)で適量が作られる物質です。

上の図は、GABAが作られるプロセスを表しています。
GABAの材料は、一番上、アミノ酸の一つであるL-グルタミンです。

そのL-グルタミンが、まずL-グルタミン酸に変換されますが、その時に補酵素としてナイアシンが必要です。

さらに、L-グルタミン酸が化学反応を経てGABAに変換されます。
その際には、補酵素としてビタミンB6が必要です。

つまり、材料のL-グルタミン(タンパク質)と補酵素のナイアシン、ビタミンB6があれば、適量のGABAは脳内で生成されます。

しかし、慢性疲労や強いストレスにさらされると、それを緩和するため大量に消費してしまうために、GABAは不足します。

GABA入り食品は意味がない?

そこでGABA入りチョコレートやGABAが豊富な発芽玄米、またはGABAのサプリの出番となります。

が、それらの食品を口から入れても「効果がない」という見解をよく聞きます。

理由は、GABAを摂取しても、GABAは脳内に入っていけないからです。
血管が脳内に侵入する場所には、血液脳関門という関所のようなものが存在します。

そこでは、比較的大きな分子の物質を通しません。
GABAは、この血液脳関門に引っかかって脳内に入っていけないのです。

GABA入りチョコレートや発芽玄米、GABAサプリを食ベても効果はないというのは、脳に入っていけず、脳で働けないからです。

しかし、そうだとしたら大手食品会社が効果のないチョコレート、発芽玄米、サプリを販売しているのは、かなり問題です。

それどころか、GABAにはトクホ(特定保健用食品)の商品も存在します。

トクホが効果ないとなると大問題です。

しかしながらGABAのトクホは、リラックス効果ではなく、「血圧が高めの人への効果」として扱われています。 
血圧を下げる効果は、脳の外で働くので問題ないからです。

新たに分かってきたGABAの事実

ということで、サプリを含めたGABA関連食品は、脳内で働くGABAとしての効果は期待できません。  
という結論で、ひと昔前だったら終わっていたのですが、近年、新たなことが分かってきました。

脳の中の海馬や扁桃体という場所に、GABAの存在を認識して抑制の反応を起こさせる、受容体と呼ばれるスイッチのような細胞があります。

実は、この脳内のGABA受容体と同じものが、腸にも存在することが分かってきました。

腸と脳は、神経細胞を介して、互いに情報伝達を行なっていることも分かっています。
これを「脳腸相関」と言います。

つまり、まず腸の受容体がGABAをキャッチしてスイッチが入ります。
その情報が腸から脳に伝わって、脳のGABA産生能力が高まるというメカニズムが考えられます。

食品から摂ったGABAは、それ自体が脳で働くのではなく、腸の受容体に到達してスイッチを入れる役割を果たすことになります。

そうであれば、GABA入り食品を摂ればリラックス効果がある、自律神経の調整作用があるということになります。 

GABAを十分に作り出す2つの条件

ただし、それには2つの条件があります。

1つ目は、腸内環境が良好なことです。
腸内にあるGABAのレセプターが機能を果たすためには、腸が炎症状態にあるなど、トラブルが起きていてはいけません。

2つ目は、GABAの材料であるL-グルタミン(タンパク質)と補酵素として働くナイアシン、ビタミンB6が体内で不足していないことです。

この3つの栄養素が不足していると十分なGABAは作れません。
それどころか、ビタミンB6が不足すると結構ヤバいことが起きます。

もう一度、先ほどの図をご覧ください。

GABAの一つ前は、L-グルタミン酸です。
L-グルタミン酸はGABAとは逆の「興奮性の神経伝達物質」です。

その下のビタミンB6が不足すると、抑制系のGABAがうまく生成できないにとどまりません。
興奮性のL-グルタミン酸が蓄積して、逆効果になりかねません。 

ですから、ナイアシンに加えてビタミンB6を食事とサプリでしっかり摂取して下さい。 

ナイアシンとビタミンB6は、8種類あるビタミンB群の中でもとりわけ重要ではないかと、私は考えています。
それぞれの記事も公開していますので、まだ読んでいない方はぜひご覧になってください。


まとめ

GABAは、脳で精神を安定させる神経伝達物質です。

興奮を落ち着かせる、
ストレス緩和、
睡眠の質を整える

などの働き以外に、
血圧を下げる効果
もあります。

GABAは、材料のL-グルタミン、補酵素のナイアシン、ビタミンB6があれば、適量は脳で生成されます。 

GABA入り食品を口から入れても「効果がない」という見解があります。
GABAを摂取しても血液脳関門が関所の働きをするため、脳の中に入っていけないからです。

しかし、近年になって、GABAの受容体が腸にも存在することが分かっています。

腸の受容体がGABAをキャッチして、その情報が腸から脳に伝わり、脳内のGABA産生能力が高まる、という仕組みが解明されてきました。

ただし、これでGABAを生成するには 
①腸内環境が良好であること
②材料のL-グルタミン(アミノ酸)と補酵素のナイアシン、ビタミンB6が不足していないこと
この2つが条件です。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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