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銀河系中心部の超大質量ブラックホールの近くに新たな中間質量ブラックホールを発見 ケルン大学

ケルン大学の研究チームが、銀河系中心部の超大質量ブラックホール(Sgr A*)の近くに新たな中間質量ブラックホールを発見しました。このブラックホールは、ビッグバン直後に形成された可能性があり、現在見つかっている数少ない中間質量ブラックホールの一つです。発見はIRS 13という星団の調査から得られました。IRS 13の星々が一様な運動を示していることから、中心に中間質量ブラックホールが存在すると考えられます。これは銀河系の形成過程やブラックホールの進化に関する理解を深める重要な発見です。

中間質量ブラックホール(Intermediate-Mass Black Hole, IMBH)は、恒星質量ブラックホール(数十太陽質量)と超大質量ブラックホール(数百万から数十億太陽質量)の中間に位置する質量を持つブラックホールです。これまで、IMBHの存在は理論的には予測されていましたが、観測的証拠は限られていました。IMBHは、銀河系の中心にある超大質量ブラックホール(Supermassive Black Hole, SMBH)の形成や成長の過程に関する鍵を握っているとされています。

IRS 13は、約7光年離れた場所に位置する星団で、多くの若い大質量星が集まっています。星々の運動を解析することで、中心に中間質量ブラックホールが存在する可能性が高いことが示されました。

研究チームは、欧州南天天文台(ESO)の非常に大きな望遠鏡(VLT)を用いてIRS 13の観測を行いました。観測データから、星々が非常に秩序だった運動を示していることが明らかになりました。このような運動は、星団の中心に強い重力源が存在することを示唆しており、それが中間質量ブラックホールであると考えられます。具体的には、星々の運動速度と分布を解析することで、約32,000太陽質量のブラックホールが存在する可能性が高いことが示されました。

中間質量ブラックホールの発見は、銀河系の形成と進化、さらには宇宙全体の構造形成に関する重要な手がかりとなります。IMBHは、初期宇宙で形成された最初の恒星や星団が崩壊することで生じたと考えられており、これが超大質量ブラックホールの「種」となり得る可能性があります。また、IMBHが銀河の中心に向かって移動し、複数のブラックホールが合体することでSMBHが形成されるシナリオも提案されています。

今回の発見により、IMBHの観測的証拠が増え、これまでの理論モデルを検証する新たなデータが提供されました。今後もさらに多くのIMBHが発見されることで、ブラックホールの成長と進化に関する理解が深まることが期待されます。

今回の発見は、将来的な天文学的観測や研究に大きな影響を与えると考えられます。特に、次世代の大型望遠鏡や重力波観測装置を用いた研究が進むことで、IMBHの存在や性質についてより詳細な情報が得られる可能性があります。これにより、銀河系の中心部や他の銀河に存在するIMBHの分布や特性を解明する手がかりが得られるでしょう。

詳細内容は、ケルン大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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