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映画分析ノック㉕『スタンド・バイ・ミー』(1986)


映画『スタンド・バイ・ミー』ストーリー


①:田舎道に一台の車(停車中)。運転席のゴードン、新聞を見つめている。そこには『弁護士・クリス、刺殺される』の見出し。と、通り過ぎてゆく少年たち2人の姿。物思いに耽るゴードン。N「初めて死んだ人間を見たのは、12歳の頃だった」。回想へ。【Hook】
②:1959年・夏。小さなオレゴンの町。ゴードン、売店で雑誌を購入した後、木の上の秘密基地へ。ガキ大将のクリスと眼鏡のテディがいて、3人でポーカーに興じる。クリスはゴードンの親友で家庭環境が悪い。テディは父親から虐待を受けている。
③:そこへ肥満児でノロマなバーンが合流。バーン「死体を見たくないか?」と。何でもバーンが庭で宝探しをしていた際に、高校生の不良たち、ビリーとチャーリーが「汽車に撥ねられたブラワー少年の死体を見つけた」と話しているのを聞いてしまったらしい。【Triger】
④:興味津々のゴードンたち。発見者になれば新聞に載り、勲章になると。アリバイ工作の作戦会議を経て、最後まで渋るバーンを説得し、4人は死体捜しの旅に出ることに。
⑤:行くと言いつつ、気遅れ気味のゴードン。実は4ヶ月前に兄・デニーを事故で失い、両親はショックに沈んでいたのだ。ゴードン、水筒を探して兄の部屋へ。兄からキャップを貰ったことを思い出す。そこへ父、優秀な兄と比較され、貶されるゴードン。給食代泥棒疑惑のクリスと友達であることを揶揄される。
⑥:いざ、ブラワーの死体捜しの旅に出るゴードン。道中でクリスと合流。クリスが父からくすねてきた銃をゴードンに渡す。中に弾が入っていないと思ったゴードンは誤って発砲。慌てて逃げる二人。クリスは母に誓って知らなかったと釈明。信じるゴードン。【PP①】
⑦:ゴードンとクリス、町の不良エースとアイボール(クリスの兄)に絡まれる。ゴードンの帽子を取り上げたエースに「バカヤロー」と暴言を吐いたクリスが締められる。何とか許された二人。不良たち、去っていく。
⑧:線路沿いを歩き始める4人。旅の始まりだ。バーン、テレビに出る時のためにクシを持ってきたと言う。が、線路沿いに約32キロだと聞くと「ヒッチしようよ」と弱音を吐く。それを「女か」と一蹴して歩き出す少年たち。
⑨:歌を歌いながら陽気に歩く4人。バーンが「腹減った。飯は?」と言い、誰も食料を持ってきていないことが発覚。皆の所持金を集めると、2ドル37セント集まった。クズ鉄置場の近くの食料品店で何かは買える。
⑩:と、そこへ汽車が来る。皆が避けるが、テディは「ノルマンティ上陸作戦だ」と線路に立ったまま度胸試しをするつもりだ。クリスがテディをどかして事なきを得る。「よけれたのに」と怒るテディだが、クリスに説き伏せられ、仲直りする。
⑪:車道。エース率いる町の不良たちが、車に乗って郵便ポストをバッドで破壊しまくっている。
⑫:クズ鉄置場。廃車が置かれている。フェンスを越えて侵入する4人。主人のマイロと猛犬がいるらしい。無鉄砲に走り出すテディを見て心配するクリス。今まで何度も彼の命を救ってきたのだ。ゴードンとクリス、かけっこになる。
⑬:クズ鉄置場の隅で休憩する4人。話題は女性タレントの胸。そして誰が食料を買いに行くかコイントスで決めることに。一度全員裏が出て「大凶だ」とバーンが一人騒ぐ。迷信だと一蹴し、二度目のトスでゴードンが負ける。渋々、売店に向かうゴードン。
⑭:売店。コーラやバーガーなどを買っているゴードン。店主が「兄さんは残念だったな」と話しかけてくる。有名なアメフト選手だったゴードンの兄を惜しんでいるのだ。(回想へ)食卓。ゴードンの両親の関心はアメフト選手の兄にばかり集中している。そんな中、唯一自分を気にかけてくれていたのが兄だった「お前の書いた物語、面白かったぞ」と。
⑮:クズ鉄置場。ゴードンが帰ってくると、他の3人がいない。ふと見ると、フェンスを越えて逃げようとしていた。と、主人・マイロに見つかったゴードン、走って逃げる。犬のチョッパーに追いかけられながら、何とかフェンスを越えたゴードン。
⑯:フェンス越しに犬を揶揄うテディ。怒った主人・マイロは、テディの父を「気が変になった」と馬鹿にする。父を揶揄われたテディは憤慨「父さんを馬鹿にしたら殺す」と。テディは自分の耳を焼こうとした酷い父親をそれでも愛していた。「父さんはノルマンディを戦ったんだ!」と。クリスらに抑えられ、その場を後にするテディ。
⑰:森。泣いているテディを慰める他3人。やがて泣き止み「楽しい空気を壊してごめん」と謝る。ゴードンは「楽しくはないよ。帰りたいわけじゃないけど、死体捜しは楽しくないよ」と返す。それでも歩く4人。暗くなる前に先を急ぐ。
⑱:砂地。エース率いる町の不良が溜まっている。タトゥーを入れている奴など。そこへカーラジオからニュースが流れる。依然ブラワー少年の捜索が続いており、警察は捜索範囲を拡大する方向だと。すでに死んでいて見つかりっこないと笑う不良たち。続いてカーラジオから曲『ロリポップ』が流れる。
⑲:曲『ロリポップ』に合わせて歌いながら先を行くテディとバーン。後ろを歩くゴードンとクリス。クリスは中学に入ったらお別れだなと言う。家庭環境が良いゴードンと家庭環境が悪いクリスでは、進路は交わらないと。自分も進学せずに就職すると言うゴードンに対して「お前は物語を書け」と諭すクリス。兄同様、クリスもゴードンの文才を認めてくれているのだ。
⑳:鉄道橋。左右には逃げられず、途中で汽車が来たら数十メートル下を流れる川に飛び込むしかない。渡るのを断念して遠回りしようとするが、やはり渡ることにする4人。バーンはへっぴりごしで渡り、途中でクシを落としてしまう。と、案の定汽車が来てしまった。後列のゴードンとバーン、轢かれる寸前で渡りきることができた。
㉑:森の休憩場所。日が暮れ始め、焚き火をしながら食事をする4人。先ほどの汽車に轢かれそうなバーンの焦り具合を笑い合う。【Mid Point】
㉒:夜。食後の一服をしている4人。「食後の一服が最高だ」とテディ。それは先ほどクリスがゴードンに言ったことだった。クリス、ゴードンに「何か物語を話してくれ」とリクエスト。ゴードンはパイ食い競争の話を語りはじめる。
㉓:ゴードンの物語の世界。デブの主人公・デビーが、自分を揶揄う周囲の人々に復讐するために、パイ食い競争に出場し、競技の最中に嘔吐することで他の選手や観客たちの貰いゲロを誘発し、会場をゲロまみれにする話。
㉔:元の森。ゴードンの物語はおおむね評判だった。その後も夜通し他愛もないことを語り明かす4人。と、コヨーテが遠吠えする声が聞こえ、ブラワーの幽霊だと怯える4人。不審者が来ないように見張りを立てることに。
㉕:それぞれの見張り。テディは兵隊ごっこ。バーンは超ビビり。そしてクリスの番。クリスが見張っていると、ゴードンが夢にうなされていた。兄の葬式を回想していたのだ。そこで父から「お前ならよかった」と言われ、ゴードンは飛び起きた。心配するクリス。
㉖:起きてしまったゴードンは、見張りを続けるクリスの隣に座る。ゴードン「一緒に進学組に入ろう」と説得するが、クリスは「皆、家庭で判断するから無理だ」と諦めている。クリスは給食費を一度は盗んだが、本当は先生に返していた。しかし、先生はその金を盗って新しいスカートを買ったという。自分がそれを訴えても誰も信じてくれないと、涙ながらに語るクリス。そっと寄り添うゴードン。【Low Point】
㉗:夜が明ける。一人起きていたゴードンは鹿を見かけたが、それは自分だけの秘密にしておく。汽車の音で皆が目覚め、再びブラワーの死体を見るために歩を進める4人。川が見えたところで、線路を行くよりも森林を突っ切る方がショートカットできるとクリスが言う。迷った挙句、険しい近道を選ぶことにした4人。
㉘:町の不良たちの点描。ビリーとチャーリーがブラワーの死体についてエースたちに話してしまい、瞬く間に噂が広まっていく。そして話を聞いたエースたちは、取材を受けて有名になるために車に乗って死体の場所へと向かうことに。
㉙:険しい道。4人、泥水に浸かるが何とか渡り切る。と、身体中にヒルがくっついており、慌てふためく。全て取り切ったかに思えたが、ゴードンの股間にヒルがくっついており、出血。気絶するゴードン。
㉚:濡れた服を乾かし終えた4人。呆然と座るゴードンに気を遣い、帰るかどうかで揉めている他3人。ゴードンは意地になって「僕は行く」と一人で歩いてゆく。慌てて追いかける他3人。N「なぜ死体が見たいのか分からなかった。だが、たとえ一人でも僕は行くつもりだった」。
㉛:車道。不良たちがカーチェイスをしている(車2台で向かっているのだ)。そこへ対向から大型トラックが来る。エース、道を譲らずに正面を走り続ける。ぶつかる寸前でトラックが避けてバランスを崩し横転。エース、勝ち誇った顔でさらに車を飛ばしてゆく。
㉜:森。目的地に到着した4人。死体を捜すと、線路脇にブラワーの亡骸を発見。汽車に轢かれて死んだのだ。薪を集めて担架を作ろうとする3人。しかし、ゴードンは死体の前から動けずにいた。心配になり隣に寄り添うクリス。【PP②】
㉝:ゴードン、ブラワーの死体から亡くなった兄を連想し「なぜ死んだんだ…」と。「僕が死ねば良かった」「父さんは僕を恨んでいる」と感情が溢れ出す。そんなゴードンにそっと寄り添うクリス「君は大作家になるよ。書く材料に困ったら僕らのことを書け」と励ます。
㉞:そこへエースたち不良グループが到着し、4人と鉢合わせになる。大人しく死体を渡せと言われ、最後まで抵抗するクリス。ブチギレたエースはナイフでクリスを殺そうとするが、ゴードンが持っていた銃を発砲。不良たちを銃で威嚇する。「兄貴は物分かり良かったぞ」と煽られるが動じないゴードン。緊迫の末、不良たちを追い払うことに成功。その後、匿名で遺体を通報したことがNで語られる。【Lowest Point】
㉟:帰り道の点描。4人の少年たちは、この2日間の旅で少しだけ大人になった。町に到着し、バーン、テディと順番に解散。ゴードンとクリスは二人で帰路を行く。そこにNが重なり、テディとバーンがそれぞれどんな大人になったかが語られる。【High Point】
㊱:丘。ゴードンとクリス、慣れ親しんだ町の景色を眺めている。クリス「僕は一生この町にいるのかな…」とこぼす。ゴードンは「何だってできるさ」と励ます。友情の握手を交わし、そして解散する。そこにNが重なり、クリスが町を出て進学し、努力の末に弁護士になったことが語られる。そして先週、レストランで喧嘩を止めた際にナイフで喉を刺されて即死した、と。
㊲:長い回想が終わり、大人になったゴードンの自宅。ゴードン、部屋でPCに文字を打っている(これまでのNは全てゴードンの小説だったのだ)。ゴードン、最後に「あの12歳の時のような友達はもう出来ない。もう二度と…」と打ち込み、電源を消して自分の子供たちの遊びに付き合ってやる。


映画『スタンド・バイ・ミー』分析

■主人公は誰で、どこから登場しているか

主人公は、少年・ゴードン(愛称はゴーディ)。
冒頭・第1幕①、大人のゴードンが停車中の車中で新聞を読み、クリスの訃報を知るところから始まる。語り手として回想(=物語の本編)へと誘なう役割。そして冒頭・第1幕②、売店で雑誌を購入するゴードン少年が登場。語り手の少年時代が本編の主人公なのだ。

■二番目の人物は誰で、どこで登場しているか

副主人公は、ガキ大将であり主人公の親友の少年・クリス。
第1幕②、売店で雑誌を買ったゴードンが向かった先の秘密基地で登場。タバコを吸いながらポーカーに興じているシーンで、悪ガキであることが分かる。そこにNが重なり、ガキ大将的なポジションのキャラクターであることが説明される。

■主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か

⑥:いざ、ブラワーの死体捜しの旅に出るゴードン。道中でクリスと合流。クリスが父からくすねてきた銃をゴードンに渡す。中に弾が入っていないと思ったゴードンは誤って発砲。慌てて逃げる二人。クリスは母に誓って知らなかったと釈明。信じるゴードン。【PP①】

物語が本格的に始まるのは……「⑥(第2幕)」、主人公の少年・ゴードンが死体捜しの旅に出るシーン。ここから物語の大半を占める死体捜しの旅がスタートする。まずは親友クリスが合流し、二人の友情がとりわけ特別なものであることを描き、その上で他の2人が合流し、4人になる。

どんな物語(ログライン)か……
いつ:1959年・夏
どこで:オレゴンの小さな田舎町で
誰が:兄を亡くした少年・ゴードンが、
きっかけ:友人から死体の在処を聞き、
目的:その死体を発見し手柄を得るために、
方法:4人で線路沿いの道を歩いて、
敵・壁:自身のトラウマと対峙しながら、
行動:死体捜しの旅に出る物語

(全体ログラインと個別ログラインがごっちゃになっているが、一旦仮置きで…)

■物語が大きく転換しているのはどこか

物語の転換点(Mid Point)は「㉑(第2幕)」日が暮れ、森で休憩するシーン。
大きくは転換してはいないが、ずっと歩いていた少年たちがこのシーンから休憩に入る。

■クライマックスはどこか

クライマックスは「㉞(第3幕)」死体の発見場所で不良グループと鉢合わせるシーン。
不良エースから「兄貴は物分かり良かったぞ」と言われるが、前のシーンで自身の悲しみを親友クリスに開示していたゴードンは動じなかった。一つ、トラウマを乗り越えた瞬間だったのだ。

■主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか

・大人時代。ゴードンは新聞で親友だったクリスの死を知ることになる。
・あまり気乗りしない「死体捜し」の旅に誘われる。ノリが悪いと思われるため、断れる感じでもない。
・アメフト選手として将来を有望視されていた兄が亡くなり、両親が失意の底に落ちている(自分には目も暮れない)。
・両親が自分の友達のことをよく思っていない。特に家庭環境の悪い親友クリスと付き合うことをやめろと言う。
・兄が生きていた頃も、話題の中心は兄の活躍ばかり。両親は自分には興味がない。
・クリスから借りた銃に実弾が入っており、誤って民家を撃ってしまう。
・町の不良に絡まれて、そこでも兄と比較されてしまう。
・死体捜しの旅に出るが、誰もお金を持ってきておらず、所持金がわずかしかない。
・コイントスで負けて、売店で何かを購入する役目を押し付けられる。
・小さな町であるがゆえに皆が兄の活躍を知っており、売店の店主からも「惜しい人を亡くしたね」と言われる。
・クズ鉄置場で仲間に置いて行かれた挙句、猛犬に追いかけられる。
・親友クリスから(ゴードンと共に)進学せずに就職する道を選ぶと言われる。悪い家庭環境のせいで自身の可能性を諦めている。
・鉄道橋を渡っている最中に汽車が来てしまい、危機一髪の状況に陥る。
・父から「兄ではなくお前が亡くなればよかった」と言われる悪夢を見てしまう。
・泥道を渡り、沼にハマり、身体中にヒルがついてしまう。出血して気絶する。
・死体を発見して兄の死を思い出し、コンプレックスも相まって泣いてしまう。
・不良たちに死体を横取りしようとされる。「お前の兄は聞き分けがよかったぞ」と煽られる(が動じない)。

■逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか

・一緒に死体捜しの旅に行くような友達がいる。
・両親から目をかけられていないが、生前の兄はいつも自分の才能を褒めてくれていた。
・親友クリスも自分の物書きとしての才能を褒めてくれる。
・友達が自分の作った物語を夢中になって聞いてくれた。
・無事に迫り来る汽車から逃れることができた。

■起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か

起「田舎町の少年ゴードンと仲間たち」
①:田舎道に一台の車(停車中)。運転席のゴードン、新聞を見つめている。そこには『弁護士・クリス、刺殺される』の見出し。と、通り過ぎてゆく少年たち2人の姿。物思いに耽るゴードン。N「初めて死んだ人間を見たのは、12歳の頃だった」。回想へ。
②:1959年・夏。小さなオレゴンの町。ゴードン、売店で雑誌を購入した後、木の上の秘密基地へ。ガキ大将のクリスと眼鏡のテディがいて、3人でポーカーに興じる。クリスはゴードンの親友で家庭環境が悪い。テディは父親から虐待を受けている。
③:そこへ肥満児でノロマなバーンが合流。バーン「死体を見たくないか?」と。何でもバーンが庭で宝探しをしていた際に、高校生の不良たち、ビリーとチャーリーが「汽車に撥ねられたブラワー少年の死体を見つけた」と話しているのを聞いてしまったらしい。
④:興味津々のゴードンたち。発見者になれば新聞に載り、勲章になると。アリバイ工作の作戦会議を経て、最後まで渋るバーンを説得し、4人は死体捜しの旅に出ることに。
⑤:行くと言いつつ、気遅れ気味のゴードン。実は4ヶ月前に兄・デニーを事故で失い、両親はショックに沈んでいたのだ。ゴードン、水筒を探して兄の部屋へ。兄からキャップを貰ったことを思い出す。そこへ父、優秀な兄と比較され、貶されるゴードン。給食代泥棒疑惑のクリスと友達であることを揶揄される。

承「死体捜しの旅へ/少年たちの葛藤」
⑥:いざ、ブラワーの死体捜しの旅に出るゴードン。道中でクリスと合流。クリスが父からくすねてきた銃をゴードンに渡す。中に弾が入っていないと思ったゴードンは誤って発砲。慌てて逃げる二人。クリスは母に誓って知らなかったと釈明。信じるゴードン。
⑦:ゴードンとクリス、町の不良エースとアイボール(クリスの兄)に絡まれる。ゴードンの帽子を取り上げたエースに「バカヤロー」と暴言を吐いたクリスが締められる。何とか許された二人。不良たち、去っていく。
⑧:線路沿いを歩き始める4人。旅の始まりだ。バーン、テレビに出る時のためにクシを持ってきたと言う。が、線路沿いに約32キロだと聞くと「ヒッチしようよ」と弱音を吐く。それを「女か」と一蹴して歩き出す少年たち。

㉙:険しい道。4人、泥水に浸かるが何とか渡り切る。と、身体中にヒルがくっついており、慌てふためく。全て取り切ったかに思えたが、ゴードンの股間にヒルがくっついており、出血。気絶するゴードン。
㉚:濡れた服を乾かし終えた4人。呆然と座るゴードンに気を遣い、帰るかどうかで揉めている他3人。ゴードンは意地になって「僕は行く」と一人で歩いてゆく。慌てて追いかける他3人。N「なぜ死体が見たいのか分からなかった。だが、たとえ一人でも僕は行くつもりだった」。
㉛:車道。不良たちがカーチェイスをしている(車2台で向かっているのだ)。そこへ対向から大型トラックが来る。エース、道を譲らずに正面を走り続ける。ぶつかる寸前でトラックが避けてバランスを崩し横転。エース、勝ち誇った顔でさらに車を飛ばしてゆく。

転「死体発見/トラウマの克服」
㉜:森。目的地に到着した4人。死体を捜すと、線路脇にブラワーの亡骸を発見。汽車に轢かれて死んだのだ。薪を集めて担架を作ろうとする3人。しかし、ゴードンは死体の前から動けずにいた。心配になり隣に寄り添うクリス。
㉝:ゴードン、ブラワーの死体から亡くなった兄を連想し「なぜ死んだんだ…」と。「僕が死ねば良かった」「父さんは僕を恨んでいる」と感情が溢れ出す。そんなゴードンにそっと寄り添うクリス「君は大作家になるよ。書く材料に困ったら僕らのことを書け」と励ます。
㉞:そこへエースたち不良グループが到着し、4人と鉢合わせになる。大人しく死体を渡せと言われ、最後まで抵抗するクリス。ブチギレたエースはナイフでクリスを殺そうとするが、ゴードンが持っていた銃を発砲。不良たちを銃で威嚇する。「兄貴は物分かり良かったぞ」と煽られるが動じないゴードン。緊迫の末、不良たちを追い払うことに成功。その後、匿名で遺体を通報したことがNで語られる。

結「旅の終わり/それぞれの帰結」
㉟:帰り道の点描。4人の少年たちは、この2日間の旅で少しだけ大人になった。町に到着し、バーン、テディと順番に解散。ゴードンとクリスは二人で帰路を行く。そこにNが重なり、テディとバーンがそれぞれどんな大人になったかが語られる。
㊱:丘。ゴードンとクリス、慣れ親しんだ町の景色を眺めている。クリス「僕は一生この町にいるのかな…」とこぼす。ゴードンは「何だってできるさ」と励ます。友情の握手を交わし、そして解散する。そこにNが重なり、クリスが町を出て進学し、努力の末に弁護士になったことが語られる。そして先週、レストランで喧嘩を止めた際にナイフで喉を刺されて即死した、と。
㊲:長い回想が終わり、大人になったゴードンの自宅。ゴードン、部屋でPCに文字を打っている(これまでのNは全てゴードンの小説だったのだ)。ゴードン、最後に「あの12歳の時のような友達はもう出来ない。もう二度と…」と打ち込み、電源を消して自分の子供たちの遊びに付き合ってやる。

■三幕だとするとどこが分かれ目か

第1幕「田舎町の少年たち」(状況設定)
①:田舎道に一台の車(停車中)。運転席のゴードン、新聞を見つめている。そこには『弁護士・クリス、刺殺される』の見出し。と、通り過ぎてゆく少年たち2人の姿。物思いに耽るゴードン。N「初めて死んだ人間を見たのは、12歳の頃だった」。回想へ。【Hook】
②:1959年・夏。小さなオレゴンの町。ゴードン、売店で雑誌を購入した後、木の上の秘密基地へ。ガキ大将のクリスと眼鏡のテディがいて、3人でポーカーに興じる。クリスはゴードンの親友で家庭環境が悪い。テディは父親から虐待を受けている。
③:そこへ肥満児でノロマなバーンが合流。バーン「死体を見たくないか?」と。何でもバーンが庭で宝探しをしていた際に、高校生の不良たち、ビリーとチャーリーが「汽車に撥ねられたブラワー少年の死体を見つけた」と話しているのを聞いてしまったらしい。【Triger】
④:興味津々のゴードンたち。発見者になれば新聞に載り、勲章になると。アリバイ工作の作戦会議を経て、最後まで渋るバーンを説得し、4人は死体捜しの旅に出ることに。
⑤:行くと言いつつ、気遅れ気味のゴードン。実は4ヶ月前に兄・デニーを事故で失い、両親はショックに沈んでいたのだ。ゴードン、水筒を探して兄の部屋へ。兄からキャップを貰ったことを思い出す。そこへ父、優秀な兄と比較され、貶されるゴードン。給食代泥棒疑惑のクリスと友達であることを揶揄される。

第2幕「死体捜しの旅へ/少年たちの葛藤」(対立・葛藤)
⑥:いざ、ブラワーの死体捜しの旅に出るゴードン。道中でクリスと合流。クリスが父からくすねてきた銃をゴードンに渡す。中に弾が入っていないと思ったゴードンは誤って発砲。慌てて逃げる二人。クリスは母に誓って知らなかったと釈明。信じるゴードン。【PP①】
⑦:ゴードンとクリス、町の不良エースとアイボール(クリスの兄)に絡まれる。ゴードンの帽子を取り上げたエースに「バカヤロー」と暴言を吐いたクリスが締められる。何とか許された二人。不良たち、去っていく。
⑧:線路沿いを歩き始める4人。旅の始まりだ。バーン、テレビに出る時のためにクシを持ってきたと言う。が、線路沿いに約32キロだと聞くと「ヒッチしようよ」と弱音を吐く。それを「女か」と一蹴して歩き出す少年たち。

㉙:険しい道。4人、泥水に浸かるが何とか渡り切る。と、身体中にヒルがくっついており、慌てふためく。全て取り切ったかに思えたが、ゴードンの股間にヒルがくっついており、出血。気絶するゴードン。
㉚:濡れた服を乾かし終えた4人。呆然と座るゴードンに気を遣い、帰るかどうかで揉めている他3人。ゴードンは意地になって「僕は行く」と一人で歩いてゆく。慌てて追いかける他3人。N「なぜ死体が見たいのか分からなかった。だが、たとえ一人でも僕は行くつもりだった」。
㉛:車道。不良たちがカーチェイスをしている(車2台で向かっているのだ)。そこへ対向から大型トラックが来る。エース、道を譲らずに正面を走り続ける。ぶつかる寸前でトラックが避けてバランスを崩し横転。エース、勝ち誇った顔でさらに車を飛ばしてゆく。

第3幕「死体の発見/少年たちの帰結」(解決・変化)
㉜:森。目的地に到着した4人。死体を捜すと、線路脇にブラワーの亡骸を発見。汽車に轢かれて死んだのだ。薪を集めて担架を作ろうとする3人。しかし、ゴードンは死体の前から動けずにいた。心配になり隣に寄り添うクリス。【PP②】
㉝:ゴードン、ブラワーの死体から亡くなった兄を連想し「なぜ死んだんだ…」と。「僕が死ねば良かった」「父さんは僕を恨んでいる」と感情が溢れ出す。そんなゴードンにそっと寄り添うクリス「君は大作家になるよ。書く材料に困ったら僕らのことを書け」と励ます。
㉞:そこへエースたち不良グループが到着し、4人と鉢合わせになる。大人しく死体を渡せと言われ、最後まで抵抗するクリス。ブチギレたエースはナイフでクリスを殺そうとするが、ゴードンが持っていた銃を発砲。不良たちを銃で威嚇する。「兄貴は物分かり良かったぞ」と煽られるが動じないゴードン。緊迫の末、不良たちを追い払うことに成功。その後、匿名で遺体を通報したことがNで語られる。【Lowest Point】
㉟:帰り道の点描。4人の少年たちは、この2日間の旅で少しだけ大人になった。町に到着し、バーン、テディと順番に解散。ゴードンとクリスは二人で帰路を行く。そこにNが重なり、テディとバーンがそれぞれどんな大人になったかが語られる。【High Point】
㊱:丘。ゴードンとクリス、慣れ親しんだ町の景色を眺めている。クリス「僕は一生この町にいるのかな…」とこぼす。ゴードンは「何だってできるさ」と励ます。友情の握手を交わし、そして解散する。そこにNが重なり、クリスが町を出て進学し、努力の末に弁護士になったことが語られる。そして先週、レストランで喧嘩を止めた際にナイフで喉を刺されて即死した、と。
㊲:長い回想が終わり、大人になったゴードンの自宅。ゴードン、部屋でPCに文字を打っている(これまでのNは全てゴードンの小説だったのだ)。ゴードン、最後に「あの12歳の時のような友達はもう出来ない。もう二度と…」と打ち込み、電源を消して自分の子供たちの遊びに付き合ってやる。

■このストーリーを3行で言うとどうなるか

1959年の夏。オレゴンの田舎町で、兄を亡くし両親から愛されていないと感じている少年が、友人が死体捜しの旅に誘われる。4人で旅をする中で、少年は友人の抱えているものを知り、自身の苦しい胸の内も吐露する。そして旅を終えた少年は、自身のトラウマを克服し、少しだけ大人になった。

■このストーリーを15項目くらいの箇条書きにするとどうなるか

・大人時代のゴードン、かつての親友クリスの死を知る
・少年時代のゴードン、秘密基地に仲間が3人(少年4人組)
・死体があると噂を聞いたバーン。死体捜しの旅に行こう!
・兄を亡くし、両親の愛情に懐疑的なゴードンの葛藤
・少年たち4人の死体捜しの旅がスタート
・僅かな所持金で売店へ買い出しに(ゴードンの苦悩)
・クズ鉄置場で犬に追いかけられる(テディの苦悩)
・鉄道橋で汽車に轢かれそうになる
・日没、森林で休憩/ゴードンの物語
・深夜、見張りを立てる(クリスの苦悩)
・泥道でヒルに噛まれる
・死体発見(兄を連想し、涙するゴードン)
・不良たちと鉢合わせ(ゴードンが乗り越える)
・帰路に着く少年たち4人(ゴードンとクリスの決意)
・大人時代のゴードン、小説を書き終える

■このストーリーを10の構成要件に落とし込むとどうなるか

(1)セットアップ:①② 回想・秘密基地に集まる4人
(2)きっかけ:③ バーンから「死体がある」と噂話
(3)きっかけへの反応:④⑤ 乗り気ではないゴードンの葛藤
(4)転換点1:⑥⑦ 旅を始めるゴードン
(5)メインプロット1:⑧〜⑳ 死体捜しの旅に出る4人
 (サブ:⑪⑱ 町の不良エースたち)
(6)中間点:㉑ 日没・山奥で休憩
(7)メインプロット2:㉒〜㉝ 少年たちの苦悩/再び歩き出す4人
(サブ:㉘㉛ 町の不良エースたち)
(8)最悪の時:㉞ 死体の発見・不良たちと鉢合わせ
(9)転換点2:㉟ 無事に帰路に着く4人
(10)クライマックス:㊱㊲ それぞれの変化


映画『スタンド・バイ・ミー』学びポイント


■キャラクター

ゴードン
①表の顔(ぱっと見の性格):真面目。どこか冷めてる。
②バックグラウンド(設定):兄を亡くした悲しみの中にある。両親はいまだに自分のことを見てくれない。自分が死ねばよかったと思っているし、両親からもそう思われているのだろうと思っている。物語を描くのが好き。
③作品内での変化:兄を失った悲しみを乗り越える。自分の物語を描く才能を信じることにする。
④葛藤・矛盾:兄の死を悲しむ一方で両親が自分を見てくれないことに寂しさを抱いている。物語を作るのが好きだが、自分の才能には懐疑的。親友・クリスと一緒に進学したいが、クリスは就職するという。
⑤世界観(信念・考え方・倫理観):両親から期待されていない自分には、存在価値がない。夢はおおよそ叶わない。
⑥きっかけとゴール:(きっかけ)死体の在処を聞いたこと/(ゴール)死体の第一発見者になる。
⑦行動:4人でブラワーの死体捜しの旅に出る。

クリス
①表の顔(ぱっと見の性格):男前。頼れるリーダー。
②バックグラウンド(設定):家庭環境が悪く、給食費を盗んだと疑いをかけられている。兄は不良。
③作品内での変化:将来を諦めていたが、自分の可能性を信じてみることにする。
④葛藤・矛盾:家庭環境のせいで誰からも信じてもらえない。将来を諦めているが、やりきれない思いもある。
⑤世界観(信念・考え方・倫理観):正しいことは正しいと、間違っていることは間違っていると言う。握手をしたら恨みっこなし。
⑥きっかけとゴール:(きっかけ)死体の在処を聞いたこと/(ゴール)死体の第一発見者になる。
⑦行動:4人でブラワーの死体捜しの旅に出る。

テディ
①表の顔(ぱっと見の性格):生意気。憎たらしいメガネ。
②バックグラウンド(設定):父がノルマンディの帰還兵で精神病患者。父から暴力を振るわれ、耳を焼かれている。それでも父を愛しており、父のことを揶揄われるとブチギレる。父の影響か"有害な男性性"を感じる発言が多い。
③作品内での変化:生意気で嫌味な発言が多いが、(それを向けてしまったクリスに)謝る姿勢を見せる。
④葛藤・矛盾:父は立派だと思いたい。父をバカにされたくない。父のような男らしい兵士になりたい。
⑤世界観(信念・考え方・倫理観):嫌味なことを言ってしまうが、それも愛情表現。兵士に憧れている。
⑥きっかけとゴール:(きっかけ)死体の在処を聞いたこと/(ゴール)死体の第一発見者になる。
⑦行動:4人でブラワーの死体捜しの旅に出る。

バーン
①表の顔(ぱっと見の性格):どんくさい。小心者のデブ。
②バックグラウンド(設定):ー(ほとんど語られない)
③作品内での変化:特に変化しない。
④葛藤・矛盾:皆からどんくさいと思われているけど、なんとか挽回したい!(とも言っていないが…)
⑤世界観(信念・考え方・倫理観):怖いことはしないほうがいい。でも興味はある。
⑥きっかけとゴール:(きっかけ)死体の在処を聞いたこと/(ゴール)死体の第一発見者になる。
⑦行動:4人でブラワーの死体捜しの旅に出る。

・他3人が並列の関係ではなく、主人公からの距離が近い親友1人(クリス)と他2人(テディ・バーン)になっている。

・さらにキャラクターの掘り下げ具合もグラデーションになっており、主人公 > 親友クリス > テディ > バーン となっている。

それぞれの問題
ゴードン:兄を亡くした悲しみ/両親からの愛情不足/小説家にはなれない/親友クリスの進路
クリス:家庭環境が悪く進学を諦めている/大人が信用できない
テディ:精神病の父を馬鹿にされたくない
バーン:ー(強いて言うなら、おっちょこちょいで怖がり)

→主人公の葛藤や苦悩がいろんな場面や人物にアクセスできる広さを持っている。
→主人公の葛藤や苦悩が、目的地である「死体」へと繋がる(ブラワーの死体から「兄の死」を連想する)

バーンは苦悩や葛藤があまり描かれないが、その分すべての行動のきっかけ作りの役目を果たしている。
・死体を見つけてきて、それを他3人に話す(→死体捜しの旅が始まる)
・旅の開始早々、お腹が空いたと言う(→誰もお金を持ってこなかったことが判明する)
・夜の森。コヨーテの遠吠えが聞こえ、見張りを立てようと言う(→ゴードンとクリスの話)

■構成/ストーリー

後で追記

■シーン

後で追記


■小道具

前半で出てきたアイテムは、基本的にしっかり後半で処理される。
(ゴードンの雑誌/バーンのクシ/クリスの煙草/ゴードンとクリスの銃/クズ鉄置場の犬…etc)

中でもクリスの煙草はセリフとして前半に登場し、それを吸ったテディとバーンが同じセリフを呟いたことで回収される。
→それを笑い合うゴードンとクリス。2人の友情が特別であることの描写に繋がっている。

■セリフ

後で追記


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