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【Webメディア編集者】半年間で新規企画を3つ以上成功させる方法

はじめに:企画を成功させる難しさ

メディア業界に勤めていたり、個人でブログを書いたりしていると、誰しも一度は経験する仕事が、新しい企画の立案です。自由度が高く、どんな企画にするかは自分次第でもあるので、とても面白い仕事である反面、多くのユーザーに刺さるような企画を立てることはそう簡単ではありません。

特に、変化の激しいWebメディアの世界では、数ヶ月前ヒットしていた企画が急に読まれなくなることも珍しくなく、企画をヒットさせ安定した軌道に乗せるためには、多くの試行錯誤を必要とします。

この記事では、そんな不確実性の高い環境下でも成功できる、企画立案の方法について解説します。

はじめに自己紹介をしておくと、私は新卒で大手Webメディアに入社し、タイアップ広告の制作やSNSの運用など様々な仕事に約3年間携わってきました。その後、Yahoo!ニュースやLINEニュース、Twitterなど、多くのメディアが参画するようなプラットフォームを主な舞台として、新規コンテンツの企画を担当。1年間で5個以上の企画を軌道にのせ、事業に貢献する成果を残しました。現在は動画メディアに転職し、引き続きデータを用いたメディアの改善に従事しています。

今回はこれらの経験を生かして、編集者が抱える課題に対し少しでも役立つ知見が提供できればと思っています。

前提として説明しておくと、私が新規コンテンツの企画で結果を残すことができたのは、「PV至上主義は悪なのか」で知られるShota Tajimaさんの影響が非常に大きいです。データアナリスト・メディアコンサルタントとして活躍されているTajimaさんですが、書かれた記事の中で、今の編集者に必要な考え方になってくるのが、「コンテンツ伝達」という役回りです。

「コンテンツ伝達」とは、コンテンツの価値や面白さを読者に伝えるためのスキルです。面白さを理解・評価できること、それを端的に伝えられること、Webの流通構造に詳しいこと、読者の心理を洞察できること等、制作とは少し異なるスキルが求められます。

出典:https://www.mediatechnology.jp/entry/2021/06/10/120000

Tajimaさんはじめ多くの編集者が述べていますが、大量に生産・消費が繰り返されるインターネット空間では、ユーザーを理解し価値ある情報を届けられる編集者が必要不可欠です。

この記事は、そんな「コンテンツ伝達」を自分なりに噛み砕き、新規企画の立案に盛り込んだ実践のシェアとなります。

記事の目的・メリット

この記事では、(特に参照流入と呼ばれる)外部のサイトやプラットフォームへ向けて記事を企画している編集者が、どのように新しい企画を成功させるか、または既存の企画を改善させることができるか、といったことについて解説した記事です。

筆者が成功体験を元に重要だと考えたことを「現状把握」「調査」「企画・制作・編成」「FB・分析」の4つの工程に分けて解説します。どの内容も、明日から仕事に取り入れやすい内容にすることを心がけました。

また、新規企画の立案担当者は、企画することを通して、少なからず、目標(=成果)を達成することも求められます。そこで、4つの工程にプラスして、目標達成の可能性が高まる行動の仕方についても解説させていただきました。

検索流入(SEO)観点の記事ではないので、ご注意いただきたいですが、広く「新しい企画立案でいかに成果に繋げるか」といったテーマとなっております。メディアの編集者には一定程度、参考になる情報があるのではと思っていますので、ぜひご一読いただけると幸いです。

0.目標設定と要素分解

企画立案の工程をお伝えする前に、目標設定のポイントを解説します。新規企画の立案は他の仕事に比べ、いきなり大きな成果になりにくく、事業における重要度や貢献度もアピールしづらいです。

やみくもに作業に突っ走ると、手応えを感じることができないまま時間だけが過ぎ、余計に疲弊してしまいます。正しく目標を設定することで、自分が事業に貢献している実感を持つことができ、モチベーションも高く維持できるようになります。

事業への貢献度を認識する

メンバーレベルとなると、目標は上層部から降りてくることがほとんどです。その際、与えられた目標について、事業への貢献度を定量・定性で把握するようにしてください。定量的な把握の例で言えば、事業部全体の売上目標に対して、個人目標の割合を計算することなどが当てはまります。

また、Webメディアの市況感や、自社メディアが今どのような状況にあるのか(考えているのか)、今後どこに注力しようとしているかについて上層部からヒアリングすることも重要です。

自分が携わる新規の企画が、これから半年間で事業にどのくらい貢献でき、中長期的にはどのような武器になっていくのかを意識することができます。

一点注意が必要なのは、新規の企画が事業に大きなインパクトを与えるまでに成長するのは、多くの時間を要する点です。そのため、将来的に大きく貢献するための小さな成功を作り出す(芽を育てる)ということを意識できるといいと思います。

1日の行動量まで分解する

大局観を掴んだら、次は目標の分解です。目標達成のために必要な、作成記事本数を試算してください。前半期の1記事あたりの平均売上を参考にすると良いです。新規の企画が平均程度の実績であれば、そこで試算した記事本数が目標作成本数となります。

その上で、1記事あたりの平均売上を複数パターン想定し、作成記事本数を試算します。そして、複数本を1企画のパッケージとして捉え、「半期で平均◯◯PV(売上)となる記事を◯◯本、◯◯企画分」立案する、といったところまで目標を分解してください。1記事あたりのPVが大きければ大きいほどレバレッジが効きますが、実現可能性も含め、マネージャーと擦り合わせることをおすすめします。

忘れずに行いたいのは、分解した目標に対して、アクションプランまで立てることです(例:週に企画のアイデア出し◯本など)。どの程度企画がうまくいくのか最初はわかりませんが、仮説でも良いので成功確率を意識するようにしましょう。成功確率を意識すると、半期でどのくらい企画を検証しなくてはいけないのか、行動量がイメージできます。

このように目標に対する行動量をある程度定義することで、新規企画の日々の業務スピード・量が具体的にイメージでき、成果に繋がりやすくなります。

次の章からは、具体的に企画立案の工程を解説していきます。

1.現状把握

コンテンツ企画の一つ目の工程は、現状の把握です。今時点でできていること、できていないことを整理し、注力すべき道筋にあたりをつけることが目的です。ジャンル・カテゴリ→コンテンツの分布→キーワード と順番に粒度を細かくして整理を行ってください。ここでは、その具体的手順を説明します。

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