ツクルバ設計メンバーで「新しい働き方と住まい」について考えてみた #03
外から金木犀の香りがしてもう10月!と驚いてしまいました。ツクルバ設計グループです。
我々設計グループの代表5人がニューノーマル時代の働き方と住まいについて考えてみる企画。
概要は#1↓
前回までのplanは#2↓へ
前回は、街に家の機能を拡張させて趣味の空間を重視したお部屋とプライベートも仕事も含めて行動に合わせて居場所を選ぶお部屋でした。
今回は、ふたり暮らし・ファミリー・ひとり暮らしのプランです。それぞれデザイナー本人から紹介してもらいましょう。
<Plan3> 静と動の境界線
寝る、働くと静かな環境を求める空間とくつろぐ、団らんする動きや音がある環境の空間を分断させる暮らし
Design : Tatsuhiko Igaki
<Plan4>働く場を持ち込まない家
最低限の設えでワークプレイスを整える暮らし
Design : Junichiro Tamura
<Plan5> FIT HOUSE
住宅に合わせて生活するのではなく、ライフスタイルに住宅を合わせていく暮らし
Design : Toshihisa Matsuyama
プランは全て、同じお部屋で専有部:62.72㎡ (18.90坪)、バルコニー:7.03㎡ (2.12坪)を想定しています。
<Plan 3>静と動の境界線
1つ目は、井垣(igaki)の案です。
オフィス設計でのデザインセンスやプロジェクトマネジメント力に定評があり大型コンペでも受注を決め続けています。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いですね。
最近は住宅のデザインもしたりと幅を広げています。
igakiが欲しいと思っている家具にも注目してみてください。
-静と動の境界線
在宅ワークが多くなった最近、家でずっとひとりで作業していることにつらさを感じ、ふたり暮らしだったらこんな家がいいなをつめこんでみました。
ポイントは3つです。
⒈切り替えができる家
ワンルームの部屋だと気持ちの切替ができないのが困っています。
起きて同じ景色、仕事してても同じ景色、ごはん食べているときも同じ景色。
同じ景色の中で一日が終わるのはつらいなと。
考えた家では気持ちの切り替えができそうな家にしてみました。
⒉スタンスが分かる家
ひとり暮らしであれば、特に何も気にすることなく生活ができますが、ふたり暮らしだとそうじゃないのかなと。
在宅ワークが多くなった中で家で2人でいると何かと気疲れしてしまいそうです。
話しかけていいのかな、テレビみたらまずいかな、とかとか。
なので、できるだけ自分のスタンスが分かるような家にしてみました。
⒊気配を感じれる家
相手に気を使わせないようにするなら、完全個室の寝室、書斎つくればええやん。
でも、それだと相手の状態が分からないので、余計に気を遣いそう。
なんとなく、それとなく、どんな状態か見える状態をつくって、気配を感じれる家にしてみました。
寝室と書斎の邪魔されたくない側(静)とリビングダイニングの話しかけていいよ側(動)で空間を分けています。
キッチン、ダイニング、リビングが長手で一続きの空間。こちらは話しかけていい空間です。
くつろいだりするだけでなく、こちら側で仕事しているときは話しかけていいルールに。
静と動の空間を意匠的にもコントラストをつけて気持ちの切替にも寄与できるようなデザインに。
夜は照明のコントラストによって木が映える空間に。
リビングは大きなソファでくつろげる場所にしています。(ソファは僕が購入したい、BoconceptさんのGROSSOというソファ。カウチチェアはHAYのPALISSADE LOUNGE CHAIR。ほしい。)
寝室は大きな引き戸によって完全個室にもできるようにしました。
でも基本は半開きが理想。
書斎は話しかけないでほしい空間。
デスクは二人並びで用意しているが、お互いが少し外側に向くようにデスクの形状をブーラメン型にしています。(チェアはHerman millerのcosm chairのナイトフォール色。)
書斎は寝室ともリビング側とも繋がっており、様子が伺えるようにしています。
デザインとしては、書斎、寝室側の静の空間をネイビーのアクセントの効いた壁で間仕切り、リビング側がよりリラックス感を感じられるようなデザインにしています。
また、長手方向を強調できるように木のはね出し天井を設けています。リビング側の天井を下げることでより落ち着ける空間に。
ダイニングテーブルは大きめにつくり、来客時の食事も楽しく過ごせる家に。
(ダイニングチェアはcarl hansen & son、CH24限定記念モデルの「Glossy Navy Blue」仕上の椅子に。ほしかった。。)
気持ちが切り替えることができ、相手の今のスタンスが居る場所によって明確化できて、籠るのではなく、気配は感じられるような家にしたいなと思いデザインしました。
<Plan 4>働く場を作り込まない家
続いて、自身も3人家族の田村(jun)。
現在、工事が終わったばかりのツクルバNEW BASE PROJECTの設計も担当しています。
在宅ワークの時間が増えたことで、娘さんと一緒に過ごせる機会も増えてきたとか。
住まいとしての機能を大切にする案です。
-働く場を作り込まない家
子どもがいる家庭において、仕事をあまり家庭に持ち込みたくはない家庭は多いのではないでしょうか。
私の場合は、仕事をしている時に家族に気を使わせてしまったり、web会議では子どもの声が入らない様に気を付けたり、あまり作業に集中出来なかったり、家事の邪魔になってしまったりなどの理由から家に働く場所を持ち込みたくないなと思っています。
在宅ワークでは、家族と過ごす時間が増え、どれだけ家族と過ごす時間が少なかったかを痛感したことも。
そこで、働く場を住宅に持ち込まず、働く場は最低限とし家以外の場所も含めて働きたい場所を選択して働く。という働き方を選択しました。
家の外では、カフェや公園、キャンプしながら、旅行しながらのワーケーションでも選択肢は今後増えていくでしょう。インターネットとPCさえあれば、どこでも働くことができます。
そうした時に、住宅はこれまで以上に家族と共に過ごす時間を優先して考えました。
ダイニングテーブル兼作業テーブルとして4mのテーブルを住宅の中心に。
食事や家族と過ごす場として、子どもの勉強をみたり、家事・作業もできる家族で集まることのできるスペースです。
家で仕事をする時はダイニングで行い、web会議や電話際はWICのハイカウンター兼収納棚を一時的に用いることができるようにしました。
<plan5>FIT HOUSE
続いては、我らがプリンシパルアーキテクト松山(mat)の案です。
知っているよ!という方も多いのではないでしょうか。カウカモインスタライブにも登場したリノベ暮らしの先輩です。オフィス設計だけでなく、住宅の設計も数多く、使い手の暮らしに寄り添い、細かなディティールにも配慮が行き届いた設計が特徴です。
ご自宅も素敵な要素が詰まっておりますので、是非チェックしてみてください。
-FIT HOUSE
限られた面積の中で、変わりゆくライフスタイルに合わせて適合できるよう「建具」と「造作家具」の配置でフレキシブルな住宅を考えました。
各部屋の面積を可変出来、用途も動かすことができます。
◯LDKという間取りで表現するのとは違い、住宅に合わせて生活するのではなく、ライフスタイルに住宅を合わせていくことが、これからの住宅に求められるものと思います。
「働く」環境が住宅に求められるようになったアフターコロナにおいて、今までの生活を満足させながらこれからの生活も満足できる、そんな住宅はどんな住宅か?を改めて考えました。
住み始めはひとり暮らし~共働きのふたり暮らしを想定しています。
中央に設けられたコアとなるキッチンは、空間を分ける効果があり、その時のライフスタイルに合わせて、広がりを持たせる空間や区切る空間を住まい手のライフスタイルに合わせて、空間に用途を当て込んでいくことができます。
ひとり暮らしの時には、建具を閉じずにワンルームのような扱いで回遊性のあるオープンな空間として利用が可能に。どこで寛ぐも食事するも仕事するも寝るも自由!
用途に見合った家具を置けば、その場所が目的の用途に。
共働きのふたり暮らしの時には、在宅ワーク出来るように2人分のワークスペースを確保することも可能です。
web会議時は、引戸を閉めてダイニングテーブルでミーティングしたり、部屋全体をワークスペースと考えて、状況に見合った使い方が可能になります。
子どもが生まれてからのライフスタイルにも対応します。
ひとり暮らし~ふたり暮らし時のライフスタイルでも、十分な空間利用が出来ることを念頭に置いているため、改めて子ども部屋を個室として作り込むことはせず、簡易に空間を分けることで子ども用スペースを作れるように。
建具や可動式家具でLDKとの空間を分ければ、視線を遮ることは可能。
空間の繋がりはあるので、なんとなく家族の動きを感じることができます。
食事の時間が近くなれば、料理の匂いに誘われてLDKに集まったりと、空間を繋げたり、閉じたりの選択が住まい手によって自由に選択できることが叶えられる住宅です。
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以上、5つのプランの紹介でした。
皆様の好みの住まい方、働き方はあったでしょうか?
私もこんな家がいいな!こんな働き方してみたいなー。など思っていただけたなら幸いです。
これからも設計チームとして様々な角度から日頃考えていることなど皆様と共有、ディスカッションできる機会を設けていきたいなと考えております。
ではまた次回!!お楽しみに!!
▼これまでツクルバ設計グループがデザインした案件はこちらからどうぞ。
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