マガジンのカバー画像

奈倉有里さんプロムナード

6
奈倉有里さん 2023年下半期日経夕刊プロムナード水曜日
運営しているクリエイター

記事一覧

眠るとき君は死に 朝起きてよみがえる/奈倉有里さんのエッセイ「朝、ブリューソフ」日本経済新聞夕刊2023.12.6

眠るとき君は死に 朝起きてよみがえる/奈倉有里さんのエッセイ「朝、ブリューソフ」日本経済新聞夕刊2023.12.6

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイも今月で終わりかと思うと寂しく感じます。

2023.12.6は「朝、ブリューソフ」
〈泣くな 悩むな 過去など ない!〉
ワレーリー・ブリューソフ

 奈倉さんが詩に元気づけて欲しい時、応援歌のようなブリューソフの詩がいいよ!と紹介してくれています。

泣くな 悩むな
過去など ない!
愛想よく にぎやかに
光が とびこんでくる

もっとみる

奈倉有里さんのエッセイ「人生の鞄、ツルゲーネフ」日本経済新聞夕刊2023.10.25

 奈倉有里さんが日本経済新聞の水曜夕刊プロムナードで連載中のエッセイを楽しみに読んでます。

2023.10.25は「人生の鞄、ツルゲーネフ」
〈俺はいま鞄の隙間に干草を詰めてるだろ。人生の鞄も同じで、人は隙間を埋めるために、なんでも詰め込むのさ〉
イワン・ツルゲーネフ「父と子」

 日本人として初めて、ロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業し、ロシア文学者となった奈倉さんはこのエッセイで文学作品中の

もっとみる

奈倉有里さんのエッセイ「心を寛く レッシング」日本経済新聞夕刊2023.11.1

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイを毎週楽しみに読んでます。

2023.11.1は「心を寛く、レッシング」
〈つまらない話はあとにしてください。そこに涙する人がいます、まずはあの涙を拭かなくては。〉
ゴットホルト・レッシング「賢人ナータン」

 1779年に刊行されたというドイツ詩劇「賢人ナータン」の舞台は12世紀のエルサレム。

「ユダヤ教、キリスト教、イスラ

もっとみる

奈倉有里さんのエッセイ「収容所、シャラーモフ」日本経済新聞夕刊2023.11.8

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイは毎週考えさせられます。

2023.11.8は「収容所、シャラーモフ」
〈強制収容所でより良く、強くなる人など誰一人いない〉
ヴァルラム・シャラーモフ「小説について」

「収容所の捉え方の違い」についてソルジェニーツィンは苦難の中における精神の救済に主眼を置き、シャラーモフは収容所の非人間性を訴え、「あってはならない」と否定する

もっとみる

奈倉有里さんのエッセイ「偶像、クルィロフ」日本経済新聞夕刊2023.11.15

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイを毎週楽しみにしてます。

2023.11.15は「偶像、クルィロフ」
〈実はその偶像は、からっぽだったのです。〉
イワン・クルィロフ「神託」

「クルィロフ」はどう読むんだろう?
それはさておき・・・

 私にとって本を再読したくなるときは大抵何かあった時で、精神安定剤的な役割の本を読み返します。
 例えば、加藤諦三さんの「心の

もっとみる

奈倉有里さんのエッセイ「幸福、ゴンチャロフ」日本経済新聞夕刊2023.10.4

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイを毎週楽しみにしてます。

2023.11.22は「太陽、バリモント」
〈太陽のようになろう!誰が僕らを 栄光の道に導くかなんて忘れて(・・・)いつも若々しい太陽になり灼熱の花を撫でよう〉
コンスタンチン バリモント
「太陽のようになろう」

でした。一方・・・

2023.10.4は「幸福、ゴンチャロフ」
〈幸福はまず幻想と希望

もっとみる