給料が上がらないのは努力が足りないせいではなく企業が負債を増やさないから
昨今、給料が上がらないのが日本の問題という言説が多いですね。そしてその理由が企業や人の付加価値(生産性)が低いからだと大手メディアなどで盛んに言われています。
私が気に入らないのは、付加価値や生産性という言葉に、努力が足りないせいという暗黙の自己責任論もしくは日本人卑下的意味合いがそこに含まれるからです。
これは全くの間違いなのでその点論じてみたいと思います。
付加価値って何?
付加価値とは何を意味するのでしょう?
3面等価の原則というのをご存じでしょうか?下記より引用します。
日本人全員の所得が、誰かが支出した額と一致し(売り上げが給料になる為)、その支出は生み出された商品の総量×値段(付加価値)になるという事ですね。
つまり、日本において付加価値が足りないというのは、単に名目GDPが増えないと言っているのと同義という事になります。
名目GDPとは何でしょう?それは最終消費された財の値段の総額、つまり貨幣の使用量=流通量の水準の事です。つまり付加価値が足りない、生産性が低いという言説は、努力など何の関係もない単なる貨幣流通量という数値が増えていないと言っているにすぎないのです。
なぜ名目GDPが増えないのか?
下記の論文より引用させていただきます。
名目GDPを増やすという事は、企業が借金を増やすことにより貨幣が創造されて市中に供給されること他なりません。
日本の企業の借金は、1998年の金融ビッグバン以降、急降下し、全く伸びていません。
銀行の預金に対する貸出額の率(預貸率)も右肩下がりに下がっており、今では5割台です。(欧州は100%を軽く超え、アメリカも7割を超えます)
つまり名目GDPと3面等価の法則で一致する国民総所得=みんなの給料が増えない原因は、企業が負債を増やさないからです。
また、植田 宏文同志社大学商学部教授 の「実物経済活動におけるマネー・ストックと総信用量」という論文でマネー・ストック,貸出利子率,総
信用量の中で,経済状況が変化してもどの指標が国民所得水準と安定的な関係にあるかという研究もなされていて、下記のように結論されています。
私は企業への銀行の貸し出しが増えない理由を、金融ビッグバン以降、金融庁が先導する、金融行政(貸出規制を掛けている)にあると考えてます。
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