8月14日 第80号 ひけらかさない

 DINKSという言葉が21世紀になって、各種メディアで使われるようになりました。Double Income No Kidsの略です。共働きで子供がいない夫婦のことをさします。これまでの夫婦のかたちにこだわらずに、お互いの自由を尊重するという意味で、事実婚も、少しずつ増えているみたいです。結婚していても、子供がいないのは不幸、という価値観もあれば、結婚していないのは不幸、という価値観もあります。立場に貴賤なんてあるわけもないのに、それでも、既存の社会の規範に従って、人は物事を考えがちです。自分がいかに幸せに、楽しく生きていけるのかということに照準を合わせて生きていけばいいのに、隣の人がどうやって生きているのかが、気になって仕方がない。そんな人も一定数いることは事実です。自分は感動した。他人は一体、どう思うんだろう。自分の感性は間違っていないのか、そんな答え合わせのような人生って楽しいでしょうか?


 自分の生活を他人に羨んでほしいと言わんばかりのSNS。どう?あなたにはこんな生活できないでしょう?と、ひけらかすような行為。そもそも、自分が満たされている人は、他人へ特別何かを発信していく必要なんてないのです。ジェットコースターのような楽しさしかそこにはない。いかにも、短絡的だなと思います。楽しさって、他人に見せるものでもない。ただ、自分の内側から滲み出してしまうもの。静かに、心を満たしてくれる。思い浮かべるだけで、それが楽しみににあってしまう。たとえ、生活の9割がつまらないとしても、そのことを楽しみにして、今日も生きよう。そんな、けなげな姿勢もまた、上品だ。

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