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クロロがさらっと呟いたことが実は宗教学に関連していた件

 日本国民全員に、面白いと思う漫画を一つ挙げろと質問したとき、おそらく一番声が上がるのはワンピースだろう。

 しかし、漫画好き100人に、面白い漫画を一つ挙げてくれと質問したとき、おそらく40人ぐらいがハンターハンターを薦めてくる。漫画マニアが選ぶトップオブマンガ、漫画界の絶対的王者、それがハンターハンターだ。

 なぜ人気なのか

 ハンターハンターの魅力と聞いて、真っ先に挙がってくるのは、他を凌駕する圧倒的なストーリーの緻密さだろう。

 それによってハンターハンターは、他の追随を許さぬ、異次元の面白さを提供している。

 そしてその緻密さ複雑さゆえに、作者の冨樫義博はしばしば読者に、休載という名の焦らしプレイを発動する。

 この異次元の面白さと休載という焦らしプレイというダブルパンチによって、熱狂的な信者が絶えないのだ。

 その影響力は凄まじく、ハンターハンターの連載開始が決まるなりネットは大騒ぎになり、ジャンプの売り上げも跳ね上がる。

 特に僕はちょっと昔のハンターハンター、巻数でいえば8巻から13巻当たりのハンターが好きだ。(ここからは”ハンター”で統一する)

 このパートは、主人公の友達、クラピカと、その宿敵で、最高の悪役、幻影旅団との闘いがテーマになっている。

 その中に、旅団の一員ウボォーギンが、ボスのクロロ・ルシルフルに、「俺たちの中にユダ(裏切者)がいるぜ」と電話越しに伝えるシーンがある。

 このとき、クロロが「そんなやつはいない」と言った後、さらっと、「それに俺の考えじゃユダは裏切者じゃない」と呟くのだ。

 作中では、このことに関する説明はされない。イマイチ腑に落ちないまま、この言葉がずっと僕の頭の片隅に残っていた。するとある日突然、この言葉が繋がる瞬間がきたのだ。

 教団Ⅹという小説を読んでいたときのことだ。この小説の中に、聖書に関する話が出てくる。それを聞いたときにピンときた。

 クロロはこのことを言っていたのだ、と。

 本題に入る前に、まずユダの説明からしなくてはならない。

 ユダは、ユダヤ教の改革者であるイエス・キリストの弟子の一人だ。

 違和感を抱いた人がいるかもしれないが、弟子たちがイエスが亡くなった後、彼を神としてキリスト教を創立したのであって、イエス自身はユダヤ教徒であった。

 ユダは金を貰った代わりに、自分の師であるイエスを売り渡した。有名な話なので知っている人も多いだろう。ウヴォーギンが、”ユダ”という言葉を裏切者の意味で使ったのはそういう意味だ。

 しかし、現在当たり前となっているこのエピソードは、厳密には間違いである。

 実は、ユダはサタン(悪魔)に取り憑かれていたという記述が、正当な聖書の中にあるのだ。

 つまり、ユダは悪魔に操られたのであって、決してイエスを裏切ったわけではないことになる。

 クロロは、(というか冨樫は)この聖書の内容を知っていた。だからユダは裏切者じゃないと言ったのだ。

 ハンターには伏線とかこういった小ネタが多数隠れていて、マニアはそれが見つかるたびにネットで騒いでいる。

 クロロのこの発言に対しての答えは、とうの昔に出ているのかもしれない。しかし、ハンターってやっぱりよくできてんなーって思ったので今回は紹介させてもらった。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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