短編びいき

最近、短編集がすきです。

前は長ければ長いほどいいじゃんって思って分厚い本ばかりを探していました。

そのほうがより世界感が構築されているし、登場人物に感情移入できるから。

だけど、このところは短いなかでも頭の中に情景が浮かんで、結末まできちんと持っていけるのってすごい……!!と今更ながらに思うようになったのです。

まだまだいろいろなお気に入りを探して読む日々だけど、最近のいちばんよかったのは川上弘美さんの『ざらざら』。

一話が5ページから10ページくらいの話が23話入った『ざらざら』は、柔らかな恋がテーマ。

小さな男の子の初恋もあれば、旅先のアバンチュール的なものもあるし、不倫関係のものも、短いなかにぎゅっと詰め込んであってくるくると場面が変わっていくのが面白くて合間をぬっては読み進めていました。

特にわたしがいいなと思ったのは『淋しいな』というもの。

友達の紹介で出会って付き合った彼とはきちんと恋愛をしているつもりだった“あたし”。イベントもこなしたし、どきどきもしたし、「彼が恋人でよかった」と思うこともあった。だけど、とある火曜日の夜にふられてしまうのです。

“あたし”がふられてしまって家に帰り着いたあとの行動がすごくリアルで、ああこういうのすごくわかるな…と感情移入してしまいました。

共感するとかしないとか、そんなの物語の短さに関係ないんだって本当に本当に今更ながらだけど感じ入ってこのところはすっかり短編集びいき。

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