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第16話 少年院の話①
4回目の学園脱走で起こした #建造物等以外放火 で逮捕された当時14歳の私は、学園で一時保護されたのち、鑑別所へと移送された。
罪状は他にも傷害や窃盗、暴走などが付いてきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1692887377270-AUJmOGWCxi.jpg?width=800)
鑑別所での記憶はあまりない。
後に入る少年院での記憶が強すぎるせいか、あるいは鑑別所で過ごした時間が短いせいか、思い出せる事は少ない。
鑑別所で囚人は番号で呼ばれる。
「2365番!」
「398番!」
グラウンドが唯一の交流の場だが、少年院ほど厳しくはないものの、基本的には私語厳禁だ。
鑑別所のグラウンドは広くない。
ランニングやドッチボールなどをするには事足りるが、サッカーや野球はできないくらいの広さ。
そんな小さなグラウンドは、時に名誉のステージと化した。
グラウンドを取り囲む背の高いコンクリート壁の向こう側は娑婆で、普通に道路などがあり、知人や友人などが声掛けに来たりする。
そして人気の暴走族などはここで黄色い声援を浴びるのだ。
「◯◯くんお疲れ様でーす!」
「◯◯さーん!ずっと好きでしたー!きゃー!」
仲間の新情報も入る。
「お疲れまさでーす!◯◯が昨日パクられましたー!」
こういった声援に「わかったー!」などと応える事は勿論出来ないが、他の囚人に対しての格好がつく、鑑別所のマル秘イベントだった。
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