見出し画像

【中学受験ネタ】PRE合否判定テスト

先日息子がPRE合否判定テストを受けた。
このテストを受けるまでには、我が家ではいろいろあった。

その前にあった学力育成テストが、今年最後のテストだと思っていたのだ。
もらったプリントにも、PRE合否判定テストのことは書いていなくて、てっきり我が家では学力育成テストが今年最後のテストだと思い込んでいた。
(面談に行ったときの話では、先生も勘違いをしていたようだったと妻も言っていた)

そういうことなので、育成テストの前に「有終の美を飾るぞ」と言って、息子を励ました。
正月には息子の大好きな叔父(私の弟)も帰ってくる。
「悪い点数だったら、叔父さんががっかりするよね」とも。
実際に弟も、息子の点数を楽しみにしているところがあるので、息子も忙しい中よく頑張った。

テスト当日、自己採点したところによると、あまり点数はよくなかった。
メチャメチャ悪くはなかったので、「まあ、仕方がないか」という雰囲気だった。
「叔父さんをちょっとがっかりさせちゃうかもね」
ところが翌日学力育成テストの結果を見て驚いた。
そんなに悪くはなかったのだ。
というか、最高というわけではないけど、ほぼ合格点の成績。
どうやら平均点が低かった模様。
息子も順位と点数を聞いて、胸を撫で下ろしていた。
「これで、いちおう有終の美を飾ったね」

ところがである。
その週の木曜日に、息子がしょんぼりして塾から帰ってきた。
話を聞くと、日曜日にPRE合否判定テストがあるという。
しかも公開模試なので、スカラシップまでかかっているとのこと。
「終わったと思ったのに、ひどいよ……」
と息子は肩を落とした。

PRE合否判定テストの日、息子は心なしかトボトボと塾に歩いて行った。
息子がテストを受けている間、妻と話した。
「今回のテストはいくら悪くても、仕方がない。だってあれじゃ息子氏も可哀想だよね」
「そうだよ。だから今回はテストを受けただけでも誉めてやろうよ」
ということで、「有終の美は飾れなかったけど、よく頑張った」ということにしてやろうと話していた。

テストが終わり、息子から電話がかかってきた。
「まあまあ、よかったよ。もう少しで9割だった」
私と妻は顔を見合わせてほっとした。
点数がどうこうという話ではなくて、気持ちの問題だった。今回のテストは本人に納得させたかったので、とりあえず一安心。

志望校をたくさん書けたので、いろいろ書いてやった。
まず一番に開成、次に筑駒。そして九州の中学の久留米附設、ラ・サール、愛光までは、合格したら行く可能性があるので、スラスラ書いた。
まだ余白があったので、聖光学院、麻布、渋幕あたりを書いておいた。

結果、やはり開成、筑駒になると80%は難しい。もう少し頑張らないと、第一志望への合格は確実にはならないだろう。
その他はおおむね大丈夫だった。

「よかったな。とりあえずは叔父さんに報告できそうで」
「うん」
「今回はちょっと可哀想だったから、お父さんもほっとしたよ」
「でもボクが一番ひどいと思ったのは、ゴールデンウィークの時だったんだよ」
それを聞いて思い出した。
今年のGWは大分国東半島、長崎鼻のコテージを借りて、東京の友人夫妻2組を呼んで、国東半島を観光しようという話になっていたのだった。
久しぶりに会う友人たちとの再会を、息子も楽しみにしていた。
妻に至っては、人気の場所なので、前の年から予約していたほどの思い入れのある旅行だった。

旅行前、
「やるべきことはやっておかないとな」
と言っていて、息子もきっちり勉強していた。
結果、公開模試でも今までの最高偏差値、学力育成テストでも今までの最高順位という申し分のない成績を取っていた息子。
「楽しみだね」

ところがコロナ騒動で、すべてキャンセル……。
本当にがっかりした。
今考えても、間違いなく今年一番のがっかり事件。
ほんと、コロナ恨むぜ。
そのあと息子のテストが数カ月くらいイマイチだったのは、そのことにも原因があったのかもしれない。

昨日息子が、呟いた。
「ボクはいまだに根に持ってんだよ。あのときのこと」

でしょうね。
我々も根に持っていますから。


小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)