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これからの飲食店の生き残り方

初めまして、銀座の鮨屋で修業している黒木です。
今回は刻々と変化するコロナ状況下の中で、これからの飲食業の生き残り方を考えてみました。2月、3月とコロナ感染が拡大している報道がある中も、銀座に出てくる人は減ってはいるけど営業できないほどではない日々が続いていました。当然、売り上げも激減していましたが、これまでの常連さんやコロナなんて気にしていないお客様の来店がありました。
しかし、4月7日の緊急事態宣言の前後から街の空気感も変わり、銀座に人がいない状態になり、お店も休業に踏み切りました。個人的にはコロナに感染する不安よりも、お客様に感染させてしまう恐れのほうが強く、営業することにネガティブになっていたので安堵感はありました。
現在、休業期間3週間目になりますが、識者と言われるような人が発信している情報をひたすらチェックしながら、自分のために鮨を握る日々ですが、どうやらこれまで通りの飲食店のビジネスモデルではこれから先しんどそうだなという結論に至りました。

前提として
・コロナがいつ収束するかわからない
 →緊急事態宣言が解除されても自粛ムードが1~2年続く。
・コロナのような感染症が数年後に発生する
 →街に人がいない期間が不定期に発生する。
・景気の後退
 →コロナに起因する倒産とそれによる不景気の中、飲食への出費は減る。
上記のことが1度限りではなく、不定期イベントとして突如やってくる時代だと思っています。そうならなければいいけど。。。

対策として、①直接お店にきてもらう以外の仕組み、②ファン(≠リピーター&常連)の獲得をする必要があると思います。
①直接お店にきてもらう以外の仕組み
これは多くの飲食店が現在取り組まれているテイクアウト、商品の発送、ECがあります。加えて、お店の業態や空間によっては特定の少人数に向けて、〇時間〇万円といった場所貸しビジネスができると思います。存続のために愚直にやれることをやるしかない感じです。

②ファン(≠リピーター)の獲得
正直、①の仕組みではどのお店も取り組むので、ジリ貧だなと思っていて、ファンの獲得こそが未来の生き残り方をデザインしていく上で大事かなと妄想しています。これまでお店は料理や空間を価値にお客様に来店いただき、そこで気に入ってもらってリピーターをつくって、その数を増やしてと、売り上げを上げてきましたが(①もこの延長線上)、コロナのような有事にものすごく脆いことを痛感しました。うちのお店も温かい言葉をかけてくださる常連さんがたくさんいますが、この応援したい気持ちだけでは実際の店の存続に繋がりません。ファン(応援したい人)の気持ちを形にする必要があります。その一つの答えがコミュニティだと思います。オンライン上で日常的に繋がりを持てる関係の構築です。
重要なのはリピーターではなく、ファンがいなければ、コミュニティを維持することは難しい点です。リピーターは単にお店の料理や空間を消費するだけの人で、消費するもの、消費する機会がなくなったらいなくなります。ファンはお店に来て消費してくれる、してくれない関係なく、お店(お店の中の人)が目指している価値に共感し、応援してくれる人です。有事の際に手を差し伸べてくれる存在として機能します。
ファンをつくるためには、お店(お店の中の人)として、なんのためにお店をやっていて、どんなことをやっていきたいのか、可能な限り明確でオープンであった方がいいと思います。これが分からないとファンになりようがないです。(料理や空間だけで勝手にわかって理解してもらうのは困難)この前提を踏まえて、ファンを増やしていくにはお店として何かにチャレンジしていく、そのチャレンジを随時伝えていくことが必要で、このストーリーが価値になり、普通のお客様の心がお店に惹かれファンになっていくのだと思います。気を付けなければいけないのは、ファンを作るために何かやるのではなく、目指したいことがあり、それにチャレンジした結果、応援してくれる人が増えていくということです。あざとさはすぐに見抜かれるので。加えて、ファンが手を差し伸べやすい仕組みを作ることも大事で、困ってるからと言って現金を直接渡せるメンタリティの人はほぼいないと思います。この渡しやすい言い訳もデザインも欠かせません。

長くなりましたが、お店のビジョンとその実現に向けた挑戦、挑戦のプロセスの可視化、ファンの獲得、増加→さらなる応援を得てさらなる挑戦、といったループを作っていけるかに飲食店の未来があるように思えます。今のうちから、地道に取り組んでいくことがこれから先の有事の明暗を分けそうな気がしています。
私自身も、ただ来ていただいたお客様に喜んでもらうだけではなく、何を目指して銀座の鮨屋がやっていくのか、この根本のビジョンの部分がはっきり見えていませんので、この機会にもっと考えたいと思います。

以上長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます。