1minレッスン解説「壁ワーク」〜踏ん張る人は壁を歩けない〜

「壁歩き」はモスクワ本部のインストラクター、ザイコフスキーから教わったものだ。ザイコフスキーは壁に足をつけたまま仰向けになったりくるくる回ったり色々するのだけど、僕はもっぱら壁歩きをやっている。なぜなら肩の可動域が狭いから。

このワークの本質について、僕は足元から頭へと身体を縦に貫く力のラインをちゃんと構築できるかどうかだと考えている。

身体の中を力がちゃんと通っていれば、壁から床への力を、床から壁への力が双方向的に身体の中を流れて支持してくれる。

立っていると、ちゃんと縦に力が流れているか、単に足腰を踏ん張っているだけなのか区別がつきにくい。力の流れを感じる感性があれば分かるのだけど、その感性を養うのはなかなか難しい。そして単に踏ん張っている人ほど、自分はリラックスしている、と頑なに信じている。

僕は「リラックスしているつもり」が一切通用しないワークが好きだ。言い訳の通用しないワーク。クラスでコンディショニングを重視するのもそう。リラックスしてなければ痛い。リラックスできれば痛みが抜ける。単にそれだけのことだからだ。

壁歩きもその意味で好きなワークの一つだ。リラックスしてなければ、落ちる。足腰を踏ん張ってリラックスしているつもりだった人も、ぼとぼと落ちる。ちゃんと力が通っていれば、身体を支えられる。

僕がこのワークの重要性に気づいたきっかけは、ザイコフスキーが壁を走るのを見たこと。初めてみた時は目を疑った。勢いをつけて壁を蹴りつけ、そのまま床とほぼ平行の横倒しになって数歩走り抜けて着地する。真似しようと思ったけど、全くできる気がしない。あれは何なんだろうと何度も思い返して試してたら、身体を縦に貫く力のラインがあるのだと思い至った。そのラインが全身を強力に壁に押し付けるから、壁を走ることができる。

僕はまだまだ壁を走るには至らないけど、壁歩きはそういう身体の使い方を身につけるよいワークなのではないかと思う。それは地面に立った時、強烈な姿勢の力として作用する。

足が肩の高さより高くなるのはNG。肩と同じか、それより低い高さで。

足が高すぎると手の力は鍛えられても、肝心の足から壁へと流れる力を養うことができない。

ただ膝から床に落ちて怪我をすることがあるのでそこはご注意を。

壁歩きは親子クラスでも重点的に取り組んだエクササイズだ。最低限、自重を支えられるだけの腕と体幹の強さを養えることもある。おかげでお母さんがたも含めて、壁に立って歩くくらいのことはできるようになった。

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