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“奇跡のビタミン”ナイアシンは、600もの仕事をこなすマルチプレイヤー

8種類あるビタミンB群の一つであるナイアシンが、今どうして注目を浴びているのか。 
その知られざる多彩な働きと必要摂取量について解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

ナイアシンの仕事数は600!

ナイアシンは8種類あるビタミンB群の一つですが、一般的にはほとんど知られていません。
B1、B2、葉酸くらいは聞いたことがあるけど、ナイアシンなんて存在すら知らないというのが普通だと思います。

ところが近年、その役割が解明されるにつれて、ジワジワと注目度が高まっているビタミンです。
それは次のことから分かります。

「ナイアシンの仕事は約600」です。

ビタミンB群の中の一つにとどまらず、それ単独で重要ビタミンの3本指に入れてもいいかもしれません。
そのくらいナイアシンは注目されています。

人体に欠かせない酸化還元反応

では、どういう仕事を約600もしているかというと、そのほとんどが酸化還元反応に関わります。
酸化還元反応とは、2つの物質の間で、電子、酸素原子、水素原子の授受が行われる化学反応です。

その多くが電子ですので、ここでは電子に絞って話を進めます。
一方の物質が電子を放出することを酸化と言い、他方の物質はこの電子を受け取って還元します。

2つの反応は同時に相伴って起こるので、酸化還元反応とまとめて言います。
体内では、一つの物質が酸化したり還元したり、ということを頻繁に繰り返しています。

なお、酸化と聞くと、リンゴや油が空気に触れて変色するとか、錆びつくといったイメージがあります。
が、体内での化学反応である酸化は、必ずしも錆びるということではありません。

エネルギー代謝に欠かせないナイアシン

では改めて、600もの酸化還元反応でどういう役割を担っているかというと、何と言ってもエネルギー代謝に尽きます。

ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素すべてのエネルギー代謝に関わります。
しかも関わり方が結構濃いです。

エネルギー代謝は、糖質のみ行われる解糖系、3大栄養素すべてが経由するTCA回路及び電子伝達系と3つあります。
ナイアシンは解糖系、TCA回路、電子伝達系すべての代謝システムに関わります。

このうちTCA回路を見てみます。


物質と物質の間に栄養素が表記されていますが、この内B3(ナイアシンの昔の名称)が4箇所と一番多く顔を出しています。
※ちなみにB5は、パントテン酸の昔の名称。

この例を見ても分かるように、ナイアシンはエネルギー代謝のありとあらゆる場面で関与するビタミンです。

ナイアシンはマルチプレイヤー

エネルギー代謝以外では、DNAの合成やDNAの修復、細胞の分化に関わります。こういったことがうまくいかないと、ガンのリスクが高くなるということです。  

さらにナイアシンは、副腎皮質ホルモン(コルチゾールを含む)、甲状腺ホルモン、性ホルモン、インスリンの合成に関わります。
さらにさらに、

・脳神経の働きを正常に保つ
・消化器の健康を維持する
・胃液や胆汁の分泌を正常に保つ
・血管を拡張して血液循環を促進する
・皮膚の機能を正常に保つ(欠乏症ペラグラ)

このように、ナイアシンはビタミンCと比べても負けず劣らずマルチプレーヤーと言えるかもしれません。

ナイアシンの必要摂取量

次に、ナイアシンの必要摂取量の話に移ります。

これはビタミンCなどと同じで、欠乏症の予防に必要な摂取量と今話したナイアシンのきわめて幅広い役割を存分に発揮させるための摂取量とでは、天と地ほどの違いがあります。

まずは厚生労働省が定めた推奨量です。
これは欠乏症(ペラグラ)を予防するには十分だという量です。

推奨量は、成人で1日11〜15mgです。
国内メーカーのマルチビタミンに含まれるナイアシンの含有量は、概ねこの量に準拠しています。

では、ナイアシンの能力を十二分に発揮させる量はというと、最低でも50mgは必要だと私は考えます。
「最低でも」です。

50mgであれば、輸入品のマルチビタミンの多くに含まれている量です。
私が飲んでいるマルチビタミン(Life Extensionの[TwoPerDay])も、1日当たり50mgです。

これだけでも11〜15mgという量と比べると格段に素晴らしいことです。
ナイアシンが、体によい影響をたくさん与えてくれます。

ただ、理想を言えば、もう少し増やして、できれば1日100mgの摂取が望ましいと考えます。
そうすると、かなり強力になります。

サプリメントを使って効率よく

ここで、ナイアシンを含めた必要摂取量が多い3つのビタミンを整理してみます。
表にまとめてみました。
※推奨量は、厚生労働省が定めたもの

ビタミンC
推奨量    100mg
最低でも 1000mg
できれば 2000mg

ビタミンE
推奨量  5〜7mg
最低でも 200mg
できれば 300mg

ナイアシン 
推奨量  11〜15mg
最低でも  50mg
できれば   100mg

このことから、ナイアシンはビタミンC、ビタミンEに次いで3番目に必要量が多いビタミンだと考えています。
専門家によっては、ナイアシンはビタミンCに次いで2番目に摂取量が多いビタミンだという見解もあります。

その場合は、「できれば」の箇所が100〜1000mgになります。

こうなると、実際に摂取するのも大変になってきます。
が、8種類あるビタミンB群の一つであるナイアシンが、単独でもこのレベルの摂取量が必要だということです。

50mgでも100mgでも、ましてやそれ以上の場合、食事からの摂取では100%不可能です。
そこで、ナイアシンのサプリメントが必要になります。

サプリメントに関しては、【ナイアシンサプリメントの選び方】という記事で詳しく説明します。

ナイアシンは臨床現場にも

ナイアシンの必要摂取量「できれば」100mg、専門家によっては100〜1000mgの量には、さらに上があります。

ナイアシンは、統合失調症など精神疾患に効果があることが知られています。
国内で数百はあると思われる栄養療法を導入したクリニックでは、大量のナイアシンを治療に用います。

その場合の投与量は、1日1,000〜3,000mg(あるいはそれ以上)とスゴい量になります。
これに関しては、ここでは詳しく触れませんし、自己流でやっては絶対にいけません。

栄養療法を導入している医療機関の関連サイトを貼り付けておきますので、参考にしてください。

自己流でやってはいけない理由に、ナイアシンの大量摂取にはナイアシンフラッシュという副作用がつきものだからです。
ナイアシンには血管拡張作用があるために、大量に摂取すると人によっては、一過性の顔面紅潮、上半身の火照り、痒みの症状などが現れることがあります。

これをナイアシンフラッシュと言います。
ナイアシンフラッシュは無害であり、健康上悪影響を及ぼすものではありません。

それでも、多くの人はパニックになってしまう可能性があるので、医師の指導の元で実践してください。
ナイアシンフラッシュの対策については、ナイアシンサプリメントの動画で改めて取り上げます。

まとめ

ナイアシンは、酸化還元反応を中心として約600もの役割を担います。

糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素すべてのエネルギー代謝に関わります。

また、
・各種ホルモンの合成に関与
・脳神経の働きを正常に保つ
・消化器の健康を維持する
・胃液や胆汁の分泌を正常に保つ
・血管を拡張して血液循環を促進する
・皮膚の機能を正常に保つ
など、マルチな働きをします。

ナイアシンの必要摂取量は、厚生労働省が定めた推奨量11〜15mgに対して、最低でも50mg、できれば100mgの摂取が望ましいと私は考えます。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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