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【雑記】諫早

先日は諫早に行った。

熊本西側の沿岸沿いから、玉名⇒長洲⇒荒尾⇒大牟田に入り、有明沿岸道路を進み、鹿島から太良、長崎の小長井あたりまではずっと海沿いを走った。

途中で、東京にいたころ、テレビで見たことのあるフルーツバス停を見て楽しんだ。
ときおりバス停に降りて写真を撮っている人もおり、人気スポットなんだなあと実感。

諫早近くに着いたところで、息子に
「ところで君は諫早のどこに行きたいの?」
と訊ねた。

「とりあえず諫早駅に行って」
「いやいや、駅なんか行っても、なにもないでしょ」
「なに言ってんの。今回の西九州新幹線の開通で、すごくきれいな駅になってんだよ」
「それはわかったから、どこに行きたいの?」
「諫早には眼鏡橋とか博物館もあるんだよ」
「じゃあ、博物館に行こう」
という流れで、博物館に行った。

ここは美術館とも併設されているようで、長崎県展をやっていた。

一番気に入った絵

ひとしきり絵を見終わったあと、眼鏡橋も見に行った。

眼鏡橋

さあ、戻ろうかという時になって息子が
「諫早駅に行きたい」
と言い出した。

仕方がないので、諫早駅に連れて行った。
連れて行った瞬間、息子氏、時刻表を見るなり、
「次の新幹線が5分後に来るんで、ちょっと見てくる」
と言って、入場料を払って駅のホームに去って行った。
そこで初めて、息子氏が知らない間に筋金入りの「乗り鉄」になっていたことを知った。

先々週もどこに行かという話になったときに
「武雄温泉に行きたい」
と言い出した。
あんた温泉なんか入らんやろ、と言おうとしたとき、ふと思い出した。
その日は西九州新幹線(武雄温泉―長崎間)が開業する日だったのだ。
まんまと息子に踊らされて、人ごみの中武雄温泉駅に行く羽目になったことを思い出した。
「学校で僕が一番早く西九州新幹線の映像を撮ったよ」
と自慢げに語っていた。

今週もまんまと息子に乗せられて、諫早駅にまで行ってしまった。

たしかに東京にいたころ、息子はかなりの鉄オタだった。
山手線やら京浜東北線やら、都内を走る電車はだいたい知っていた。
九州に移り住んでから鉄道に乗らないこともあり、数年前東京に行ったときには山手線と京浜東北線の違いさえも判らなくなっていた。
すっかり電車の種類など忘れたのだろうと思っていたが、新幹線通学をするうちに、さらにグレードを増した「鉄オタ」になった。

「この間、指宿の玉手箱を見たよ」とか
「いさぶろうしんぺいが通った」とか
「三角駅に行こうよ」とか
「ふたつ星4047が開業したよ」等々、
絶望的に興味のないことを滔々と喋っていたかと思ったら、いつの間にか、手がつけられないほどの鉄オタになり、
「一人旅したいんだけど」
とまで言うようになってしまった。

つまり息子氏にとって、今回の旅は最初から諫早駅が目的で、博物館や美術館、眼鏡橋は単なる口実であったことに、気づいたのだった。

帰り道、
「諫早駅、とてもきれいだったねえ」
と言いながら、ホームで取った映像を流していたが、我々にとっては、ただ騒がしい駅のホームの音声にしか思えなかった。

学校にも鉄道研究会があるらしいので、いっそのことそこで活動してくれないかと思う我々であった。(●´ω`●)





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