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【中小企業向け/知財で損をしないポイント】<Vol.1> 損する社長の決まり文句

「知財の診断士®」がお届けする、中小企業に知っておいてほしい知財ポイント、第1回目のテーマは、「知財で損する社長の決まり文句」です。

中小企業の社長さん・ご担当者さんだけでなく、中小企業を支援されている士業の先生方、支援機関の経営相談員、金融機関の融資担当者の方々にもご参考頂ければと思っています。

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私の以前の勤務先である「INPIT知財総合支援窓口」には、日々中小企業の社長さんや個人事業主さんが知的財産に関する相談に来られますが、多くはリピーターさんですが、支援のすそ野を広げるために、新規の企業さんへの周知活動も行っています。

そんな支援活動を通じて色々な中小企業の社長さんにお会いしましたが、知的財産の重要性はご存知でも、まだまだ意識が薄く、“自社の問題”と認識されていなと感じることは多いです。そのため対応が遅れ、結果的に損をされていることが散見されます。

知的財産で損をされる社長さんにはいくつかのパターンがありますので、代表的な決まり文句(言い訳?)と問題点を紹介します。

1.知財=特許という誤解

「うちはメーカーやないから知財は関係ない」とおっしゃる社長さん。いえいえ知的財産は、特許だけでなく、意匠や商標、著作権なども含まれます。例えば小売店や飲食店さんでも必ず屋号はお持ちだと思いますが、それは商標権で保護されます。また自社で作成されるカタログやHPのデザインは著作権が関係してきます。メーカーでないからといって、知的財産権が無関係というわけではありません。

2.特許に対する過剰反応

「うちは下請けで新しい製品は開発していないから特許なんか無い」とハードルを上げてしまわれる社長さん。発明は画期的な技術でなくてもよく、むしろ何気ないところに存在する発明のほうが重要であったります。

3.商標制度への無知

「うちの屋号は30年以上前から使っているから商標は必要ない」とおっしゃる老舗商店の社長さん。商標は先に登録した人に権利が発生します。これまで問題なくても、明日誰かが出願したりすると、使えなくなるかもしれませんよ。

4.契約書への抵抗感

「うちは人間関係で商売しているから契約なんて必要ない」とおっしゃる社長さん。契約書は、良好な関係が維持できている時ではなく、両社の関係に問題が生じたときにはじめて意味が出てきます。最近、大企業との不公平な契約が話題に挙がることが増えていますが、ご存知ですか?

5.営業秘密の認識なし

「大企業には逆らえないから、装置も図面もみせてしまう」という気前のよい社長さん。長年の企業努力で蓄積してきた製造方法や装置は、いわゆるノウハウの塊です。ちゃんんと営業秘密として取り扱っておかないと、法的な保護も受けられません。

6.事業戦略と一致しない知財活動

「うちは弁理士に全部任せているから心配ない」と自信満々の社長さん。弁理士先生とのコミュニケーションは大丈夫ですか?御社の事業方針を理解して出願をして頂いていますか?すべてを丸投げしていては、本当に必要な出願ができているかわかりませんよ。

おわりに

いかがでしょうか。極端な例もあり、異論・反論もあろうかと思いますが、自分の会社や、支援先の企業に当てはまることもあるのではと思います。中小企業にとって知的財産は分かりにくく、また必ずしも売上・利益の増加に繋がるわけではないので、つい距離を置きがちになりますが、遠慮していると思わぬ所で損をすることになります。

次回から、各項目について説明していきますので、引き続き御覧頂ければ幸いです。

お問い合わせ先
「たなか知財の診断士事務所」への知的財産活動のご支援、講演依頼等は、kaz.tanaka8@gmail.comまでご連絡ください。


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