マガジンのカバー画像

詩創作

24
掴めない世界
運営しているクリエイター

#声

微笑みの声で全て救われる

微笑みの声で全て救われる

波打ち際。
水にそっと触れた僕を見て、
微笑んだ声がきこえる。

パフェにのったモンブランを、
満足気な顔で頬張る僕を見て、
微笑んだ声がきこえる。

潮風の涼しい縁側、
空咲く大輪に目を丸くしながら振り返る僕を見て、
微笑んだ声がきこえる。

できあがった指輪のことを、
愛おしそうに見つめる僕を見て、
微笑んだ声がきこえる。

心の全てが救われる優しい声。
見つめた先に温もりをとらえているのがわ

もっとみる
僕の声を教えてください。

僕の声を教えてください。

僕は歩く。
ずっと歩く。走ることもない。

足を止めることもない。
同じ歩幅で、同じリズムで。

曲がることも知らない。
一言も発することをせず、
ただ、何もない道に足跡がつく。

この足跡は雨が降ったらどうなる。
いままで僕が歩いてきた道は雨に染まる。

やっと自由だ。

やっとの想い、雨の中で叫ぶ。
雨が降ったら、歌う。歌う。歌う。

歌う目的はひとつだけでいい。
歌う。歌う。

さて、僕の声

もっとみる
声には。

声には。

あなたは声を出す時、慎重だ。

まるであなたが聞き手側であるかのごとく、
耳を澄まして声を出しているのがわかる。

声の奥行きは、声の平たさは、息の音は、
声に意図する“必死さ”が表せているか。

音の幅が狭くないか。

心地よい音高か。

あなたは自分の声を聞きすぎた。

骨伝導な音よりも、
空気を振動させて伝う音にこだわった。

それはあなた自身が聞くことができない分、
もどかしさみたいなもの

もっとみる