施術が変わる 痛みのキソ 完全版
まず初めに…
この度は記事を読んでくださりありがとうございます‼︎
この記事は
このようなお悩みのある方に読んでいただきたいです!
なお、今回の記事は第2段となりますので
第1段を読まれていない方は先にこちら(https://drive.google.com/file/d/1RRMafgs81PlY9z1BkzhmObP_7dwlOhuw/view?usp=sharing)をご覧ください🙏
痛みは本当に奥が深く、その性質を理解するだけでも施術の幅がグッと広がります。
記事を読み終えた後は、目の前のお客様に還元してくださいね😌
それでは始めましょう!!
〜総論〜
part1
痛みの必要性
痛みには警告信号としての役割があります。
体が危険に冒された時、痛みがあることで危険から逃れる事ができます。
先天的に痛みを感じない先天性無痛症という疾患がありますが、この疾患は怪我をしても気づかないため、手足が壊死して致命的な障害を負うこともあります。
このことからも、痛みは体を守る上でとても重要なシステムだということが分かります。
ただし…
肩こりや腰痛などの慢性痛には警告信号としての意義がないため、無闇に長く存在する必要はありません。
本来の警告信号としての仕事を終えたら、消えてもらわないといけないです。
そのため、我々セラピストはカウンセリングや施術を通して痛みと真剣に向き合う事が求められるということですね^^
part2
痛みとストレス(自律神経)の関係
① 副腎と不調の関係
痛みを感じると顔が赤くなる…
この現象、1度や2度は経験されたことあるのではないでしょうか?
痛みを感じ、それがストレスとして認識されると脳の視床下部が興奮します。
すると体は戦闘モードになるため交感神経の活動が優位になります。
その結果…
副腎髄質からカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン・ドーパミンなどの総称)が大量に分泌され続け、血糖値や血圧が上昇。
これが、顔が赤くなるメカニズムです。
また…
視床下部が興奮すると副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が亢進されます。
ACTHが副腎皮質に働きかけると、免疫に関係するリンパ組織の働きを抑えてしまったり、胃酸の分泌を活発にしすぎてしまいます…
これらは急性の痛みには効果的ですが、痛みが慢性化して長引けば
無闇に血糖値や血圧が上がったり、免疫力が低下します。
胃酸の過剰分泌も起こします…
② 痛み止めとの向き合い方
クライアント様は痛み止めの使用頻度などでお悩みのケースもあります。
この時、私はいつも“痛み止めとの適度な距離感”を重要視しています。
前述したように…
痛みとストレスには深い関係があることは知っていただけたかと思います😌
痛み止めの使用を我慢して自律神経のバランスが崩れていては本末転倒ですので
無理に我慢する必要はないと考えます。
そのクライアント様の服薬状況と心身の状態を考慮し、バランスを決め
ご提案することをオススメします!
また、スポーツをされている方の場合…
これは本当にケースバイケースなのですが…
痛み止めで疼痛を抑制して、その間に動きのエラーを繰り返さないよう運動療法やリハビリを多く積むことも選択肢の一つだと考えます!
part3
痛みのBPSモデルを知る
BPSモデル(生物心理社会モデル)とは…
1977年に、精神科医であるジョージ・エンゲル氏が提唱した考え方です。
※ https://savvywillingandable.wordpress.com より拝借
どれか1つに偏るのではなく“痛みという現象はこの3つから構成されている”という認識がとても大切です。
そのため…
猫背=肩がこる
反り腰=腰が痛い
という風に必ずしも、〇〇=痛みの原因とはならないってことですね^ ^
〇〇の可能性もあるという認識で、それをお伝えできれば、クライアント様が破局的思考に陥ることを回避できます!!
part4
副交感神経が優位になる触れ方
①ケラチノサイトについて
皆さんはケラチノサイトという組織をご存知でしょうか!?
皮膚の表皮、真皮、皮下組織のうちの表皮を構成する細胞の名称です。
このケラチノサイトは温度や圧を“刺激”として受け取るという特徴があります。
温かい・冷たい・圧が強い・弱い などを感じています。
ケラチノサイトで感じとった感覚はC繊維へと送られるため、リラックスするためにはケラチノサイトにスイッチを入れることが重要です^ ^
※C繊維の説明は後ほど
②幸せホルモンが出やすいタッチとは?
次にオキシトシンです。
これは、幸せホルモンでお馴染みですよね!
オキシトシンを出す条件としては、とにかく優しい皮膚刺激が必要だといわれています。
そうです。“皮膚刺激”です。
筋肉狙っておりゃ〜!って触ると台無しになります…
オイルトリートメントやエステに極上のリラックス作用があるのはまさにここです。
また、副交感神経を優位にする上で抑えておきたいのは“最初は手の甲で触れる”ことで…
昔から、手のひらを相手に向けるという行為は相手を攻撃するという意味合いがあり、警戒心を高めると言われています。
なので、最初は手の甲で!
参考になると幸いです。
③C繊維って何??
C繊維について。
C繊維とは非常に細い神経で、直径が小さく、感覚の伝達速度が最も遅い神経です。
有毛皮膚とは手掌・指腹・足底以外の全ての皮膚です!
大事なことなのでもう一度…
手掌・指腹・足底“以外”です。
なので
ハンドケアやリフレクソロジーを除いて、我々の施術対象はほとんどが有毛皮膚だということが言えますよね。
それを踏まえた上で…
C繊維が反応する条件がこちらです😊
なので、ゆっくり優しく触れる事が大切です。
基本的な事なのでご存知の方も多いと思いますが、このように原理原則を知っておくことは体に触れる以上とても大切なことだと思います^ ^
クライアント様にご説明する際も、なんとなく知っているより確実に理解している方が説明の質が確実に上がります!!
④ 体の電流と熱を利用する方法
人体には微弱な電流(マイクロカレント)が流れています。
また、手からは遠赤外線も放出されています。
この微弱電流や遠赤外線を上手に利用することが副交感神経を優位にする上で欠かせない要素になると考えています。
少し物理的な話になりますが…
施術の際、施術者の手からお客様の体に熱が伝わる時は伝導というシステムで伝わります。
これは、握手をイメージするとわかりやすいですね😊
熱が伝導しやすいのは“動かさずにじっと待つ”時です。
つまり
施術者が体に触れるときは動かさないというのも1つの手技になってきます。
副交感神経を優位にしたいときにとてもオススメです^ ^
part 5
前頭前野と痛みの関係性
最近の研究では、脳の前頭前野と頭頂葉後部が痛みに深く関与する事が明らかになってきました。
特に慢性痛において、重要な役割をする領域であることが確認されています。
内側の前頭前野は、うつ症状と痛みの重症度を調節する役割があります。
前頭前野全体で言うと…
情動に深く関わるためここにエラーが生じると、意思決定能力や意欲の低下が見られやすくなります。
この前頭前野…
慢性痛患者の方は少なからず萎縮が起こることも明らかになっています。
前頭前野に萎縮が起こると※下降性疼痛抑制系に障害が起こり、プラセボ効果が起こりにくくなることも明かされています。
※下降性疼痛抑制系とは、脳が痛みを感じた際に鎮痛物質であるセロトニンやノルアドレナリンを放出する仕組みのこと。
なので、下降性疼痛抑制系が働かないと痛みを過剰に感じたり長引かせたりするということですね。
うつ症状の話も出てきたので補足すると…
セロトニンには不安を和らげる作用があり、ノルアドレナリンには意欲を高める作用があります。
うつ症状の方はこの2つのバランスが崩れることで、不安や無気力になるということです。
痛みが感覚的なものであると同時に、情動にも影響を受けることの裏付けがこれです^ ^
こちらのツイートが非常に参考になります!!
そして何よりカワイイです。笑
前頭前野を活性化させる方法としては、
などがオススメです😌
part6
内臓の影響による肩痛・腰痛
肩の痛みや腰痛を抱えたクライアント様は多いですが…
筋肉や関節のトラブルだけでなく内臓疾患への理解もとても大切です。
理由は“極めて見落としやすい”から。
内臓から痛みを伝える神経と皮膚から痛みを伝える神経は、同じ脊髄レベルに入力されそこから脳へ伝達されるため、脳は内臓の痛みを皮膚の痛みだと勘違いしやすいです。
私は実際に2例経験しています。
✔️長年腰痛だと思っていたら腎臓がんだった
✔️右肩が痛いと思っていたら胆石だった
というものです。
簡素ではありますが、ここにまとめておきます^ ^
※腎結石と腎盂腎炎は発熱を伴っている場合、かなり可能性が高いです。
施術者が早く気づくことで、命を救うこともありますので
ぜひ記憶に留めておいてくださいね👍
part7
有酸素運動と疼痛抑制
痛みの感じ方の中に、中枢性感作という言葉があります。
近年の研究では、この中枢性感作に対して有酸素運動が有効であることが明らかになりました。
前頭前野の項で出てきた下降性疼痛抑制系の賦活も起こるため、非常に有効だと考えられています。
〜各論〜
さて、ここからは
肩、腰部、腹部の痛みを深掘りして行きます!
part1
肩の痛み
①肩結合組織炎(肩こり)
肩の痛みで代表的なのが肩結合組織炎(肩こり)だと思います。
特に肩甲挙筋の筋硬結が著名に見られます。
ストーリーでアップしたものです^ ^
②肩関節周囲炎(五十肩)
五十肩には3つのフェーズがあり
炎症期・拘縮期・回復期に分類されます。
炎症期:発症から2週間
拘縮期:〜半年(ケースによっては1年続く方も)
回復期:拘縮期以降
ここで大切なのは、拘縮期はあまりにも個人差が大きいということです💦
私も五十肩の方は何名も施術に入りましたが、
実際に拘縮が半年程度で寛解した方もいれば、約1年続いた方もいらっしゃいました。
この表現が正しいかは微妙ですが…
どのタイミングで来院されるかで全てが決まります…。
同じ五十肩でも、拘縮期に入ったばかりの方と回復期に移行してきている方とでは
改善スピードは雲泥の差です。
だからこそ、クライアント様には正しい説明が必要というわけです😊
例「五十肩には3つの段階があって、〇〇さんは今△△の段階なので、おおよそ◯ヶ月(◯週間)で改善すると考えられます」
といった感じです。
ただ必ず、拘縮期の個人差が大きいことはお伝えしましょう^ ^
part2
腰痛
腰痛はなんといっても鑑別が重要です。
“腰が痛い=とりあえずマッサージ・ストレッチ”はとても危険なので、腰痛の種類とその特徴を抑えましょう😊
①腰部の代表的な疾患
②椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の特徴と見分け方
腰痛の中でも、ヘルニアと脊柱管狭窄症は罹患率が高いため鑑別できると非常に役立ちます。
※大腿外側皮神経:L2、L3から起始し、大腰筋を貫通し、腸骨筋を横断します。
腸腰筋がタイトになっていたり機能不全を起こしていると、痛みや痺れが増強することも留意しておきましょう^ ^
part3
腹痛
①腹痛の種類
腹痛は疝痛・鈍痛・持続痛に大別されます。
疝痛は胆石や腎臓疾患で見られる痛みで、キリキリという表現が多様されます。
(実際に見た症例として、胆石の場合最初は僅かな痛みで、胃の調子が少し悪いだけだと判断する事が多いです。また、油分をそれほど摂っていなくても体質的にコレステロール値が高いと胆石になりやすい印象です。)
鈍痛は臓器の炎症に伴う痛みや、管腔臓器(胃、十二指腸、小腸、大腸などの空洞化している管状の臓器)の閉塞や鬱滞による痛み。
持続痛は急性膵炎やイレウスなどの重篤な疾患が多いため注意が必要です。
なるほど!腹痛はほとんどが内臓なんだ!😊
と思われたあなた…
すみません…どうしてもこれを伝えておきたい…!!↓
②内臓の痛みと間違えやすい痛み⑴〜⑶
⑴肋軟骨炎
肋軟骨炎は若い女性に多い疾患です。
片側に起こりやすいと言われていますが、中には両側に起こる方も稀にいます。
外傷やウイルス感染である事が多いですが、原因不明なケースも。
第2〜5肋骨と、どちらかと言うと胸部に起こるのですが、胃などの臓器の痛みと間違えやすい場所なので注意が必要です。
痛みのある場所を圧すると痛みが走りますが、発赤や腫脹が出ないのが特徴です。
⑵肋間神経痛
肋間神経痛は症候性と特発性に大別されます。
症候性の代表的な疾患は帯状疱疹。
ウイルスが体内に侵入して神経の中に入り皮疹(赤いぶつぶつや水ぶくれ)を起こす疾患です。
背部から起こる事が多く、皮疹が腹部に回ってくるとあまり予後が良くないという報告がされているため、早期発見がマストです!
肋間神経痛は肋骨の腫瘍や肋骨骨折、胸椎椎間板ヘルニアなども発症の要因となります。
内臓の痛みだけでなく、この辺りにも留意しておくと安心してカウンセリングできますね^ ^
③部位別 腹痛の見分け方
というわけで…以上が痛みの資料 第2弾でございました😌
最後に…
痛みは人間にとって大切な感覚です。
セラピストのミッションは、その痛みを取ること。
ただし…
ここまで読んでいただいた方には伝えられたと思いますが、
〇〇をしたから痛みが取れた!!という確信めいたものは存在しません😌
常にそれは確率論であり、確実にホームランを打てる施術はありえない。
1つ1つ可能性を潰して、〇〇の可能性があるから次は△△の介入をしてみよう。
という仮説と検証がとても重要です^ ^
これは自戒も込めてですが…
人は痛みを感じて初めて「セラピストを頼ろう」と決断します。
動機が痛みであることが多いのです…。
これが、クライアント様が体の状態を知るきっかけになると思うと
痛みへの理解を深め、向き合うことがどれだけ大切かをこのnoteを書きながら感じました^ ^
ぜひ、皆様にも明日からの施術にお役立てしていただければと思います!!
随時、新しい情報も追記していきますので「スキ」していただけると幸いです!
【皆様にお知らせ】
今後、ドライマッサージ・オイルトリートメントどちらにも活かせるような
解剖学の資料を作成します。
教科書や参考書には書かれていないような、最新の解剖学を交えながら
現場で活かせるものをお届けできればと考えています!
具体的な症状なども交えて、緩める・ほぐす・鍛えるべきポイントも解説させていただきます^ ^
解剖学がきっと大好きになるはず!笑
ともにセラピスト力を高めましょう!✨
ご高覧いただきありがとうございました!!
ライタープロフィール
垣尾太我
保有資格
▪️柔道整復師
▪️PHIピラティスインストラクター
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