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映画『BABYLON』はゴージャスで狂気的で、すべての映画好きのための作品だった!

10年で7回も引越しをしているので、さすがに引越し慣れしたつもりでいたけど、コロナ禍直後の海外からの帰国は手続きも多かった。そんなこんなで映画を観る時間もしばらく取れていなかったけど、久しぶりのTOHOシネマズで鑑賞した1本目、「バビロン」がとても良かった!

BAYLON公式HPより引用

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の最新作ということで公開当初から話題にはなっていたらしいけど、私は『ラ・ラ・ランド』も未鑑賞だしそもそも圧倒的邦画派だしということでそれほど期待もせず、人に誘われるままに映画館へ。

賛否がはっきり分かれる作品だとは思うけど、ここ数年見た洋画の中で最も印象的ですごく面白かった!

舞台は1920年代のハリウッド。サイレント映画が主流の時代でジャック(ブラッド・ピッド)は大スター。絢爛豪華なパーティの場でも彼が中心。女優を夢見るネリー(マーゴット・ロビー)と映画制作に憧れるマニー(ディエゴ・カルバ)が映画界に足を踏み入れ、当時の映画界で一世を風靡し、破滅し、衰退し、そして映画がサイレントから音声が付随するトーキーに変わり、3人の運命も翻弄されていく……という物語。

冒頭から、超クレイジーで絢爛豪華な映画界が描かれていて目に映るものがギラギラギラギラ。特に前半は「これが本当の乱痴気騒ぎか……」呆れるくらいの馬鹿騒ぎシーンが延々と続く。印象的なサウンドトラックがいよいよ見ているこちらの頭もアホにして、もはやなにを見ているのかちんぷんかんぷんに。

でも中盤あたりから映画の本質が見えてくる。過去から現在までの映画の発展と、その発展の裏にある衰退。

サイレントからトーキーに変わる変革期が舞台となっている映画。サイレントでは一世を風靡した俳優が声の演技で嘲笑され、字幕製作者はお払い箱。プライドを傷つけられ人生ごと脱落していく映画界の「元」中心人物たち……。苦しい。

そんな思いを抱えつつのラストシーンで、次々と目が痛くなるほどの速度で映し出される現代までの見知った名作のワンシーン、アニメーション、CG映像、ドローン、カラー映像……。あぁそんなんだ。今私たちが楽しんでいる映画も同じように、常に映画技術の変化と発展を経ていて、その一方でその変化に置いていかれて絶望を味わう「それまでの」立役者がいて、でもそうやってあの映画が、このアニメが、この映像が作り出されていて、これからも私の大好きな映画になっていくのだ!と。

感動と切なさが入り混じった素晴らしい映画だった。

一見、下品な作品にも見えるので好き嫌いは本当に分かれると思うけど、久しぶりの洋画、観て良かった。

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