奈倉有里さんのエッセイ「収容所、シャラーモフ」日本経済新聞夕刊2023.11.8

 ロシア文学者の奈倉有里さんが日本経済新聞水曜夕刊で連載中のエッセイは毎週考えさせられます。

2023.11.8は「収容所、シャラーモフ」
〈強制収容所でより良く、強くなる人など誰一人いない〉
ヴァルラム・シャラーモフ「小説について」

「収容所の捉え方の違い」についてソルジェニーツィンは苦難の中における精神の救済に主眼を置き、シャラーモフは収容所の非人間性を訴え、「あってはならない」と否定する立場をとると、両者の違いが書かれます。

「苦しい環境だからこそ文学は生まれた」と人為的に作り出した苦難を肯定する可能性に触れ、収容所は超えてはならない一線を超えており、「負の歴史を書き留める必要性」を伝えます。

 読んでいてフランクルの「夜と霧」(旧版)の巻末のいたたまれない写真を思い出しました。

 どちらの立場の作品も必要だと思いますが、願わくば収容所を生み出さないように「人を支配したがる人や組織」を牽制できる方法があればと感じます。
 戦争のニュースを見るたびにこれ以上ひどくならないよう祈るばかりです。

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