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鬼滅の刃で中学英語#10~無惨様に許してもらいたい時の表現~

#8で「I'm sorry.」を、#9で「Forgive me.」をご紹介しました。

日本語でも謝罪表現はたくさんありますが、英語でもたくさんあります。

ただしここはあくまでも『鬼滅の刃』で中学英語を学ぶ所なので、中学英語で理解できる内容に絞ってご紹介していますよ。

「Forgive me.」はどこで使える?

前回では、「ごめんなさい」の一つの表現として「Forgive me.」をご紹介しましたが、そもそもこの文の意味からすると「許してください」という意味ですね(「forgive=許す」を使った命令形)。

友だち同士で「許してよ~」なんて時にも使えますし、こんな時にも使えます(『鬼滅の刃』第3巻)。

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このシーンは、禰豆子と闘っていた蹴鞠を使う鬼(朱紗丸)に、珠世が自白成分のある香りを使い、「鬼舞辻」の名前を言わせた後のシーンです。

すべての鬼は鬼舞辻から生まれたため、鬼舞辻のコントロール下にあります。だから、鬼たちの言動は筒抜けなので、「鬼舞辻」の名を口に出すと「処刑」される呪いがかけられているのです。

言ってはならない言葉を口にした朱紗丸は、慌ててこう連呼します。

Please, forgive me!
(お許しください!!)
※please=どうか、どうにか、なんとかという意味の副詞

使いどころも表現も文句なしな見本ですが、相手が悪かったですね。

鬼舞辻無惨(以下、無惨様)がやっちゃダメというものは、やっちゃダメなのです。結果、朱紗丸は呪い殺されてしまいました・・・。

これなんか、相手が悪かったとはいえ、「申し訳ない」というより、失敗したけど「許してほしい」という意味のごめんなさいがよく出ていますね。

だからここでは、「I'm sorry」を使わずに「forgive me」。

しかも、お願いなので「please」をつけてひたすら神に祈るようにお願い倒そうとしたのです。

残念ながら結果はムダになりましたが・・・。

とにかく謝りたい!

上記のシーンよりもさらに「やっちまった」感のあるシーンがこちら(原作は『鬼滅の刃』第6巻)。

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He can read our thoughts? Uh-oh!
(思考が……読めるのか? まずい)
What has you so worried? Tell me.
(何がまずい? 言ってみろ)

下弦の鬼たちが鬼舞辻の元に呼ばれ「下弦の鬼が弱すぎて顔ぶれが変わりまくっている」と責められ、「そんなことを俺たちに言われても……」と思った下弦の陸の心の内がバレた上、そのことを「しまった!」と思った心までまで読まれ、さらに怒りの炎が燃え上がってしまう無惨様。

大ピンチですね。

もう、謝り倒すしかなくないですか?

では、下弦の陸(釜鵺)は、どうやって許してもらおうとしたか、ちょっと長いですがご覧ください。

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Forgive me!
(お許しくださいませ)
Load Kibutsuji!
(鬼舞辻様 どうか)
Please! Mercy!
(どうかお慈悲を)
I'm sorry!
(申し訳ありません)
Forgive me!
(申し訳ありません)
※lord=主、主人、支配者を意味する名詞(発音
※mercy=慈悲、情け、恵みを意味する名詞(発音

とにかく必死に、いろんな謝罪の言葉を口にして謝り倒そうとしましたが、相手が悪かったですね。

鬼舞辻無惨は、必死の命乞いなど意にも介せず、口答えする鬼どもを次々と「処刑」しました。

その姿はまさに鬼ということで、ここから、パワハラ上司のことを「無惨様」という隠語で呼ぶ所も増えたそうです。

謝罪で大事なのは・・・

逆に、謝罪の言葉が「しみる」こともあります。

これは日本語も英語も同じです。

炭治郎の刀を折った鬼、下弦の伍の累(るい)が死ぬ間際に見た夢のシーンから。(『鬼滅の刃』第5巻)

累が人間だった頃、体が弱く、生きながらえるために無惨の言いなりになって鬼となり人間を食べました。

それを見た両親が、累と共に心中しようとして襲いかかってきたところを、累が撃退し、両親を殺害。それが、前回冒頭に紹介したシーンです。

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母からは「強い体に産んであげられなくてごめんね」と、父からも「一緒に死んでやるから」と語りかけられていたことを思い出したのです。

鬼となり、その時の両親の最後の謝罪の言葉をずっと忘れていた累。

それが、鬼としての命が尽きる前に人間の時の記憶がよみがえり、両親の深い愛を知り、偽りの家族を作って淋しさを紛らわそうとしていた絆を自ら断ち切ったことに、「自分が間違っていた」と謝る悲しいシーンです。

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This is all my fault!
(全部僕が悪かったよう)
I'm sorry!
(ごめんなさい)
I'm sorry!, I'm so sorry!
(ごめんなさい ごめんなさい……)
So very sorry...!
(ごめんなさい……!)
※fault=失敗、過ち、罪、間違いを意味する名詞(発音

以前ご紹介した「so」や「very」という副詞を使って意味を強調しながら「I'm sorry」を連呼する累。

両親を含め、たくさんの人間を殺め(あやめ)、犯した罪は重く、地獄の業火の炎に焼かれていくのですが、それでも、許してもらうためではなく、謝っても謝りきれないと知りつつも、謝るしかない、なんとも言えない切ないシーンです。

謝罪表現は色々ありますけど、とにかくシンプルに「I'm sorry」しか使わない所を見ても、先ほどの下弦の陸のような「殺される恐怖からの謝罪」と違って、

本当に申し訳ない気持ち

が伝わってきます。

鬼となり、たくさんの人を殺してきた罪は消えません。

でも、だからこそ、その全部を含めて「その選択をした自分」を謝りたい気持ちを伝えているんです。それしか出来ないから。

この辺の描写も、『鬼滅の刃』の魅力の一つなので、未読の方は是非とも読んでいただきたいですね(原作でもいいですよ!)。

本日のまとめ
Please forgive me.=お願いです、許してください
・とにかく許してほしいときに使えるが、それよりも心からの謝罪が大事

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