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「蓄音機と犬」特別編~ボーダーコリーは蓄音機を聞くか?という実験~

昨日、「蓄音機と犬」と私、と題したnoteを公開しましたが、そこに入りきらなかった、我が家の「蓄音機と犬」についてという後日談。

(前記事は↓です)


今回は、寺子屋での授業で使った「エジソン蓄音機」を使い、

我が家の犬たちは、

「ビクターの犬(ニッパー)」と同じように首をかしげるのか?

という実験をまとめた、壮大(?)なノンフィクションです。

エジソン蓄音機キットについて

エジソン蓄音機そのものについては前記事に紹介していますので詳しいことは割愛しますが、今回は、実験に使う『大人の科学※』の10周年特別版として出た蓄音機についてまずご紹介。

※学研グループがお届けする、大人になっても子供心を持ちつづけている科学ファンのための本で、実験キットが付属していることでおなじみです。

今回実験に使ったのは、大人の科学10周年記念で出された、『円筒レコード式エジソン蓄音機』。すでに絶版で、アマゾンのブックオフで新古品があったので慌てて取り寄せた代物です。

メルカリやアマゾンなどでも買えますが、なにせ組み立てキット式なのでそうそう中古に出てこないだけあって、良いのがあったらポチッとした方がよいでしょう。

定価は3500円(税別)ですが、絶版ということもあり値段はバラバラ。

実際私は、もっと安いものあったのに、迷っている内に他の人にポチられてしまい、結果これを定価より少し安い程度の値段で買うことになりました。

ちなみに、同じ「大人の科学」シリーズで、プラスチックカップを使ったエジソン蓄音機があったようですが、これより先に出たもので、あまり音が出ないという評判だったので、こちらにした、というわけです。

いちおう「本」なので、本もついてきますが、メインはやはり蓄音機。

エジソン蓄音機

ようするにプラモデルなのですが、市販のロウソクを使って(付属のもあるけど)、音を記録して、再生する、というわけです。

完成品はコチラ。

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(机が汚いのは気にしないでください)

もっと小さいものかと思っていましたが、以外とそこそこの大きさがありました。逆に、使わなくなったらどうすんだと思ったりもしますが・・・

使用感としては、針を当てる角度の調整がめんどくさいことと、相当大声じゃないと記録されないというデメリットはあるものの、一応手回しではなく、モーターで動くのは便利ですね。

ちなみに、実際のエジソン蓄音機の最初のバージョンは、手回し型で、音も全然聞こえなかったそうで、電話開発でエジソンのライバルだったグラハム・ベルがエジソンの後に作った改良型蓄音機に負けじと、エジソンは5日間徹夜してゼンマイ式の蓄音機を作ったという逸話もあります。

この蓄音機について、実際の録音再生の模様はYouTubeなどでも見られるし、私の声など誰も聴きたくもないと思うのでその辺は割愛しますが、とりあえず問題なく動きました。

(ただ、公共施設のような広い空間だと聞こえづらく、実験の授業ではとても小さく感じました・・・残念)


それでは、我が家の愛犬たちが、「蓄音機と犬」に出てくるテリア犬、ニッパーのように首をかしげてくれるか実験を始めます!


【実験1】ミックス犬に蓄音機を見せる

被験者:トイプードルとシーズーのミックス犬、ジャックくん7歳

ひとまず蓄音機を見せてみました。

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「なんじゃこれ?」という感じですが、食べ物と若い女の人にしか興味のない彼の心を惹くことはありません。

首をかしげることもなく、匂いも一瞬嗅いで終わりです。

プラスチック製品はオモチャじゃない、というのが彼の認識です。

実験結果:とりあえず見守る


【実験2】ミックス犬に蓄音機を聞かせる

彼は、子犬の頃こそ、電話で家族の声が聞こえると、家中走りまわって探しているようなかわいいところがありましたが、7歳になる今では、テレビや電話どころか、自動ドアやエレベーターもハッキリと「そういう道具」というのがわかっている、冷静で賢明な子です。

なので、蓄音機から出る私の声もわかるかな?と思ってスイッチをオンにしたところ・・・


尻尾を巻いて逃走!

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(この音キライ!!)

掃除機をはじめ、モーター音が大嫌いな彼は、再生する前にレコードを回転させるモーターの音にビビってどっかに行ってしまいました。

実験結果:聞いてもくれない


【実験3】ボーダー・コリーに蓄音機を見せる

被験者:6歳なのにちっとも落ち着かないボーダーのジェシーちゃん

同じように蓄音機を見せてみました。

ボーダー・コリーは、牧羊犬としても有名な犬で、犬の中で最もIQが高い、頭のいい犬と言われています。

しかし、うちのジェシーちゃん、未だにテレビも電話も理解できないし、真夏にフラフラになるまで遊んだり、ジャックと比較して「この子はバカなんじゃないのかな?」と思う事も多い子です※。

※彼女の名誉のため言っておきますが、人間の命令(コマンド)の理解度はとても高く、オモチャの名前をすべて聞き分け、対象のものをキチンと持ってきますし、オモチャの跳ね方など瞬時で計算してキャッチするなど、遊ぶことに関しては天才的です。遊ぶことに関しては。

やんちゃでわんぱくな好奇心のかたまりのような犬種で、散歩でもグイグイ飼い主を引っ張る子が多いご多分に漏れず、我が家の子も好奇心旺盛。

蓄音機を見せたところ・・・

ほぼ無関心のジャックと違って、かなり前のめりに興味を持って鼻で匂いを嗅ぐどころか、蓄音機のホーンに鼻先を入れ始めました。

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(クンクン)

おそらく、私がホーンに録音したときについた飛沫のにおい※でもするのかもしれません。
※犬は情報を視覚ではなく、嗅覚で判断します

そして・・・

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ズボッ!!

蓄音機のホーンに顔を突っ込んでしまいましたw。

実験結果:後先考えない子はホーンに顔を突っ込む


【実験4】ボーダー・コリーに蓄音機を聞かせる

ジャックくんとジェシーちゃんは、性格が真逆なので、たいがいリアクションも真逆なのですが、蓄音機の音を聞かせてみるとどうでしょうか?

ジェシーちゃんは基本ビビりで、少しの音でも怯えて吠えますが、ジャックと違ってモーター音が苦手ではないので、逃げることはないでしょう。

せっかくだから「ビクターの犬」のポジションで写真が撮れたらなと思い、場所を移動して蓄音機を聞かせる準備をします。

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(フンフン)

相変わらず興味津々です。

ジェシーさんはジャックと違ってモーター音は平気なので、期待できそうですね。

スイッチオン!

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(?)

「蓄音機と犬」のニッパーと同じように首をかしげています!

やっぱり、「?」と思うんでしょうね。


・・・が、それだけですね。

私の声が聞こえるのですが、あまり私の声と思っていないのか、少し観察して、興味がなくなったようでした。

まぁ、なにせ目の前に私がいますし、「ヘンなの」くらいに思って終わりだったようです。

そこはオモチャだったのでしょうがないところかもしれません。

実験結果:「蓄音機と犬」のニッパーくんと同じように首はかしげる


【実験5】ICレコーダー型蓄音機で試してみる

被験者:ジェシーちゃん

番外編として、寺子屋の授業で(おそらく蓄音機はつまらないと思ったので)子どもたちの興味を引くために作ることにした、ICレコーダー型の蓄音機を使うことにします。

使ったのは、ISD1820という、半田付けは必要なものの、スピーカーとマイクがすでについているのに格安で買えるボイスレコーダーチップです。

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必要なものは、ISD1820キットとブレッドボード用のメスピンと電池ボックスと単3電池2本です。

写真の本みたいなのは箱です。台にしたもので、セリアで買えます。

チップには足がついていないので、なぜかとても近くにあった配線パーツ屋さんでスナップ式のスペーサーがあったのでそれを使うことにしました。

スピーカーに半田付けが必要なのがちょっとめんどうですが、それさえクリアすればそう難しくない作業です(必ずプラスはVCC、マイナスはGNDにつないでください。逆にすると発熱します)。

完成したものはこちら。ホーンは小さい紙コップが家にあったので、それで再現しました(ホーンがないと音が小さい)。電池はこの箱の中に隠しています。600円くらいで作れましたが、中々いい出来です。

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それでは実験です。

この装置、さすが安いだけあって、録音が12秒しか出来ません

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でも録音時にはLEDが点灯するなど、値段のわりに高機能です。
値段のわりに!

そして、これがかなり(上記の蓄音機と違って)キレイに聞こえるので、実際に作った子どもたちは大喜び!

なにせ、数百円で簡単にボイスレコーダーを作れるわけですからね!


これを、ジェシーちゃんに聞かせてみることにしました。

※再生ボタンを押す関係で、仕事で疲れて倒れている奥さんに押してもらった関係で、奥さんの足が写っていることは気にしないでください。

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ポチッとな

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(?)

おお!

首をかしげましたよ!

(わかりづらくてスミマセン!!)


やっぱり、不思議なんですね。

しかも、先ほどの蓄音機より実際の声に近いせいか、より不思議そうな感じがしました。スピーカーにした電話の声を聴いている感じに近いです。


とはいえ、何回もやると慣れてしまって、こんなリアクションもしてくれなくなるのですが、「蓄音機と犬」を描いた画家のフランシス・バロウドさんは、スマホもない時代に、亡くなった従兄の飼っていたテリア犬ニッパーが、従兄の声が聞こえる蓄音機を不思議そうにのぞき込む姿を、自分の記憶を頼りに絵に収めちゃったんだから、それはそれはスゴいですよね。


実験のまとめ

前回もお話ししましたが、この「蓄音機と犬」を蓄音機メーカーに売り込んだときに「犬が蓄音機を聞くはずがない」と一蹴された、というエピソードがありましたが、今回の実験で、「犬も蓄音機を聞く(ただし飼い主の声に限る)」ということがわかりました。

なにせ、今回の実験では、オモチャの蓄音機を使いましたが、100年前の蓄音機とはいえ、製品版は音がもっとキレイだっただろうし※、ニッパーが、亡くなった元飼い主の声が聞こえる蓄音機を、不思議そうにのぞき込んだ、というのはやはり本当の話だったんだな、と思うわけです。

(↓は1906年式エジソン蓄音機から流された、広告用音声)

もし、私が死んだときも、このボイスレコーダーに入っている私の声を聞いた彼女が、ニッパーと同じように首をかしげてくれる日が、来るかもしれません。


あっ! すでに上書き録音※しちゃったんだった・・・・

※ISD1820は、電池を抜いてもデータは消えませんが、「REC」ボタンを一瞬でも押すと上書き録音されるチップです。


にしても、すべて終わってから、最初から動画で撮っておけばよかったと思いつつ、

それよりもなによりも、写真をこうやって見ていて気づいたのですが、全部、「蓄音機と犬」と向きが逆でしたね(汗)。

映えねー!!!!

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