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CAFEからクルマの未来を想像する

投稿4回目になります。

今までは軽くジャブを打ってみましたが、今回は少し自動車ライターらしい話をしたいと思います。

まず、主題に対してどのくらいの未来を想像するかで話が異なります。

そして、いきなり50年や100年といった、中長期的な未来を考える前に・・・10年、20年といった近未来や次世代のクルマが想像できない事には、「机上の空論」の他ならないものになりかねないでしょう。

それは、どういった経緯があって、その結果に至ったか想像できないためです。

とりあえず、クルマにあまり興味がない人や、何となく乗っているだけという人は、TVのコンテンツや、その類の動画などを見る限り、「近未来において電気自動車(EV車)が増える」とか、「スポーツカーが絶滅する」とか、「自動運転も、もう間近」と、考える方も多いように受け取れます。

では、そういったクルマを作る自動車メーカーや、そのルールをつかさどる国土交通省や、経済産業省はどういった考えをもって、クルマの未来を見据えているのでしょうか。

その中で、私がこれからの屋台骨となるであろう規制や、技術「CAFE」や「CASE」について話していこうと思います。

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インターネットを探すとこんな資料がありました。

乗用車燃費規制の現状と論点について」というPDF資料です。

次世代自動車と資料で使われるクルマは、以下の5種類です。

①ハイブリッド車(HV)

②電気自動車(EV)

③プラグイン・ハイブリッド車(PHV)

④燃料電池車(FCV)

⑤クリーンディーゼル車(CDV)

「あれ?自動運転は関係ないの?」と思う人もいると思いますが、自動車メーカーとして、どちらを重視した開発を行っているのか考えると、自動運転は道路インフラの整備や、免許がない人だけでクルマに乗れる環境、ネットワークセキュリティ、保険、といった問題が山積みといえます。

このことから、やはり10年や20年先で強く意識しているのは燃費問題であるといえます。

燃費問題を論点に話を進めると、2016年にかけてそれ以前から、次世代車の新車販売台数は約35.6%という数字があります。

新車販売を3台売れば、そのうちの1.06台は新世代車という結果です。

その結果2010年の燃料消費が10,042kLから、2015年には8,129kLと約2割減となったとしています。

2000kLとは、どれくらいか考えると、2000*k(1000の意味)Lですので、2,000,000L(200万L)ということになります。

例えば、ダイハツ・タントという軽自動車がありますが、燃料タンクはカタログ上36Lなので、200万Lは約5.55万台分となります。

検査対象の軽自動車保有台数を以下のPDFで調べたところ、

参考:https://www.keikenkyo.or.jp/information/attached/0000025851.pdf

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品川と世田谷にある軽自動車分が、ごっそり無かったことになるくらいの量となっています。

ここまでは、近い未来を考えるための傾向を観察しました。

次から本題の未来の話になります。

国土交通省・経済産業省がこのPDFの中で語っているのは、2030年の話になっています。

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※PDFより抜粋

この表から、新車販売のうち、次世代車を5割から7割に増やしていきたいと書かれています。

この次に書かれているのは、燃料消費と、次世代車の普及に紐づけた、CO2排出量の話です。

2016年のCO2排出量は、2億1700万tであり、2002年の2億6300万tより少なくなっている傾向をふまえ、2030年には1億6300万tを目指すとしています。

14年かけて、4600万tを減らした結果をそのまま、2016年から14年後同じように減った場合、1億7100万tとなりますが、そこからさらに800万tを減らそうという目標です。

ここで登場するのが、欧米にも採用される「CAFE(企業平均燃費)方式」です。

これは、各区分の燃費の実績値を販売台数で加重平均した「CAFE値」が、各区分の燃費基準を販売台数で加重平均した「CAFE基準値」を上回ればよいので、企業はそれぞれの強みを活かした柔軟な戦略をとることが可能となる方式です。

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※資料より抜粋

EV車や、プラグイン・ハイブリッド車は特例があったり、換算式も記載があるので興味がある人は、PDFのP.15/16を見ていただきたい。

これによって自動車カタログの諸元に記載される燃費計算方式も変更され、従来行われていた「JC08モード」と、2018年10月より行われる「WTLCモード」の両方の結果が記載されている。

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※資料より抜粋

このことから、各メーカーとも燃費を意識したクルマの販売に力が入っています。

マツダ、スバルはトヨタとの業務提携や、技術提供をする形になって、ハイブリッド車を販売するようになったとも捉えられる状態です。トヨタからすればアイサイトの技術や、スカイアクティブXなど魅力的な技術と、トヨタが先行して行っていたハイブリッド技術を、交換する形にも見受けられます。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55356120W0A200C2TJ1000/

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62633110U0A810C2000000/

ここからくみ取れることは、燃費競争において開発力・試験設備・資金力の全てが揃わないと、今後の開発はままならない会社もでてくるのではないか?ということです。

近い未来の燃費の話をしてきましたが、ここからは中長期的な話です。

自動運転のレベルは、1から5に分けられ、2020年現在でレベル3のクルマが出始めたといった具合です。

資料:https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf

レベル1/2はあくまで運転サポートといった段階で、平成初期からあるABSや、トラクションコントロールもその機能のひとつといえるでしょう。

レベル3は、自動運転のスタートラインという位置づけといえ、運転サポートの高機能版であって、機械が主だったことをやるものの、万が一の場合はドライバーがハンドルを握ってくださいというものです。

全部機械任せにできないし、条件が厳しいので万が一があるかもしれない移行期間なので、困ったら人間が機械を制御してくださいということともいえるわけです。

例えば、この問題が50年や100年以内に解決し、道路インフラが整って、法律や保険の整備も進んだとして、並行して考えなければならないのは、コネクット技術としていわれる「CASE」です。

参考:https://global.toyota/jp/mobility/case/

このことから、万が一の外部操作では、ネットワークを経由するため、パソコンやスマートフォンのOSと同様に、セキュリティー対策を随時行わなければならなくなるはずです(私見ですが、でなければちょっと不安)。

また、ATFや、エンジンオイルなどのオイル関係の交換時期の話になるとよく出る、酷使された状況というのは、日常的に運転していてもありうる状況であったりします。

したがって、今までのクルマ以上にメンテナンスには気を使う必要が出てきますし、搭載される機構が増えれば、開発費・部品点数・製造コストが跳ね上がります。結果、販売価格が高騰することになります。

例えるなら、トッピング全部載せのラーメンのようなものです。

そして、その部品が秀逸なものになれば、その単価も高くなるわけで、同じ機能があったとしても、壊れにくい、エラーが発生しにくい、高精度などの要素で差が出てくることになると考えられます。

それ以外にも、インフラに関してはETC2.0で話題になっている「2023年問題」や「2030年問題」に付随した、相互通信に関する整備が進んでいます。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65381500T21C20A0ML0000/

これは、ITS(高度道路交通システム)という国土交通省などが、「CAFE」や「CASE」を実現するために行っている事業とも捉えられるものです。

参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01its/index.html

限定的な自動運転といった時に、外的要因が少なく、一方通行で対向車が無い条件という条件は、「限定的な完全自動運転をするうえでのはじめの一歩」として適切ではないかと思う訳です。

結局、メンテナンスコストも今まで以上に高くなることが考えられる訳ですが、車体も高い・メンテナンスも高い・修理も高いの「3高」になったとすると、個人で維持するのも難しくなると考えてもおかしくないでしょう。

それだけで済めばただの高級品ですが、インフラまで自動車所有者の税金として徴収されても、ますます・・・

そこで、トヨタが試みる新しいクルマの販売形態の「キント」や、認知度の増した「カーシェア」といった形態は、そういった未来に生きてくるのではないかと思うこともしばしば。

そこまでするなら、メーカーがメンテナンスした車両で、状態が良く責任が持てるものを借りる方が安心で、安上がりだというのも極論としてあると思います。

自動車を自分で触れて、部品交換をして、楽しくドライブしてという趣味の部分は、こういったクルマからは消えているといっていいでしょう。

古い車はサーキットで走ってくださいと言わんばかりの環境ですが、既得権があるといえばあるので、どうなるのか見守りたいと思います。

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