見出し画像

立ち止まって考えること/『魔女の宅急便②』角野栄子

今年の夏は魔女関連の物語と、文豪系を攻めてみようと思っているらしいわたし。

意識してなかったのだけど、手に取る本がそういうのばっかりなので多分そういう気分なのだと思うのです。

少し前にキキの物語を始めたので、今日はその続き。

物語は1巻につき、ひとつ歳を取るので2巻のキキは14歳になりました。

里帰りしていたキキがコリコの町に帰ってくるところから始まります。

ただただ、町の人に受け入れられるためにお仕事をこなしてきたキキはここで小さな壁にぶち当るのです。

それはキキがしっぽを失くしたカバを動物のお医者さんに運んだときに「しっぽをつかまえることは自分の生きる証になることがある」と教わったことから始まります。体の中心はきちんとすると、自分をつかまえることにつながると聞いて、「それならあたしの生きる証は何かしら」と考えるのです。

キキの仕事が町の人に受け入れられ始めると共に「魔女」についている怖いイメージも少しずつ払拭されてきたように思えてきました。

キキ自身も元からあるイメージについては理解しているので、なるべく良い印象を与えるようにいいものを運ぶ人になるつもりでした。

それでも気づかないうちに、そうでないものを運んでしまっていたら?と思わされる出来事がありました。

いい心だけでなく、のろいのようなものも運んでしまうこともあるかもしれません。それに気づかされて、キキはさびしくなってしまったのでした。キキのなかでどこかがつめたくなり、それがひろがっていくような気がしました。
あたしの仕事っていったいなんなんだろう。
あたしが宅急便をしているって、ほんとうにいいことなのかしら?

自分のやっていることってこのままでいいのかなって悩んでしまうことって絶対ぜったい誰にでもあると思うんです。

悩むたびに立ち止まって泣いたり怒ったりして、やだなあって嫌いになって。

でも、悩んでしまうことは悪いことなんじゃなくて、壁に当たったら一旦横に置いておいて、その悩みと一緒に過ごしていくなかで、ある日突然思いもかけないところで腑に落ちる瞬間がある気がします。だから、投げ出さないで一緒にいてみることが大切なんだなと最近やっとそんな風にわたしは思えるようになりました。

キキは結構な頑固屋さんで、意地っ張りだし、あれこれと悩んでしまうのだけど、その悩みながらもちょっとずつ歩いていく姿が本当にいいなあと読むたびにいつも思います。魔法もあるし、ファンタジーだけど、お仕事系の物語だと思うんです。それも、13歳から始まるお仕事系物語。

もちろん真面目に悩むだけじゃなくて、前回も書いたような、口に出して読みたい心地よさは変わりません。

魔女でいていいのかなと悩んだキキがこの物語では新しくひとつ魔法を覚えるようになります。

それはきっとたくさん考えたからなんだろうなと思うと次のキキの物語が早く読みたくなるのです。

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,738件

もっともっと新しい世界を知るために本を買いたいなあと思ってます。