青い宝石
先日、横浜市緑区にある県立四季の森公園に行ってきた。
自宅から車で30分ほど、地元周辺でお気に入りの公園の一つだ。
四季という名前の通り、面積約45ヘクタールに及ぶ広い里山のなかで四季折々の植物を楽しめる。
出発前、バッグの中に小さな双眼鏡をとっさに入れたのは正解だった。さらに言えば、カメラの望遠レンズも入れていたら尚良かったかもしれない。
公園の駐車場で義父母と合流した。息子をベビーカーに乗せようとすると、さっそく拒否。「じぶんで、じぶんで」と、言いながら押し始めた。
妻と息子と四季の森公園に3人で来たのはちょうど1年ほど前。
その頃は息子は1歳になったばかりで、まだよちよち歩きだった。ハイハイをすることもあったし、言葉もろくに喋れなかった。
ここ最近はどうだろう。
驚くほどのスピードで、日々新しい言葉を覚えては喋っている。
車のことを「ぶーぶー」と言い始めたと思ったら、「じどうしゃ」と言えるようになり、今では10種類以上の車の名前を口にするようになった。
トラック、軽トラ、救急車、パトカー、バス、清掃車、レッカー車、タンクローリー、ブルドーザー、消防車、郵便車、ミキサー車、カーキャリア…
「いろんなくるまがー♬ あるんだなー♬」
「いろんなおしごとー♬ あるんだなー♬」
と、「働く車」の歌が好きでよく歌っている。
何度も見て聞かされているうちに、時々僕も一人で歌っていることがある。そして気が付いた。なんていい歌なんだと。
*
さて、県立四季の森公園のことである。
公園内に大きなはす池がある。ここに来ると必ず池の畔で三脚を置き、巨大な望遠レンズが付いたカメラを構える人たちがいる。
皆、対岸にいるカワセミの姿を撮ろうとチャンスをうかがっているのだ。
カワセミが水面や木などに姿を現すと、カメラマンたちは一斉に連射シャッターを発動させる。
僕たちはカワセミがいる側の遊歩道をゆっくり歩きはじめた。
すると、近くにいた人たちから声が上がった。
カワセミだ!
僕もその姿を見ることができた。
「あっそうだ! 良いものがある!」
興奮気味の僕は双眼鏡を取り出し、バードウォッチングを始めた。
「おぉ~! 見える見える!」
枝先に止まるカワセミの姿は美しかった。すぐに義父母や妻にも双眼鏡を渡し、順番にバードウォッチングを楽しんだ。
*
恥ずかしながら、カワセミという小鳥の存在を知ったのは5年前だ。
朝、近所の川沿いを歩いている時だった。自転車に乗ったおばさんが、川の水面の方を指さしながら僕にいきなり声を掛けてきた。
「ほら、カワセミよ!」
「えっ? カワスギですか?」
「カワセミ! ほら、あの青い鳥!あっ、つがいだわ! 珍しいこと!」
と、こんな具合である。姿は見えたが、ほとんど一瞬だったため目に焼き付けることができなかった。
おばさんが「今日はいいことあるわ」と言い残し、すごく嬉しそうにしていたので家に帰って調べた。
飛ぶ宝石とも呼ばれ、翡翠(ヒスイ)と漢字まで美しい。ヒスイ、かわせみと読める。翡がオス、翠がメスのことを指すらしい。
双眼鏡のお陰で、その長いくちばしや鮮やかな水色の背中をありありと目にすることができた。途中、カワセミは3回ほど場所を変えたが、飛びながら可愛い鳴き声も披露してくれた。
四季の森公園にまた来る時は、双眼鏡と望遠レンズを忘れず持って行こう。
そして、いつか息子にもバードウォッチングをさせてあげよう。
***
僕が撮ったカワセミの写真です。
見つけにくいかもしれませんが、よかったら探してみてください。
正解はこちらです。↓↓↓
最後に、僕が撮っていない美しいカワセミの写真も載せておきます。
(カワセミ 日本の野鳥識別図鑑より)
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